部活動や学業で忙しい日々を過ごしている学生アスリート。「トレーニングの時間が足りない」という悩みを抱えている人も少なくないと思います。限られた時間の中で成果を出すには、鍛えたいパーツにフォーカスを当てて効率よくトレーニングをするのがポイント。ムダなくできるパーツ別のトレーニングを、八王子スポーツ整形外科の工藤トレーナーに教えてもらいます。
今回は腹斜筋にアプローチ
脇腹に広がるお腹の外側にある筋肉で、カラダを捻ったり体幹を安定させる力を持つ。内腹斜筋は骨盤から肋骨下部に向かって上向きに走る筋肉で、外腹斜筋は肋骨の下側から骨盤に向かって内腹斜筋を覆うようにしてついている。四肢の力を発揮するための土台となる体幹部や姿勢を安定させる役割を持つ、スポーツをする上で欠かせない筋肉のひとつだ。
1.ハードロール[腹斜筋]左右それぞれ6~8回ずつ
やり方
両手両足を広げて仰向けになり、背中を丸めて対角線上のひじとひざをくっつけて、あごを引く。ひじとひざはつけたままで、先にあごを床のほう(写真では右側)に向け、息を吐きながら、カラダをゆっくりと倒していく。腕脚が床につかないギリギリのところで止めて息を吸ったら、先にあごを上に向け、また息を吐きながらゆっくりと元の向きに戻る。腕側の外腹斜筋、脚側の内腹斜筋に刺激が入っていることを意識しながら行おう。
ポイント
息を吐くことで肋骨を下げて、腹圧(腹腔内圧)を上げることがコツ。肋骨が下がることで腹斜筋に刺激が入りやすくなる。また、大事なのは“ゆっくり”行うこと。できる限りゆっくり倒し、ゆっくり戻すことを心がける。
2.ウォールプッシュスクワット[腹斜筋]10回もしくは5~10秒キープ
やり方
足を肩幅に開いて片手を壁につける。そのまま背中を広げるようにして肩甲骨を開き、グッと壁を押す。ここで腹斜筋に刺激が入ることを感じ取ろう。腹斜筋に刺激が入ったまま、少しだけ股関節とひざを曲げてスクワットを行う。壁を押すとき、息を吐いて肋骨を下げると、腹斜筋への刺激を感じやすくなる。
ポイント
脇を締めるようにひじを内側に回した状態で壁に手をつくのがポイント。脇が閉まると肋骨が自然と下がり、腹斜筋を使う感覚が分かりやすくなる。足で床を押す力が手に伝わる感覚を持てると、カラダの連動性が高まる。
プラスアルファ
壁についた手と同じ側の足を後ろに引き、前に出している片脚でスクワットをすると、腹斜筋への刺激も強くなり、下半身との連動性が高まる。
NG
肩甲骨が寄ったり、腰が過度に反ったりしないように。腹圧が下がり、腹斜筋への刺激が少なくなってトレーニング効果が下がってしまう。
八王子スポーツ整形外科メディカルフィットネスセンター所属。日本スポーツ協会アスレティックトレーナー。スポーツ傷害やコンディショニングを中心に、幅広い年齢層へパーソナルトレーニングを行う。その傍ら、大学ラグビー部や高校野球部へもトレーナーとして携わっている。
※2023年1月16日発行「アスリート・ビジョン#28」掲載/この記事は取材時点での情報です。