新シーズンに向け理想のカラダづくり「ウエイトコントロール」は計画的にスタートしよう! 【NSCA監修】

試合から離れるオフシーズンは、カラダを変える絶好のチャンスです。目標としている大会に向け、しっかりと準備をして新たなシーズンを迎えましょう。大事なのは、一人ひとりの課題や目標に合わせたトレーニングを行うこと。オフシーズンや準備期間におけるウエイトコントロールのポイントを、ストレングス&コンディショニングコーチの吉田さん(NSCA ジャパン)に聞きました。

自分が目指すべき“理想のカラダ”を設定する

目的を決めて計画を立てる

活動量が少なくなるオフシーズンに体重が増えたまま練習開始を迎え、つらい思いで減量に励んだ人も多いのではないでしょうか。競技や目的にもよりますが、ウエイトコントロールの狙いは主に次の3つ。「増量」「体脂肪ダウン筋量アップ」「理想のカラダ(現状維持)」です。ポイントは、しっかり計画を立てること。目標としている大会に向けて、どうカラダを作るかを考えましょう。

体組成からグループ分け
目的・狙いから取り組み方を変える

図1 目的・ねらいからグループ分け

例えば、パワー不足が昨シーズンの課題だとしたら、筋肉量を増やさなければいけません。あるいは、スピードが落ちているようであれば、体脂肪率を下げる必要があります。全選手が「理想のカラダ(現状維持)」に入れるように、トレーニングと食事の方法を選択し、調整していきましょう。

競技特性や課題に対してターゲットを決める

例えば、野球の打球速度は、筋肉量に比例すると言われています。打球速度は飛距離につながるので、つまり、筋肉を増やすことでボールをより遠くまで飛ばすことができます。逆に、サッカーのよ うに緩急が必要な競技の場合、体脂肪が増えるとスピードが出にくくなる可能性があります。

また、コンタクトスポーツであるラグビーでは、ポジションや身長に合った体重・体脂肪率が必要に なります。

表1 選手の身長・体重からBMIを出し、ポジションごとにターゲットとなる体重・体脂肪率を設定(高校ラグビー選手を想定した例)

目的にあったトレーニングを選択する

ウエイトコントロールのためのトレーニング(例)

筋量アップ

  • 期間:3 ~6 週間
  • 頻度:3 回/週
現状維持

  • 期間:3~6週間
  • 頻度:2 回/週

体脂肪ダウン

  • 期間:3 ~6 週間
  • 頻度:3 回/週
 

メニューは課題や目的によって変えてください。週3回のトレーニングなら、ウエイトトレーニングを1 回、サーキットトレーニングを2 回でもいいでしょう。減量を目的とする場合は、ウエイトトレーニング→ 有酸素トレーニングの順に行うと効果的です。

柔軟性や関節の可動性を高める

ストレッチで柔軟性を確保

カラダの機能を維持する上で、柔軟性を保つことも重要です。特に心がけておきたいのが、カラダ づくりをその後の競技につなげること。ただウエイトトレーニングをするだけでは、カラダの機能が 退化してスムーズな動きができなくなることもあります。アスリートであれば、柔軟性を高めるストレッチは欠かすことができません。

最近は、自由にカラダを動かす能力を指す「モビリティ(可動性)」 にも注目が集まっており、股関節周りなどの柔軟性を高めることで、パフォーマンス改善の効果があると言われています。

メンタルのケアも忘れずに

「早く練習が 始まってほしい」と思えるのが理想

オフシーズンで大切なのは、何よりも心のリフレッシュです。ストイックにトレーニングをし過ぎると、カラダも心も疲れてしまいます。理想は、「早く練習が始まってほしい」という気持ちに自然となること。 だからといって、オフシーズンにまったくカラダを動かさないのは、良いことではありません。

「オフを長く取り過ぎると、体力を取り戻すのにつらい思いをしないといけない」と多くのトップアスリートが口にしています。「週3回、1時間はカラダを動かす」、と決めておき、シーズンインする前にしっかり準備しておきましょう。ケガの予防にもつながります。

オフシーズンこそモニタリング

毎日、体重・体組成を計測しチェック

新年会やイベントなども多くある冬のオフシーズンは、特に体重が増えやすい時期。帰省して、久 しぶりに家族や友人と食事をするという人も少なくないでしょう。しかし、オフシーズンの間も、体重・体組成をしっかり管理することが重要です。体重が増えすぎると、いざカラダづくりに取り組もうとしても、はじめにキツい減量が必要になってしまいます。毎日、できるだけ同じ時間に体重計に乗り、自分のカラダをモニタリングすることを心がけてください。体重の増量は、月2㎏が上限です。

吉田直人さん
CSCS、NSCA-CPT、NSCA ジャパンマスターコーチ。育成年代からプロ選手まであらゆる競技のアスリートを指導。ジャパンラグビートップリーグのHonda HEAT で5 年間、ヘッドS&C コーチとして従事。

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※2022年1月15日発行「アスリート・ビジョン#24」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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