帝京大学 ラグビー部【注目チーム紹介 vol.49】

トップレベルで結果を残し続けられる秘訣、強さの源になっているのは一体何なのか――。2023年1月、全国大学ラグビーフットボール選手権連覇を達成し、通算11度目の大学日本一に輝いた帝京大学ラグビー部。選手主導でチームを運営していきながら、今だけでなく、社会に出ても輝ける人間に成長することを重要視したカルチャーが根づいている。大学ラグビー強豪校のチーム運営法やコンディショニング、栄養管理について監督やフィジカルコーチ、選手の皆さんに聞きました。

力強いラグビーで前人未踏の高みを目指し続ける

帝京大学ラグビー部

関東大学ラグビー対抗戦グループ所属。1970年創部。全国大学ラグビー選手権では2009年度から2017年度の9連覇を始め、11度大学日本一に輝いている。2022年は関東大学対抗戦グループAで全勝し、11度目の優勝。OBには堀江翔太、坂手淳史、姫野和樹、流大など多くの日本代表選手を輩出している。

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選手が考えて成長するチーム/相馬朋和 監督

チームとして、大学日本一になることを毎年目指していますが、選手各々が次のキャリアにつながる、より良い未来につながっていくことを目標に、日々の活動に励んでいます。中でも大切にしているのは“考える”こと。どういう自分になりたいのか、どの部分で成長したいのか、それを各々が考えて規律高く活動し、イメージを持つことが根幹になければならないですし、とても大切なことだと考えています。

相馬朋和 監督/帝京大学出身。現役時代はプロップとして活躍。2005年11月に日本代表デビュー。2007年のW杯フランス大会に出場するなど通算24キャップ。パナソニックのスクラムコーチ、ヘッドコーチを経て、2021年秋に帝京大学のFWコーチに就任。昨春、監督に就任し、チームを大学日本一へ導いた。

一人ひとりがチームのためを意識を向ける

常にチームのことを考える選手が多いほど、チームはさらに良くなり、強くなっていくと考えています。僕自身、主将として「このチームのために動きたい」と思えるようなチーム作りを意識して、それがチームの強さにつながると思います。歴代の主将の凄さは日々ひしひし痛感していますが、そこを目指し、最後には歴代の主将を超え、周囲から尊敬される存在になりたいです。そして、チームとしては、今季も絶対に大学選手権で日本一を! 三連覇をぜひ達成させたいです。

江良 颯さん 4年生 主将(フッカー)/大阪桐蔭高校出身。高校時代は全国大会優勝。大学でも1年生から中軸として活躍し、存在感を見せてきた。171cmと小柄だが当たり負けしない激しいコンタクトを武器としている。

ラガーマンとしても人としても成長できる場所

レベルが高い環境でラグビーを続けてきましたが、見て学ぶことはもちろん、スタッフや先輩方からアドバイスをいただいたことで、自分のプレーのレベルや技術も4年間で向上したと思います。また、ミーティングなどを通して、いろいろな人の考えを知ることができ、自分自身の成長にもつながっていると思います。学業とラグビーの両立は大変ですが、どちらも息が詰らないよう、気持ちをうまく切り替えています。

岡 大翔さん 4年生 主務(ロック) /京都成章高校出身。プレイヤーとして活躍する傍ら、主務としてチームを支える。「カラダは強くなってきましたが、周りと比べるとまだ弱い。今季は4年生の意地を見せたい」と意気込む。

CLOSE UP/ 栄養

選手の課題に応じて栄養アドバイス
1日5~6食で体重や体調を維持

ラグビー部は全員が寮で共同生活。常時1名、計3名の管理栄養士によって考えられたバランスの良い食事が3食提供されている。体重の増減量、体脂肪の管理などが必要な選手にはその課題に対応したメニューも提供。また、「試合後のリカバリーご飯は抗炎症作用があるアボカドやナッツを摂りましょう」など、LINEで細かくアドバイス。疑問があれば随時確認できる体制にしている。また、激しいコンタクトスポーツだけに、補食も含め、できるだけ1日で5~6食を摂ることを心がける。「炭水化物の摂取量を決めています。補食はチキンやゆで卵、ヨーグルトを主に摂っていますが、低脂質で高たんぱくを意識していますね」(江良選手)「運動するとすぐに体重が落ちてしまうので、1食の量を減らして補食の回数を増やしました」(岡選手)など選手の意識も高く、各自が工夫している。

ある日の朝食。骨強化の働きをもつビタミンDやDHAやEPAなどの豊富な魚料理は、毎日いずれかの食事に入るようメニューを調整している。

マンゴーパインスムージーとゆで卵、ライ麦パンの補食。低脂肪牛乳とプロテインを使用したオリジナルスムージーは1杯で10gのたんぱく質が摂取できる。

イベントメニューの鉄板焼き。コンディションやカラダづくりの目的に応じて選択できるようサラダバーを実施。食の楽しみが増えるよう、夕食ではイベントメニューも取り入れている。

CLOSE UP/ トレーニング

春のシーズンは筋肥大をメインテーマ
9割以上の力を発揮できる準備を行う

グラウンドでラグビーの練習とフィジカルトレーニングを交互に行い、選手たちはフィットネストレーニングとウエイトトレーニングをこなしている。年間を通じてウエイトに取り組むが、特に春シーズンは筋肥大をメインテーマに大きくて強いカラダをつくっていく。ただ、フィットネストレーニングでも走量は落とさず、常に9割以上の力を発揮できる準備を行う。また、選手個々が必要な筋肉を効率よく鍛えられるようフィジカルコーチが専用のメニューを作成しており、「大学に入ってさらにカラダが強くなったと感じるし、それが自信につながっている」(江良選手)という。フィジカルコーチ陣が果たしてきた役割は大きい。

カラダづくりはどこまでも伸ばせる分野だと思っています。もちろん、数値目標はある程度立てていますが、目指すところはさらに高くなければ進歩はありません。上を見る選手が多ければ多いほど強いチームになるので、メニューにメリハリをつけながら、より戦えるカラダを目指していきます。/フィジカルコーチ 加藤 慶さん

CLOSE UP/ チームづくり

全部員が役割を担当し、チーム活動を円滑化
大学随一のハイクオリティーな施設をフル活用

140人を超える大所帯では1年生から4年生までの全部員が、規律や風紀委員、施設管理、健康管理、食事など何かしらの役割を担い、円滑なチーム活動を図る。学年ごとにリーダーを設けミーティングを実施。「4年生のみならず、3年生もリーダーになって動いてくれる」(岡選手)という。学年の垣根を越えた話し合いやポジション毎でもミーティングが行われており、結束力を高めている。さらに、2011年に大学が設置したスポーツ医科学センターが選手たちをケアしている。MRIやレントゲンがすぐに撮影できるメディカルチェックルームやリカバリー施設、トレーニング施設や食堂などを備え、全面バックアップ。授業の空き時間を活用して利用できるので、選手たちにとっては心強い存在だ。

帝京大学の八王子キャンパス内にある スポーツ医科学センター は、ラグビー部のみならず、指定強化クラブの学生たちが使用している。

※2023年7月15日発行「アスリート・ビジョン#30」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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