帝京平成大学 女子サッカー部【注目チーム紹介 vol.37】

2020年度の全日本大学女子サッカー選手権大会で初めて日本一に輝き、WEリーグ(女子プロサッカーリーグ)やなでしこリーグ(アマチュアのトップリーグ)にも選手を多く輩出している帝京平成大学女子サッカー部。

大きな特徴は、日本代表経験を持つ矢野監督を筆頭に、経験豊富なコーチやトレーナーを配置しながらも、学生主体の取り組みも行っている点です。今回は選手、学生スタッフ、監督、コーチそれぞれにチーム運営やトレーニングについて伺いました。

支えてくれた周囲の方々に貢献し、インカレ連覇へ突き進む

帝京平成大学女子サッカー部

部員数63名。2020年度に創部以来初の全日本大学女子サッカー選手権大会(インカレ)優勝を果たす。現状に満⾜せず、⽇々向上のために努⼒する「格致⽇新」を部のテーマに掲げる。

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「今という現状に向き合い、一歩先を考える意識」

就任以来、現状に満足せず常に変化・進化をすることを意識し続けています。特に指導において重視しているのは、守備の改革と当たり前への疑問を持つことです。大学日本一と同時に「人間力の向上」も大きな目標です。選手たちには、今に向き合う姿勢を大事にしてほしいと思います。(矢野喬子 監督 )

「 チーム全員の力で目標へ向かう」

小さい頃から憧れていた矢野監督のもとで目標の日本一を果たすために入部しました。「人として大事なことを疎かにしない」チームを目指し、全員と向き合い続けたいと毎日思っています。

佐久間未稀さん(MF/DF)主将 4年生/ ボランチやCBとして豊富な運動量で攻守の要となる。2019年関東大学女子サッカーリーグでベストイレブンに選出。

「人を想う気持ちがチームの魅力」

4年生になった今年の目標は、何が何でもインカレ優勝です。ピッチを離れてもものすごく仲が良くて、一人ひとりがチームのために動けるこの最高の仲間たちと一緒に、2連覇します。

今田紗良さん (FW) 4年生 / 初優勝したインカレで最優秀選手(MVP)を獲得。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースでもプレー。

「選手の気持ちになり、万全の環境を準備する」

チームワークがうまくいかず大変な時期もありましたが、みんなでそれを乗り越えてきました。私たちスタッフはテーピングや試合準備、ドリンクの用意など選手がサッカーに集中できる環境づくりを徹底しています。

後藤優里花さん (学生マネージャー) 4年生 /高校まで女子サッカー選手として活躍。入学後にもう一度サッカーに関わりたいと感じ、スタッフとして入部。

CLOSE UP/ 栄養

アプリでコンディションを管理
食事や栄養への意識づけ効果UP

部として、2021年度からコンディション管理アプリを導入している。選手は毎日朝と夜に体調や体温、その日の食事内容などを入力。スタッフやコーチ陣はそれを全員分チェックし、指導につなげているという。入力が漏れている選手には、学生マネージャーなどが率先して声をかける。

チームとしてカラダづくりへのこだわりが伺える取り組みだ。特に今田選手は食事への意識が高い。「目的は体力向上。主にたんぱく質を意識して卵を多くとるようにしているのと、試合前日にはサバ缶丼をつくって食べています」(今田選手)。

今田選手のある日の食事。鶏肉の塩麹焼き、ニラ玉炒めなどの主菜、主食は玄米を。摂りにくいきのこ類もお味噌汁に入れるなど工夫をしながら栄養バランスを整えている。

温泉卵入りのお味噌汁や、塩さばフィレなど料理上手の今田選手。良質なたんぱく質が豊富な食材を選び、野菜もたっぷり摂取。

CLOSE UP/ トレーニング

試合終盤まで強いフィジカルを保つため
体力、スピード、コンタクトの3点を重視

稲垣フィジカルコーチが就任した2019年から本格的にカラダづくりが始まった。現在は週1回のウエイトトレーニングに加え、ウォーミングアップ時にジャンプやステップのメニューでアジリティを強化。試合前には量や強度を調整し、確実にピークを持って来られるよう工夫を凝らしている。

主な目的は「傷害予防」だと稲垣コーチは話すが、試合結果にも成果は現れている。それまでは試合後半になると相手選手に走り負けたり当たり負けたりするシーンも多かったというが、数年で強さが増し、2020年度にインカレで初優勝。強化が着実に実を結んでいる。

「選手とコーチ陣との意思疎通を支える」

1日2回の体調チェックで選手の睡眠時間や疲労度を確認して、気になる選手がいたら声をかけています。そこで選手の様々な考えや想いを聞くと、私ももっと頑張ろうという気持ちになれます。

川尻伎恵さん 3年生 学生トレーナー /自身の経験から、トレーナーはケガのケアだけでなくメンタル面でもサポートできることを感じ、トレーナーを志望。

「更なるアスリートととしての成長を期待」

選手たちには世界と戦えるフィジカルを身に付けてほしいと思います。授業やアルバイトなど学生生活との両立の難しさはあると思いますが、睡眠や食事など、アスリートとしての意識も高めていきたいです。(フィジカルコーチ 稲垣穂乃花さん)

CLOSE UP/ チーム運営

分析・掃除・荷物・地域貢献……
班分けで1人ひとりが役割を持つ

普段から、分析班、掃除班、荷物班などに分かれて活動。データ分析は矢野監督が特に研究するところでもあり、試合の準備・対策・反省に活用されている。また、今年から選手主体で地域貢献活動も行う。

「(インカレ優勝時に)清掃員の方やバスの運転手さんがお花をくださったりして、優勝できたのは自分たちの力だけではないことを実感しました」(後藤マネージャー)、「学校や地域の方々が支えてくださっているから私たちは活動できています」(佐久間選手)。

このような恩返しの気持ちを込め、校外の清掃活動や地域への挨拶を行っている。

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・vol.36 桜美林大学 野球部
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※2021年10月15日発行「アスリート・ビジョン#23」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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