再強化期編:年間栄養プロジェクト【栄養のプロに聞いた】

夏は、春の試合期を振り返り、秋・冬に控えたリーグ戦、インカレといった目標の大会に向かって、ブラッシュアップしていく「再強化」の時期といえます。カラダ作りの土台となる食事についても、この時期に見直すことが非常に大事です。この際、「何をどのタイミングで食べてきたか」だけに着目するのではなく、試合時のコンディションやパフォーマンスの出来と照らし合わせながら、カラダ作りや試合前後の食事を振り返り、何がうまくいき、いかなかったのかを確認。その上で、新たな課題と目標に応じた栄養や食事を考えて、シーズンの集大成となる秋の大会に向けたカラダ作りにつなげていきます。

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秋の試合期に向けてリカバリー&再強化

ピリオダイゼーションではどんな時期?

春季と秋季にリーグがある競技は、大型連休後から短い移行期に入ります。とはいえオフシーズンのように完全に休養モードに入るのではなく、疲労をリカバリーしつつ、筋力や持久力を維持。その後、インカレなど秋の大きな大会に照準を合わせて、再強化する時期に突入します。基礎体力を最大限に引き上げる夏合宿を経て、競技・種目に求められるスキルや体力強化のトレーニングに移行します。

PERIODIZATION(ピリオダイゼーション)

長期的なトレーニングを短期的な時期に区切り、それぞれの期間、目的に合ったトレーニングプログラムを行うことで、効率よく、より確実に最終目的を達成するための方法。

 

再強化期の取り組みは、過去の振り返りからスタート!

2つの観点から、オフ明けから春の試合期までの栄養・食事の面をチェックしよう。

振り返り1:シーズン前から取り組んできたカラダづくり

自分だけではなく、コーチやトレーナーとともに、カラダ作りの方向性を含めた見直しが必要です。春の試合期を振り返り、取り組んできたカラダ作りはそもそも正解だったのか、もっとパワーが必要か、持久力が必要か、カラダを大きくするならどのぐらい体重や筋力を増やすのか、絞るのであれば目標の体脂肪率はどのぐらいかなどを整理・検証し、今後の課題と目標に応じた食事を見つけていきます。

振り返り2:試合に直結する当日までの食生活

試合前日から当日の食事を振り返り、コンディションやパフォーマンスに与えた影響をチェックします。(左下のチェック表を参照)コンディションが記録に直結する競技種目の選手は、カラダと食事の影響に対して比較的敏感ですが、球技などチームスポーツの場合、技術重視になりやすく、自分のコンディションは見過ごしがちに。試合の結果如何ではなく、食事のタイミングや内容、準備な ど、いい感触が得られたもの、理想通りにいかなかったものを、まずは洗い出して、コンディション管理の目安にしましょう。

当日のコンディションをチェック!

□ 試合中に胃もたれ・気持ち悪くなった
□ カラダが重いと感じた
□ 便秘や下痢の症状があった
□ 試合時に空腹を感じた

柴崎先生からのアドバイス
一つでも該当した方は試合前の食事の内容やタイミングが適切ではなかった可能性があります。摂りたいタイミングで水分や補食がなかった、ベストな補食が準備できなかったなど、事前の準備不足の可能性も。

もっとアドバイス①「定番が良いとは限らない?」

一般的にスポーツ栄養学で推奨されている食品でも合わないことがあります。例えばバナナは口の中がべたついて気持ちが悪くなったり、オレンジジュースの酸味で胸焼けしたりすることもあります。一般的によいといわれているものも自分との相性をチェックしてみましょう。

もっとアドバイス②「あるはずが店に無い!

環境面の振り返りも必要です。例えば、補食や食事、ドリンク類は大会会場の現地の店で調達しようと考えていたが、思ったものが手に入らなかった、という失敗談はよくあること。事前に予約をする、出発時に自分たちで用意するなど対策をとり、準備不足を防ぎます。

簡単に効率よく、課題克服に繋げる
目的別「栄養ポイント&食べ方・選び方」

再強化期は、練習量が多く、トレーニング強度も高いため、必然的に多くのエネルギー量を確保しなければいけません。加えて季節柄、暑さからくる疲れや食欲の低下の問題も出てきます。一方、この時期は定期試験や教育実習、就職活動と、大学生活も多忙を極めます。忙しくても、いかに栄養バランスを良くして、必要なエネルギーを確保していくかが重要です。前シーズンを振り返り、カラダづくりの課題が見つかったら、個々の目的に応じた食事計画を立てます。特に多くみられる3つの課題解決に向けた栄養ポイントをアドバイス!

