帝京平成大学男子柔道部【注目チーム紹介 vol.51】

創部2年目の2021年関東学生柔道優勝大会男子2部で優勝を果たし、翌年には全日本強化選手選考会で優勝する選手を輩出した。まさに破竹の勢いで柔道界を席巻しているのが、帝京平成大学男子柔道部である。創部から4年とこの短期間で、なぜこれほど強くなったのか。その秘密に迫りました。

自主的に考え行動し結果につながる。その喜びこそがチームを強くする

帝京平成大学男子柔道部

小野卓志監督のもと2020年に創部。「心・技・体」すべてを鍛え、柔道だけでなく、大学卒業後の社会でも活躍できる人材育成を念頭に置きつつ、『不撓不屈の精神』をモットーに掲げる。部員数49名。

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不撓不屈の精神でチャレンジ/小野卓志 監督

柔道を通して取り組んできたことを自信に変えて社会に出てほしいです。そのためには、自主性が必要不可欠です。私たちは選手たちが自分で物事を考え取り組めるような道筋を示したいと考えています。『不撓不屈の精神』をモットーに、選手たちには常にチャレンジすることの大切さを伝え続けています。

小野卓志 監督/筑波大学出身。81kg級北京五輪代表。2020年から帝京平成大学男子柔道部の監督となり、2021年に全日本柔道男子強化コーチ(90kg級、100kg級)に就任。

応援してもらえる選手とチームに

「学生としてやるべきことはあたりまえにやる」主将として部員にもそれは伝えています。挨拶をする、授業に出る、課題を出す。毎日の生活をおろそかにしないことが、応援してもらえる選手になる、チームになることだと思います。

老野祐平さん 4年生 主将/長崎日大高校出身。創部当時から主将としてチームを牽引。2023年全日本選抜体重別選手権大会で優勝。9月に行われるアジア競技大会81kg級代表。 夢は教員になること。

柔道のために日常生活も軽んじない

創部まもなく新型コロナウイルスの影響で練習もできなくて、授業もオンライン。部をどうやって運営すればいいのか本当に手探りでした。「日常生活も柔道に影響する」ことを自分たちが率先して体現してきました。

大坪剣斗さん4年生 主務 /白鷗大学足利高校出身。手探りの中スタートしたチーム作りにおいて、主務という役割を担い、老野主将とともにチームを支えた一期生。

気持ちで負けないこと

粘り強く戦うことはいつも心がけています。技術で負けても、絶対に気持ちでは負けないと思っています。これからの自分たちの行動が、チームの伝統になっていくので、帝京平成大学らしいものを作っていきたい、という気持ちが強いです。

野村柊太さん 3年生 /北海高校出身。新しいチームを一から作り上げることに魅力を感じて進学。関東学生柔道体重別選手権大会の100kg超級で3位に入った。

仲間とともに考えて柔道をする

入部して、選手自身で考えて柔道をしている印象を受けました。高校は寮生活だったので、大学で食事が自炊になり大変ですが、チームメイトに相談して栄養素の勉強もしながら取り組んでいます。自分はまだまだ実績がないので、まずは目の前の一戦一戦に集中したいと思います。

原田流似さん 2年生/羽黒高校出身。自主性の高いチームで力を伸ばし、2023年7月の関東ジュニア体重別選手権大会73kg級では2位に入った。

CLOSE UP/ 栄養

自分たちで栄養バランスを考える、それもチームの強さを支えるひとつの要素

全員が一人暮らしをしているため、階級の近い選手同士で食事について話すことも多い。「体重が減らないように、とにかく炭水化物とたんぱく質をたくさん摂るようにしている」(野村選手)。「脂質を摂りすぎないように注意する」(原田選手)など、各自が自分に必要な栄養素を考えている。「コンディションを維持しながら無理せず減量できるように栄養学の授業で学んでいます」(大坪選手)。「柔道の技術力だけではなく、食事や体調管理もしっかりしているから強くなっていると思います。なので、栄養バランスの取れた食事を心がけるよう、後輩たちにもアドバイスしています」(老野主将)。

学食での食事も基本的に選手自身にセレクトを任せているので、体重、体調管理は選手たちもお手のものだ

CLOSE UP/ トレーニング

限られた時間と場所をうまく活用しつつ、能動的に行動することでトレーニング効果アップ

重量級と軽量級でチームを分け、トレーニング内容をそれぞれ変えることで、場所や時間を確保している。たとえば軽量級がラントレーニングをしているときには、重量級の選手たちがウエイトトレーニングを行っている。ラントレーニングによって体力のベース作りを行っているのも特徴のひとつ。基本的には選手自身が勝つためには何が必要かを常に考え、取り組むことを大事にしている。そのため、チーム内でトレーニング内容やコンディショニングの情報が共有されており、全体の練習に対する意識も高い。「全員が強くなりたいという思いを持ってくれている」(小野監督)。

CLOSE UP/ チームづくり

選手一人ひとりが自分で考え、自分で行動できるからチームとしての強さも生まれる

「創部4年目、ようやく全学年が揃ったところ、ここからが本当のスタート」と小野監督。1年生から主将を務める老野選手は「自分が強くならないと誰もついてこない」という思いから自分で考え、取り組んできた。また、教員になるという夢に向かって学業にも励む姿から、チームメイトたちも日常生活をおろそかにせずに取り組む大切さを学び、チームがひとつになった。自主性を重んじるチームの指導方針に、選手たちが応えたからこその結果である。

メンバーでミーティングを行い、部の理念を共有する。それもチームビルディングには欠かせない要素だ

※2023年10月16日発行「アスリート・ビジョン#31」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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