自分のカラダを正しく知り、ヘルスリテラシーを高める 女性アスリートのコンディショニング【オムロン ヘルスケア監修】

日々激しいトレーニング行うアスリートは、常に心身のコンディションを良い方向に維持することが求められます。そういった背景の中で女性アスリートが陥りやすいと言われているのが女性アスリートの三主徴です。疲労骨折や月経異常に悩んでいる選手も多い近年。まずはカラダの仕組みや自分のコンディションを把握し、対策を考えることが大切になります。

栃木悠里子さん
オムロン ヘルスケア株式会社グローバル商品事業統轄部所属。看護師としての経験を経て、スポーツ分野のメディカルトレーナーとして活動。過去には大学やナショナルチームで国内外の大会に帯同している。

知っておきたい!
女性アスリートの三主徴(さんしゅちょう)

激しい運動を継続しているにもかかわらず、食事制限などで十分なエネルギーを摂取できない場合、利用可能エネルギーが不足してしまいます。すると、質の高い練習の継続やパフォーマンスの向上は困難に。この状態が続き、試合などで過度なプレッシャーやストレスがかかり続けると、視床下部性無月経や骨粗しょう症を引き起こす要因にもなります。

また、無月経になると、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが減少。エストロゲンは骨の代謝にも関係していて、低下すると骨の密度、骨量が減少するため、疲労骨折を発症する危険性も高まります。また、将来的な骨の健康にまで影響を及ぼしかねません。

■改善策・予防策は?

いいコンディションでトレーニングや試合に臨むためにも大切になるのが、エネルギー摂取。消費エネルギーに比べ、摂取エネルギー不足の状態が続くと、無月経の原因にも。ウエイトコントロールや減量は必要な競技もありますが、正しい方法で実施しないと、あとで辛い状態になることも。そのため、毎朝基礎体温を測り、自分の月経が周期的にきているのか、しっかり排卵をしているかどうかチェックすることが、こうした状態を予防する第一歩となります。

知っているようで知らない
月経に伴うカラダの変化

「ちょっと体調が悪いな」「イライラしやすいな」と思っていたら、数日後に月経が始まったという経験がある人も多いでしょう。ある調査では、7割程度の選手が月経関連で困った経験があると答えています。個人差はありますが競技レベルに関係なく、多くの女性アスリートが、月経周期によるコンディションの変化を実感しています。月経周期によるコンディションの変化は個人差が大きく、ストレスなどの影響を受けることもあります。自分のカラダの変化を知るためには、まずは自分の月経周期を正しく知る必要があります。

ホルモンの変動が少ない卵胞期は調子がよい選手が多い。排卵日直前はホルモンの関係でPMSの症状を訴える選手も多いが、なかには調子が悪いと思って練習をやり過ぎてしまう人も。この時期は仕方ないと、気持ちを切り替えるのも対処法の1つです。

月経前症候群(PMS)

月経前、3~10日の間に続く、精神的、または身体的な症状で月経開始とともに軽くなったり消失。イライラしたり、むくんだりと様々な症状が現れます。

■悩んだ時は相談を

PMSや月経痛など、症状があまりにも辛い場合は病院などで受診を。治療法を提案されたり、最近では低用量ピルでホルモンをコントロールすることも可能です。基礎体温表を持参すれば、症状や悩みを伝えるときにも役立つでしょう。

※2023年10月16日発行「アスリート・ビジョン#31」掲載/この記事は取材時点での情報です。

最新情報をチェックしよう!