大東文化大学・高橋侑花選手 結果を追い求め過ぎず、何よりも楽しむこと。自分がどうしたいのかを大事にすればおのずと結果はついてくる【スケート】

中学生になって本格的に始めたスピードスケート。ジュニア時代から成績を残してきたその裏には「楽しい」がありました。結果にこだわることなく、「どんな自分になりたいのか」「自分が何をしたいのか」を大切にすれば、辛く苦しい練習も前向きに取り組めるし、結果もついてくる。勉強もスポーツも、料理もポジティブに取り組む高橋さんにじっくりとお話を伺いました。

高橋侑花選手のプロフィール

大東文化大学 スケート部 高橋侑花

たかはし・ゆうか 2002年4月16日長野県生まれ。6歳からスケートを始める。山形中央高校2年時に日本代表として国際大会に出場、1500m で銀メダルを獲得。 2023年1月の冬季ワールドユニバーシティゲームズではマススタートと混合リレーで銀メダルを獲得。10月の全日本スピードスケート距離別選手権大会ではマススタートで3位。

今のありのままでチャレンジする
マイナスを吹っ切ってプラスに捉えれば結果につながる

スピードスケートを始めたきっかけ

―スピードスケートを始めたきっかけを教えてください。
「スケートをしていた兄に連れられてスケート場に行くうちに、私もスケートをやるようになりました。競技として本格的に始めたのは、中学生になってからですね」

―本格的に始めたスピードスケートの世界はどうでしたか?
「中学で新たな仲間やコーチとも出会い、自分にとってすごく重要な時間を過ごせたと思います。調子の波は当時も今もありますが、悪いとき自分がどうすれば調子を取り戻せるのか試行錯誤し、乗り越えてきた過程も含めスケートをする楽しさを心から感じました。楽しさはきつい練習に取り組むモチベーションになりました。この経験が土台となり今の自分につながっていると思っています」

―その後、高校で日本代表を経験されましたね。
「実はこの代表選考会のとき、練習がうまくできなくて気持ちも前向きになれず、十分な準備ができていない状態でした。『もうダメで元々なんだから、結果がどうであろうとやることをやって、出し切ってみよう』と、最後の最後に覚悟が決まり吹っ切ることができたんです。結果、代表に選ばれました。それまでは自信もなくネガティブ思考でしたが、『自分はダメだ』と考えるよりも、『今のありのままの自分でチャレンジしよう』とポジティブになれました」

―大東文化大学への進学を決めた理由は。
「とても強いチームなので、そこでトレーニングしたかったのと、将来就きたい職業に必要な英語のスキルが学べる学部(外国語学部英語学科)があったからです」

―合宿や大会等で長期で大学を離れることがあると思います。どうやって学業と競技を両立されていますか。
「空き時間をうまく使うことですね。遠征中なら移動時間やオフの日などを使って勉強しています。大学に行けるときには、先生とコミュニケーションを取って勉強法を教えていただいたり課題を見てもらったりしています。チームにも同じ学科の選手もいるので、情報交換してやりくりしています」

食事は自分に必要な栄養素が摂れる自炊が基本
食材の種類を多くしてバランス良く栄養を摂取

高橋選手のカラダづくり

―遠征も多いようですが、コンディショニングで気をつけていることはありますか。
「練習と食事(栄養)と睡眠のバランスは気をつけています。たとえば睡眠時間が短いと練習に響きますし、食事の栄養バランスが悪いとケガや故障にもつながってしまうので。あと、寝る時間と起きる時間、食事の時間をなるべく揃えるようにしています」

―食事面で意識していることはありますか。
「体重管理です。シーズン中は体重の変動がないよう一定に保ちたいと思っています。練習量が多いと当然、消費するエネルギー量も大きくなります。私の場合、どれだけ食べても体重が減りやすいため、とにかくお米をしっかり食べるようにしています。また、エネルギー切れを起こさないよう、練習の質を下げないためにも、練習前後の炭水化物の補給は意識しています」

―自炊はしていますか。
「代表活動中は栄養指導もあり、そこで教わったことを活用しています。高校時代は週に2~3日ほど自炊をしていたので、野菜炒めなどを作っていました。大学からは毎日3食自炊になり、すごく考えるようになりましたね。今はレシピ数も増えました。必ず主食のご飯に汁物と副菜のサラダ、お肉などの主菜を揃えるようにしています。お肉も野菜も同じ種類ばかりではなくさまざまな食材から栄養素を摂るように心がけています」

―得意料理はありますか。
「切り干し大根が好きでよく作ります。それと、ひじきの煮物やポークチャップが得意です。休日など時間があるときにまとめて作り置きしています」

―カラダづくりではどんな取り組みをしていますか。
「陸上トレーニングの成果を氷上でうまく活かせていないと感じていました。競技力につながらないのは体幹の弱さにあると考え、基礎に立ち返り体幹強化に取り組みました。滑る動作も自然とできるようになり、基礎の大切さを実感しています」

高橋選手のある一日のスケジュール

自分がどうしたいかを大事にすれば
おのずと結果はついてくる

今後の目標と同世代アスリートへメッセージ

―ワールドユニバーシティゲームズ代表に選ばれるなど、大学進学後も結果を残されています。その要因を教えてください。
「アスリートなら結果や勝敗にこだわると思いますが、私は競技をやる中で結果を追い求め過ぎないことにしているんです。結果はもちろん大事ですが、何よりもまず自分がどうしたいのか、自分がどういうレースをしたいのか、自分がどうやって夢に向かっていくのかを大事にしています。そうすることで、自然と結果がついてくるようになりました。今まで苦手だった種目の成果が出たり、練習を頑張ってきたことが結果に結びついたと実感できるようになった今、スケートがいちばん楽しい時期かもしれませんね」

―辛い練習などを楽しく乗り越えるコツはありますか。
「どの競技でもきつい練習はあると思いますが、あまり重く受け止めず『これをやったら強くなれるかも!?』と自分に言ってみるなど、ポジティブに変換するようにしています。今のチームは少人数で選手と監督の距離が近く練習も厳しいですが、何事もチャンスだと捉えて、みんなでモチベーションを高め合って頑張っています」

―今後の目標を聞かせてください。
「大学生活も残りわずかですが、今がとても幸せだと感じています。競技自体は楽しみつつ、やっぱりサポートしてくださっている方々に感謝の気持ちを忘れず、レースで恩返しをしていきたいですね」

―最後に、頑張る学生アスリートたちへのメッセージをお願いします。
「同世代の選手たちの活躍には、いつもすごく刺激をもらっています。お互いに頑張りましょう!あとは、やはり学生なので今しかできない大学生活も楽しみたいですね。競技だけが人生ではないので、競技に執着する必要はないと思っています。もちろん競技ができることは幸せですけど、大学生活はこの4年間しか経験できないことばかりですから、ぜひ自分らしく楽しんでほしいですね」

※「アスリート・ビジョン#32」掲載/この記事は取材を行った2023年9月時点での情報です

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