コロナ禍のなかで始まった昨シーズン。春先には活動自粛の影響もあり思うように力を発揮できず、関東大学ラグビー対抗戦Aグループで勝利を挙げることができなかった。今シーズンからは首脳陣を一新。心機一転、新たな取り組みも積極的に行いながらスタートを切った古豪、青山学院大学ラグビー部。2 0 2 1 年シーズンの抱負についてお話を伺いました。
新しいスタートを切るために
青山学院大学体育会 ラグビー部
1924年に創部された歴史ある青山学院大学ラグビー部。全国大学ラグビーフットボール選手権大会には2度出場。2007年にははじめて関東大学ラグビー対抗戦でBグループに降格するも、3 年後にA グループ復帰。2021年シーズンからコーチを務めていた清水孝哉氏を監督に迎え、日本一という大きな目標に向けて日々トレーニングを行う。
https://www.aogaku-rugby.com
清水孝哉 監督「対話を大事にした指導」
対話を大事に指導しています。選手たちと目線を合わせて話をすることで、本当の思いと表情が見えます。そうやってコミュニケーションを取りながら、選手たちの何事にもチャレンジしていく姿勢を引き出して、目標の日本一に向けて一歩ずつ階段を上っていきたいと思っています。
4 年生(主将)桑田宗一郎さん「 司令塔としてゲームをマネジメントできる能力を 」
桐蔭学園高校出身。ポジションはスタンドオフ。ハンドリングスキルを武器に司令塔として、そして主将としてチームを牽引する。
高校時代のケガをきっかけに、自分のプレーを細かく分析して、客観視できるようになりました。僕のポジションはチームの司令塔。目標に掲げる『日本一』にチームを導けるように、司令塔としてゲームをマネジメントできる能力をこの1 年で身につけていきたいと思っています。
4年生(主務)伊藤広晟さん「 風通しの良い雰囲気がチームの特徴 」
中部大学春日丘高校出身。ポジションはスタンドオフ。主務も兼任し『戦う主務』として皆から愛されるチーム作りを担う。
学年関係なく意見を言い合えるような風通しの良い雰囲気がチームの特徴です。清水新監督のもとでメリハリのある新しいトレーニング方法にも取り組み、チームの状態は上向いていると思います。私は今ケガで離脱しているのですが、早く復帰してチームに貢献できるような選手に成長したいです。
3年生 金澤春樹さん「新監督のもとで新しい戦略にもチャレンジ」
流通経済大学付属柏高校出身。ポジションはウイングバック。持ち味はロングキックとハーフバックとの巧みなリンクプレー。
他チームに比べるとカラダが小さいチームですが、今年から食事も含めてカラダ作りにチーム全体で取り組んでいます。新監督のもとで新しい戦略にもチャレンジしていますし、今シーズンは新しい 「青学ラグビー」を見せたいです。そのなかで、自分の持ち味を生かしたプレーで活躍していきたいと思います。
チームの取り組み(カラダ作り)
トレーニングの質を高めるために短時間で集中力を保って行う
勝ち星を挙げられなかった昨シーズンを振り返り「追い込めていなかった」(清水監督)と反省。今シーズンは内容をガラッと変化。一つひとつの強度を上げ、それらをスピーディーに変化させていき、短時間に多くのメニューをこなす。さらに内容に連動性を持たせることで、高い集中力を維持したまま自分を追い込めるようになった。今年からは学生レフリーも加わり、練習の質向上に貢献。「勝ちたいという強い気持ちを持つ選手がたくさんいます。そんな彼らを勝利に導くためにも、限界 にチャレンジしていくことを大切に、試合を想定したトレーニングに取り組んでいきます」(清水監督)
パワーと瞬発力のバランスを保ち小柄でも戦えるカラダを作る
他のチームに比べると、小柄な体型の選手が多く、どうやって大柄なチームと渡り合うかが課題。瞬発力とパワーのバランスを考え、選手個々が、自ら進んでウエイトトレーニングに励んでいる。桑田主将は「カラダを大きくしたとしても、瞬発力がなくなっては意味がない」と、ウエイトトレーニングもスピードがなくならないように注意して行っている。
チームの取り組み(栄養)
アプリを使って栄養士からのアドバイスを活用
「毎朝フルーツを摂るように心がけていて、あとは空腹の時間を減らすように1 日5 回の食事にしてカラダが変わりました」という桑田主将をはじめ、食事に対する意識の高い選手は多かった。今年からは、カラダ作りの面からも食事への意識をチーム全体で高めていくために、元々チームのコンディショニング管理に使用していたアプリを活用し、選手たちが食事を写真で送れば栄養士からアドバイスがもらえるシステムも利用し始めた。「自分の食事の良し悪しがすぐに分かるので改善もしやすい」(金澤選手)と評判も良い。
チームの取り組み(チーム作り)
ブラザー制度のおかげでコロナ禍でも一体感を保てた
部の特長的な取り組みのひとつが『ブラザー制度』だ。それぞれの学年から1 人以上がひと組(ブ ラザー)となり、家族を構成する。「グラウンド内外で一緒に過ごすので、学年を越えたつながりができます」(伊藤主務)。コロナ禍で練習ができない、集まれない日が続いたときも、このブラザー制度のおかげで、選手たちはコミュニケーションを欠かすことなく生活でき、一体感を維持することができた。
Unlimに参加し幅広く支援を募る
“どこかの誰かが応援してくれている”という意識を持ち、練習を含めたパフォーマンス向上につなげたい、と、ファンの思いを受け取る『スポーツギフティングサービス』の参加を決めた。日本一を目標に掲げる部としては、Unlimをスポットコーチの招へいや遠征費への充当に考えている。そういう新しいことへのチャレンジも、新チームとしての新たな取り組みのひとつだ。
※2021年4月15日発行「アスリート・ビジョン#21」掲載。/この記事は取材時点での情報です。