東海大学 女子バレーボール部【注目チーム紹介 vol.47】

自主性を重んじ、練習メニューの考案からスケジュールの管理、目標の設定に至るまですべてを学生が自分たちで決めている。バスケットボール部やラグビー部、柔道部など他の競技と切磋琢磨しながら成長し、2022年の全日本インカレ(全日本バレーボール大学女子選手権大会)で2年連続の優勝を果たしました。類まれなチーム力の源は、何より選手一人ひとりの意識と自覚の高さです。大学バレーボール界を牽引する東海大学女子バレーボール部の強さに迫りました。

学生一人ひとりが自ら考え、行動に移す

東海大学女子バレーボール部

2022年の4冠達成時の記念写真

関東大学リーグ1部に所属。1989年の全日本インカレで初優勝を果たした。2022年の全日本インカレでは2年連続9回目の優勝を果たす。春季リーグ、東日本インカレ、秋季リーグと合わせて大学四冠を達成した。

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目標を実現するために/藤井壮浩 監督

練習のスケジュールやメニューなどすべてを学生が決めています。大学四冠を達成できた要因は、東海大学に集ってくれたメンバーがいい作用をしたこと。これからも、誰かの刺激になって、誰かのいい習慣になって、誰かの勇気や希望になれるように頑張りたい。最上級生が立てた目標に向かって全員でフォロワーシップを発揮しながら、「チーム一丸」という東海大学女子バレーボール部のモットーをもとに頑張っていきます。

藤井壮浩 監督/東海大学出身。選手として1993、94年の全日本インカレを連覇。その後、VリーグのNECブルーロケッツで活躍する。2002年に現役引退。2008年、東海大学女子バレーボール部の監督に就任した。

自分だけになりすぎず、チームを優先する

大事にしているのは、コミュニケーションを取ること。どういう時に声をかければいいか、私がどう動けば周りが楽になるかを考えて、行動に移す。自分だけになりすぎず、チームで動いていることを最優先に考えています。今年度の目標は、「誰が出ても勝てるチーム」。相手チームのアナリストを唸らせるような、そんなチームを作っていきたい。一番の目標は、全日本インカレの3連覇です。

宮部愛芽世さん 4年生 (アウトサイドヒッター) キャプテン/金蘭会高校出身。勝負どころでアタックの決定力が高く、主に攻撃で存在感を発揮する。2022年は日本代表の一員として世界選手権に出場。強烈なサーブで日本のベスト8進出に貢献した。

選手として学生コーチとしての学び

昨年の四冠達成は、(当時の)4年生の存在が大きかったと思います。「(3年生だった)自分たちもやらなきゃ」「4年生のために頑張ろう」という気持ちにさせてくれました。ケガをして悔しい気持ちはありましたが、練習中に先輩がどんな声がけをしているのかを客観的に見ることもできた。様々なカテゴリーのバレーボールを勉強しながら、学生コーチとしての自覚を身につけたいと思います

長友真由さん 4年生(ミドルブロッカー) /延岡学園高校出身。ミドルブロッカーの既成概念にとらわれず、クイックだけでなく高いトスが打てるのも特徴。昨年はケガもあり、自己管理の大切さを学んだ。学生コーチを兼任する。

今自分にできることを考えて取り組む

日本一を狙うチームだけあって、一本一本に対するプレーの姿勢は、今までに経験したことがないくらい強いこだわりがあります。先輩たちに「(山本は)1年生だからしょうがない」と思わせないように、自分から率先して声を出して、とにかく明るい雰囲気を出すことを心がけてきました。4年生を支えられるように、学年に関係なく積極的にリーダーシップを発揮できるように頑張ります。

山本麗さん 2年生 (ライト)/京都橘高校出身。1年生の頃からレギュラーとして活躍し、優勝した全日本インカレではスパイク賞を獲得した。小柄ながら、高いジャンプからパンチ力のあるスパイクを放つ。

CLOSE UP/ 栄養

アプリを使って体調を管理。食事に対する意識が大きく変わった

寮では朝食(セルフ)と夕食が提供される。また、選手全員が体調を管理するアプリを契約。補食を含めて食べたものをすべて記録し、アスリートフードマイスターの資格を持つ副主務の熱田さんと下野さんがチェックしている。「あれを食べなさい、これを食べなさいと、食事の内容に関して何かを言うわけではありません。ただ、栄養の不足や偏りが見られる選手には、『もう少し野菜を食べましょう』などアドバイスをすることがあります」(下野副主務)。以前は食事を抜く選手もいたが、今では朝昼夕の3食をしっかり食べる習慣が身についた。自炊をする選手も増え、コンディショニングに対する一人ひとりの意識も大きく変わった。

寮では朝食と夕食が提供される(写真は夕食)

自炊をする選手も多い。普段は野菜を多めに、練習前は炭水化物を摂ってエネルギーを補給。筋力をつけるためにたんぱく質を多めになど状況に応じた栄養摂取を意識している

CLOSE UP/ トレーニング

下半身を中心とした基礎トレーニングと。限られた環境で効率を高める練習の工夫

東海大学の公認サークル「スポーツサポート研究会」から派遣された清水トレーナー(※3月に大学院を卒業)が、トレーニングのすべてを一手に引き受けている。「競技特性を重視したウエイトトレーニングではなく、スクワットなど下半身を重視した基礎的なトレーニングを取り入れています」。50人の選手を抱える大所帯で、他の部活とも体育館を共有する限られた練習環境のため、取り組み方にも工夫が見られる。「『私が見なくてもできるトレーニング』『走るトレーニング』『私が見なければいけないトレーニング』とグループを3つに分け、サーキット形式にすることもあります」。選手が最高のコンディションで試合に臨む上で、清水トレーナーが果たしてきた役割の大きさは計り知れない。

トレーニングをするときは、1年生と4年生など同じ学年にならないようにペアを組みます。コーチングの意識を常に持つことが大事で、学年を超えて選手同士で指導し合うようにしています。/トレーナー 清水理咲さん

CLOSE UP/ チームづくり

練習メニューやスケジュールは最上級生が決める。文武両道を自然と意識できる環境が整っている

練習が終わったら主務を含めた最上級生が、次の日の練習メニューやスケジュールを決める。「基本的にすべてのことを学生だけで決めています。スケジュールも自分たちで組むし、練習メニューも自分たちで考える。勝つために今はどういう時期かを考慮しつつ、授業や生活のことを含めてトータルで考えています」(田中主務)。学業とスポーツのデュアルキャリアを実践しているのも大きな特徴だ。部活と学業など今やるべき優先度を、一人ひとりが考えて行動に移す。「自主性を大事にしているので、テスト勉強のために練習を休むこともある。補講が入っていたり、今日は勉強の日にしたいから練習を休みますというのも全然OK。文武両道ができる環境は整っています」(宮部選手)。

※2023年4月15日発行「アスリート・ビジョン#29」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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