目指せ、ONE TEAM!組織づくりでモチベーションを維持する【スポーツコーチングJapan監修】

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リーグ戦などの大会や試合が控えるものの、チーム全体の雰囲気に温度差がありイマイチ盛り上がりに欠けるという声も聞こえてきます。そこで役立つのがスポーツコーチング。大事な試合期にチーム一丸となれるメソッドを藤森コーチとスポーツコーチング Japan の中村理事に紹介して頂きました。

実践!組織づくりワークシートを使ってみよう

自分が考える理想のチームと、みんなが考える理想のチームは違います。チーム作りをする前に、各自ワークシートの設問に答えを書き込むと、自分が考える理想のチームの定義付けが可能になります。そして、それをみんなで見せ合い、チームの方向性を決めていきましょう。このワークシートを使うタイミングは、新入生が入部して新しいチームがスタートするとき。さらに、コロナ禍でチームのモチベーションが落ちているときに使っても効果的です。

学生アスリート向けの組織づくりワークシート(スポーツコーチングJapan 監修)

まずは、ワークシートをダウンロードしよう。記入例もありますので参考に!

まずは、【個人】で考えて【グループ】で共有する、それを【全体】で発表するような流れで活用してみましょう。

今こそ、部活動に必要なこと

1 コミュニケーション・会話個々に応じた計画を立てる

コミュニケーション・会話は「チームビルディング」の要

コロナ禍での最大の問題点は、コミュニケーション・会話がなくなったこと。コミュニケーション・会話は、目標を達成できるチームを作り上げていくための取り組みである「チームビルディング」の要です。会話が減ると仲間とのつながりが希薄になって、チームに自分の居場所を見出せなくなります。その結果、各自のモチベーションが低下し、チームワークは崩壊してしまうことに。そうならないために、いかに会話を増やすかが重要になります。

話をしたくなる良い関係性が強いチームを作る

会話を増やすため、「東京都立大学 ラクビー部」の活動事例を参考に、具体的な方法を挙げます。
① SNS やZOOM などを積極的に利用する。
②練習時間の冒頭の10 分間を使い、学年バラバラで3人組になり、テーマを決めて一人1分間話をする。
③学年別に、自分たちの学年のアピールポイントを動画にしてプレゼンする。

とにかく学年関係なくチーム全員と会話をする機会を作ることが大切です。会話の内容は質より量を重視し、雑談レベルでOK。話をしたくなる良い関係性が、チームの絆を強くします。

2 リーダーシップ

チーム全員に役割を与え、チーム内に居場所を作る

コロナ禍において、チームリーダーであるキャプテンや副キャプテンは、マネージャーも含めチーム全員にそれぞれ役割を与えて、チーム内に居場所を作ってあげることを優先しましょう。また、リーダーシップはチームリーダーだけに頼るのではなく、チーム全員でシェアするという考え方もあります。社会に出れば、誰もがリーダーシップを求められる場面に出合うので、コロナ禍をあえてリーダーシップを鍛える時期に設定するのも良いと思います。

横の関係を重視した、主体的なリーダーシップが必要

部活動である以上、試合に勝つことが目的・目標設定になるのは大前提。ただし、勝つという定義を、勝利以外にも見つけておかないと、試合に負けた時点でモチベーションが一気に下がってしまいます。そこでおすすめなのが、試合までの過程で、例えば、「○○ができるようになった」「以前に比べ○○が良くなった」など、成長を実感できるような言葉を用意すること。また、「いつ、どんな練習を行い、何を学んだか」というように「見える化」することです。すると、自分の努力が明確になり、例え試合に負けたとしても、それまでの時間が無駄ではなかったことに気付き、前向きになれます。

3 目的・目標設定

競技以外のところに、目的・目標を設定する

目的・目標設定は、モチベーションアップに欠かせません。試合が中止や延期になる中、競技以外のところに目的・目標設定をすることも必要になります。例えば、競技やグラウンド以外で、チームの魅力をアピールする方法を全員で考えるというのもその一つ。みんなで一緒に何かを行うと、最終的には盛り上がります。チームの魅力を考察するうえで、「スポーツとは? 部活とは? 大学とは?」と改めて定義づけることにより、人間性の成長も期待できます。

試合までの過程を文字にしたり、言語化したりする

部活動である以上、試合に勝つことが目的・目標設定になるのは大前提。ただし、勝つという定義を、勝利以外にも見つけておかないと、試合に負けた時点でモチベーションが一気に下がってしまいます。そこでおすすめなのが、試合までの過程で、例えば、「○○ができるようになった」「以前に比べ○○が良くなった」など、成長を実感できるような言葉を用意すること。また、「いつ、どんな練習を行い、何を学んだか」というように「見える化」することです。すると、自分の努力が明確になり、例え試合に負けたとしても、それまでの時間が無駄ではなかったことに気付き、前向きになれます。

競技を離れたからこそできることにも目を向ける

これまでは、競技に集中することでチームや自分の価値をアピールできていました。しかし、コロナ禍ではそれがかないませんでした。選手同士の絆が薄れ、部活そのものの存在意義に疑問を抱く選手も現れ、チームのまとまりが欠けることも。そんなときは、その状況を悪い面でとらえずに、競技を離れたからこそできることに目を向けてみましょう。「仲間・つながり・居場所」の大切さを再認識し、部活の存在意義を再定義することで、チームや自分の価値を見出すことができるはずです。

 

藤森 啓介さん
東京都立大学ラグビー部ヘッドコーチ。コーチとして早稲田大学ラグビー蹴球部で大学選手権優勝。その後、教員として素人7割の選手を率いて激戦区大阪府花園予選で準優勝。2019 年、国際基督教大学ラグビー部のコーチとして5年ぶりの公式戦勝利と入替戦へ導く。2020年から東京都立大学ラグビー部ヘッドコーチ。コーチの学びの場を創出し促進するための団体、スポーツコーチングJapan に所属。共著に「考えて強くなるラグビーのトレーニング」



中村 亘さん
一般社団法人スポーツコーチングJapan 理事。国家資格キャリアコンサルタント。2011年東京農業大学( 体育会硬式野球部) 卒業後、株式会社丸井グループへ入社。 2018 年、「国家資格 キャリアコンサルタント」を取得し退社。独立後はSCJ へ加入し、2019 年10月に理事へ就任。 スポーツコーチング×キャリアについて研究し、プログラム開発や講演なども行っている。

※2021年4月15日発行「アスリート・ビジョン#21」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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