限られた時間の中で成果を出すために、パーツ別のトレーニングを紹介してきたこの連載がパワーアップしてリニューアル! これまで鍛えたパーツを実戦でも使えるものにしていくための、動作を想定した部位別のトレーニング方法を紹介していきます。教えてくれるのは、八王子スポーツ整形外科の工藤トレーナーです。カラダを上手に動かせるようになりましょう。
今回は体幹にアプローチ
ここで言う体幹は腹部だけではなく、肋骨や肩甲骨周りから骨盤底までの“胴体”すべてを指す。どんなスポーツにおいても、カラダを安定させるために必要な体幹だが、大事なのは固さや強さよりも“コントロール“すること。この体幹コントロールによって、背骨を安定させつつも柔らかく動く体幹を手に入れると四肢の動きが良くなるのだ。
陸上や水泳はもちろん、スキーやスケートで滑る動作の安定性が高まったり、テニスやバドミントンなどのラケットを振る動きをはじめ、あらゆるスポーツに関わるのが体幹だ。
1.コアローテーション[左右それぞれ5〜8回ずつ]
やり方
仰向けに寝て、両腕を上に脚を上げ、膝を90度に曲げた状態がスタートポジション。ゆっくり息を吐いて肋骨を下げ、腰椎を床につけたら、両腕両脚をゆっくり伸ばしながら横に倒れていく。横向きになったときに腰椎が反りやすくなるので、肋骨を下げて体幹を締めた状態をキープして行う。横向きで2、3秒静止したら、またゆっくりとスタートポジションに戻る。
ポイント
体幹を締めることで背骨を安定させたところから、肋骨と骨盤を一緒に動かすことがポイント。腹腔内圧を高めつつ(息を吐いて肋骨を締める)、腹斜筋でお腹を締めつけるような意識を持つことがコツ。腕や脚が先に動いたり、上半身と下半身が別々に動いて腰椎が捻ったりしないようにしよう。
NG
スタートポジションで肋骨が開き、腰が反った状態になると腰痛の原因になるので注意しよう。
NG
上半身だけ横に倒れて、骨盤が上を向くと、腰椎が捻った状態になってしまう。
プラスアルファ
両腕両脚を伸ばした状態からスタートする。腰椎が反りやすくなるので無理はしないこと。しっかりと肋骨を下げて体幹を締めることで、背骨を安定させて行うこと。
プラスアルファ
うつ伏せの状態をスタートポジションにする。仰向けスタートと合わせて行うと、全方位から体幹を鍛えるトレーニングになる。腰を反って両腕両脚を上げるのではなく、背骨の位置は仰向けバージョンと同じように安定させるためにしっかりと体幹は締めて行うのがコツ。
2.お尻歩き [2〜3m前に進む×2セット]
やり方
スタートポジションは長座。ここから、片方のお尻を浮かせてから前に出して着地。反対側のお尻も同じようにして前に出して行き、前に進む。骨盤をローテーションさせるようにしながら行おう。骨盤と肋骨周り(胸郭)の動きが逆になるようにする。体幹を締めて安定させつつも、捻り動作を入れることでフレキシブルに動かす感覚を覚えよう。
ポイント
骨盤を上げることと、助骨を下げるように捻りながら骨盤を前に出すこと。体幹を締めつつ、肋骨周り(胸郭)と骨盤周りを自由自在に動かす感覚を身につけよう。頭とお尻の中心は左右にぶれないようにするのもコツだ。
NG
肋骨周りと骨盤周りが一緒に動いてしまうと、泳ぎや走り、ラケット等を振る動きとは異なる動きになるので注意。
プラスアルファ
両脚を少し浮かせて行うと体幹への負荷が高まる。そのときに背中を丸め過ぎないよう、しっかりと体幹を引き締めて背骨を正しい位置で安定させよう。
八王子スポーツ整形外科メディカルフィットネスセンター所属。日本スポーツ協会アスレティックトレーナー。スポーツ傷害やコンディショニングを中心に、幅広い年齢層へパーソナルトレーニングを行う。そのかたわら、大学ラグビー部や高校野球部にトレーナーとして携わっている。
※2023年10月16日発行「アスリート・ビジョン#31」掲載/この記事は取材時点での情報です。
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