今年1月に開催された昨年度唯一の大学サッカー全国大会で法政大学の準優勝に貢献した飯島陸選手。高校時代は全国制覇、得点王など輝かしい実績を持つ彼が目指すのは、プロ選手として、お世話になった方々へ恩返することと、夢を与えられる存在になること。今季はチームの攻撃の軸として活躍が期待されているエースの本音に迫りました。
プロフィール
法政大学 サッカー部 飯島陸
1999年11月17日、埼玉県生まれ。前橋育英高時代は、2年時に全国高校サッカー選手権大会準優勝、3年時は同大会で優勝し、得点王に輝いた。2018 年にはU-19 日本代表にも選ばれ、東京合宿、スペイン遠征に。法政大学へ進学。2020年度唯一の大学サッカー全国大会となった「atarimaeni CUP」では準優勝。166cm、64kg
高校1年生の時の経験がプレーする上でのベースに。
サッカーを始めたきっかけ
―サッカーを始めたきっかけを教えてください。
兄がサッカーをしているのを見て、楽しそうだなと自分もやり始めたのが3、4歳の頃だったと思います。小学生の頃は学校が始まる前にサッカーをして、休み時間も、放課後もサッカーをして。朝から晩までボールを蹴っていましたね」
転機となった高校1年のエピソード
―高校は名門・前橋育英でプレーし、高校最後の選手権では得点王にも輝きました。
「自分たちの代とは入れ替わりだったんですが、渡邊凌磨さん(FC 東京)や鈴木徳真さん(徳島ヴォルティス)は特に印象に残っていますし、二人が出ていた選手権は見ていました。高校ではとにかく自分の中で人一倍練習をするということを決めていて、チームの全体練習が終わった後も、チームメイトやときには一人でシュートやドリブルの練習をしていましたし、オフの日もグラウンドに行ってました。最後の選手権で優勝したことや得点王になったこともそうですが、それ以上に自分の転機となった高校1年の頃のことの方が印象深いですね」
―そこで飯島選手にどのような変化が?
「当時、前橋育英はトップチームから6段階ぐらいチームが分かれていて、僕は当初一番下のチームでプレーしていました。そのチームを指導していたコーチからは考えながらプレーすることの大切さ、ゴール前での勝負の仕方、貪欲さや駆け引きなどを学び、メンタル的にもそして技術的にも、サッカーに対する考えを変えていただきました。そこは自分がプレーする上においてもベースになっています」
落ち込むよりも、試合に出られるよう努力することにフォーカス。
大学サッカーで学んだこと
―法政大学だからこそ成長できたと思う点は?
「高校とはプレスをかける速さやカラダの強さも違っていて、1、2年生の頃はあまり試合に出場できていなかったんですが、そこで我慢強さを養ったというか、ポジティブに捉えられるようになりました。落ち込むよりも、自分が試合に出られるよう努力することにフォーカスし、試合に出たときに結果を出せるような準備をしようと考えていたんです。そういう前向きな考え方は、大学に来てから学んだ部分が大きいですね。さらに、サッカーをより深く考えるようにもなりましたし、ゴール前の駆け引きなども大学に来てさらに成長したんじゃないかなと思います」
―では今、自分に足りないと感じているのはどういった部分ですか?
「プレーしていて感じたのが背中の部分の筋肉の強さですね。日本人はどうしても外国人と当たるとスピードやカラダで負けてしまうことがありますが、外国人選手を見ると背中の筋肉の強さが際立っているんです。そこが自分にも必要だなと。懸垂や背中の筋力を補うトレーニングで強化するのとあわせて、柔軟性を高めることもすごく必要なので、肩甲骨の可動域を広げることも意識しています」
今年から始めた一人暮らし。野菜を摂らない日を作らない。
飯島選手のカラダ作り
―そういった意味でもカラダづくりが重要だと思いますが、普段、栄養やコンディション管理についてはどのように工夫されていますか。
「食事の面では年に1~2回行われる『栄養講習会』を参考にしています。実はあまり野菜が好きではなかったんですが、大学入学後は積極的に摂るようにしています。疲労回復には大切な要素の一つになる果物も。今年から一人暮らしを始めているので、野菜が摂らない日がないようにしたり、栄養バランスが偏り過ぎないようにしています。また体重のコントロールという意味でも、睡眠の質を下げないためにも、夜10 時以降は食べないようにしていますね」
―サプリメントなども使用されていますか?
「やはり普通の食事だけでは補えない部分があるのでプロテインを飲んでいますね。体重を増やすためにもうまく活用していたのですが、高校時代に比べると5~6kg 増えて、相手を抑える力だったり、当たり負けしなくなったなと感じています」
―それ以外で大切にされていることは。
「疲労回復という点では大学と提携している接骨院で治療やマッサージをしたり、風呂上りには必ずストレッチをするようにしています。今はオフの時間になるべくストレスをかけないようにリラックスすることも心掛けています」
子どもたちに夢を与える憧れられる存在になりたい。
コロナ禍の経験と今後の目標
―コロナ禍での活動となり、大変だなと感じることも多いと思います。
「昨年はコロナ禍でチームとして集まることができず、一人でランニングや練習ということが多かったですし、つらい期間を過ごしました。ただ、同学年の選手でオンラインミーティングを行って、自分たちの考えや目標を本気で話し合うことができました。普段、なかなか得られないような時間を共有することができて、とても得られたものが大きかったですね。またチームで練習が出きるようになったときには、お互い強い意欲を持ってトレーニングや日々の生活に臨めていると感じています」
―今後の飯島選手の目標をお聞かせください。
「やっぱり将来的にはプロ選手として活躍したいという気持ちがありますし、子どもたちに夢を与える、憧れられる存在になりたい。なによりも、自分を育ててくれた周りの方々へ恩返しをすること、それを達成したいと考えています」
同世代のアスリートに向けてメッセージ
―最後に、同世代のアスリートにメッセージをお願いします。
「大学に来て試合に出られずに悩んだり、挫折することもあると思うのですが、そこがゴールではないと思うんです。これまで自分自身も投げ出したくなったこともあります。諦めたくなったことも。でも、そういう時にこそあらためて自分の目標が何だったのかを思い出し、気持ちをブラさないようにと考えていました。ブレずに目標を達成するために努力し続けることが大事だと思います」
※「アスリート・ビジョン#21」掲載/この記事は取材を行った2021年2月時点での情報です