持久力UP

まずは炭水化物量の見直しから。貧血気味の人は鉄分の摂取を強化

アスリート・ビジョン#22より抜粋掲載

持久力に課題がある場合、まずは食事や補食でエネルギー源である炭水化物を十分に摂ります。炭水化物の不足は練習や試合でスタミナ切れを起こすだけでなく、それにより練習の質が落ちた結果、十分なトレーニング効果が得られません。また、貧血が原因の場合もあるので、毎日少しでも鉄分を補給。もちろん、たんぱく質もしっかり摂りましょう。

筋量・筋力UP

毎日の副菜に豆製品をプラス。食の細い人は脂質をうまく取り入れよう

アスリート・ビジョン#22より抜粋掲載

筋力やパワーが足りない場合、体重や筋量アップにつながるよう、たんぱく質やエネルギー摂取を強化。よくみられるのは、リーグのスタート時は理想的な体格だったのに、日を追うごとにカラダが小さくなるケースです。シーズンを通しエネルギー不足にならないよう、疲れていてもしっかり食べるよう心掛けます。特に食の細い人は、豆腐ではなく厚揚げを食べる、サラダに油を使用したドレッシングをかけるなど、脂質をうまく摂り、摂取エネルギーをアップしましょう。

ケガからのリカバリー

たんぱく質と抗酸化成分がカギ。回復には大量のエネルギーも必要!

アスリート・ビジョン#22より抜粋掲載

ケガをした場合、トレーニング量が少なくなるので摂取エネルギーを落としたほうがいい、と一概 にはいえません。何故なら、ケガの治癒やカラダの回復には、ものすごい量のエネルギーが必要だからです。リハビリのためのトレーニングボリュームが大きいほど、血液やカラダの組織の材料となるたんぱく質、エネルギー量を摂りましょう。また、野菜や果物などから炎症を抑えるといわれる抗酸化成分ビタミンACEやポリフェノール、アスタキサンチン 等を摂ることも意識して。

注意ポイント
最近は抗酸化成分の摂り過ぎは、筋肉がつきにくいともいわれています。特にビタミンC は市販の飲料や食品にも添加されているため、サプリメントでも摂っているとオーバーする恐れがあります。ビタミンC の推奨量は100㎎/1日。200㎎を超えて摂っても血中濃度は変わりません。一度にたくさん摂るより3 食にわけて摂りましょう。

忙しく食欲が低下する夏を乗り切る
即効!栄養価アップのワザ

アスリート・ビジョン#22より抜粋掲載

すぐに食べられるストック食材が便利

瓶詰、缶詰やストックのきく食品、真空パック入りの常備菜・主菜もうまく活用。

サラダやお弁当はカラフルに

サラダは玉ねぎやパプリカ、にんじん、海藻などが入った、見た目にもカラフルなものをチョイス。お弁当であれば、牛丼、豚丼などより、主菜・副菜がそろっているものを。

冷凍野菜を加えれば即栄養価UP

ほうれん草、刻みおくら、刻みねぎなどの青菜類、ブロッコリーなど市販の冷凍野菜を活用。スープや麺類に加えるだけで栄養価アップ。

きのこ・海藻・小魚類は乾物や瓶詰が活躍

瓶詰めや佃煮、乾物を常備。ごはんにのせたり、汁物に加えたりしましょう。

熱中症や免疫力低下を防ぐ!夏の水分補給3つのコツ

①朝晩コップ1杯の水を飲む
②食事はできるだけ固形物で摂る
③練習前後は出汁のスープで塩分&アミノ酸

柴崎真木さん(管理栄養士)柴崎真木さん【管理栄養士】
アトランタ五輪を目指す競泳選手への食事アドバイスをきっかけにスポーツ栄養士へ。現在はジュニアからトップアスリートまで、さまざまなスポーツの栄養サポートに携わる。ロンドンでは競泳、男子柔道の日本代表チームの栄養サポートを担当。

※2021年7月15日発行「アスリート・ビジョン#22」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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