シーズンに備えるカラダづくり期! 効率よくカラダを鍛えためのコツ【NSCAジャパン監修】

新シーズンに備えて、カラダを鍛え直し、コンディションを整えるためには、個人個人に合わせたコンディショニングが必要となります。そのために必要なことや、どのような順序で取り組めばいいのかなど、カラダづくり期のトレーニング&コンディショニングのポイントを、ストレングス&コンディショニングコーチの吉田さんに聞きました。

カラダづくりをどのように考えて、取り組めばいいのか?

まずは、昨シーズンの振り返りをしましょう。戦績の振り返りだけでなく、「自分を知る」という意味で、良かった点と改善が必要な課題を挙げていきます。トレーニングに取り掛かる前に、戦術面、スキル面、フィジカル面など、それぞれで課題を洗い出すことが先決です。その上で、課題の種類を大きい塊から小さい塊へと順に細分化していきましょう。

例えば、「フィジカルが弱い」と考えた場合、自分が感じているフィジカルの課題は、「そもそも筋力がないのか」、「体重が軽いのか」、「カラダがうまく使えないのか」、「スピードの問題なのか」など、分解していくことです。このように具体的にしていくと、より克服すべき課題が明確になっていきます。

冬のカラダづくり期では何をすればいいのか?

この時期はシーズンに入るまでの期間が長いので、時間がかかる大きな課題を優先的に実施しましょう。例えば、試合で「スピード」の要素が大事になる場合にも、スピードを作る要素としては筋力が必要になる。そこで筋肥大のトレーニングを取り入れていくといった形です。 競技ならではのスキルや戦術などはあまり考えず、「カラダを大きくする」「筋力を高める」など、シンプルに考えて内容を決めていくといいでしょう。試合期に使えるカラダのベースを広げて、強化するイメージです。

どのように計画すると良いのか?

キャンプや春のリーグ戦など、次の試合時期はある程度わかっていると思います。次の試合時期から逆算して、時期ごとにトレーニングを分けていきましょう。例えば、走る動作が必要な競技であれば、おおよそ下記のような3つのトレーニングを期分けして取り組むと効率的です。

・筋力(筋肥大、筋持久力)
・心肺・持久力
・スピード・アジリティ

1つの期は4~6週間。各トレーニングへの時間のかけ方は競技や個人によって比重を変えていきます。 また、トレーニングと同時に、疲労回復のための休養のスケジュールも確保しましょう。休まないと筋肥大や筋力向上も見込めないですし、効率よくカラダをつくることができません。週2~3回程度はオフの日をつくることをおすすめします。

課題にどうアプローチする?
3人のモデルケースから考えるトレーニング

ラグビー選手 Aさん

「当たり負け」という現象を下記のように分解して、トレーニングを考えるといいでしょう。その上で、期ごとにトレーニング内容を決めていきます。周りと同じ練習内容、時間配分である必要はまったくありません。しっかり課題を抽出して、そこにしっかりと時間を費やしていきましょう。

<アプローチ例>

①カラダの大きさ、体重:ポジションでの適正な体重かどうか。

②体幹・下半身の強さ:当たったときにしっかり押せるカラダの強さがあるか。

③カラダの使い方・姿勢:背中が丸くなったり、上体が高くなったりせず、正しい姿勢が取れているか。それができないような関節の可動域になっていないか。

④スキル:タックルのテクニックなど。

サッカー選手 Bさん

サッカーの競技特性からトレーニングを考えてみましょう。特に重要なのは、②リピートスピードの向上。有酸素系のトレーニングで、最大酸素摂取量をあげることは非常に有効ですが、一方で時間がかかるため、優先的に取り組んでいくと良いでしょう。

<アプローチ例>

①筋力:スピードアップをするにも筋力が必要。筋肉を大きくするというよりは、筋力を上げる、強くするイメージ。

②リピートスピード:速い動きを、単発ではなく繰り返し出せること。心肺機能のベースが必要となる。

③アジリティ、ボディバランス:ぶつかられても倒れない身のこなし、方向転換のキレなどを高める。

陸上長距離選手 Cさん

持久系の種目が他の種目と異なるのは、オーバーユースへの配慮が必要な点です。同じところに長時間負荷がかかるため、障害予防の観点も持った上で、次の2点に絞ったトレーニングを行いましょう。

<アプローチ例>

①組織の強化:長時間の練習に耐えられる土台(筋・ 靭帯・腱など)。

②筋持久力の向上:「補強トレーニング」と呼ばれる軽い負荷(自重)で回数を多く行う。

例えば、長時間走っていて、途中から反り腰になって腰痛が出るのであれば、体幹を強化する必要があります。ラグビー選手やサッカー選手のようなウエイトトレーニングは不要ですが、ある程度、カラダの強度があるほうが怪我はしにくくなります。チューブやバンドを使ったり、自重トレーニングだったり、負荷の軽いもので回数をしっかりこなすことが大切です。

 

なにを優先すればいいのか?

求めている結果がすぐに出る場合と、そうでない場合があります。例えば、カラダを大きくするには時間がかかりますから、そこに課題があるなら優先的に進めていく。じっくり時間をかけたいトレーニングこそカラダづくり期に行いましょう。


また、オフだからといってスキル練習をまったくやらずに筋トレしかやらない方も見受けます。この時期は、普段はできない個人スキルなどの反復練習も大切です。スキルは短時間でも毎日積み重ねることで効果が現れます。トレーニングと組み合わせながらコツコツ続けましょう。

吉田直人さん
CSCS、NSCA-CPT、NSCAジャパンマスターコーチ。育成年代からプロ選手まであらゆる競技のアスリートを指導。ジャパンラグビートップリーグのHonda HEAT で5 年間、ヘッドS&Cコーチとして従事。

※2024年1月15日発行「アスリート・ビジョン#32」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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