年間トレーニング計画を立てて効率よく鍛えよう【NSCA監修】

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2020年は多くの大会が中止になり、思うようなパフォーマンスを発揮できなかった人も多いと思います。だからといって来シーズンに向けて過度なトレーニングをすると、怪我につながることも。まずは、しっかりとトレーニングの計画を立てることが必要です。そこで今回は効率よく鍛えるための年間トレーニング計画の立て方を解説します。

トレーニング計画の立て方

トレーニング計画は、目標とする試合にベストな状態で臨むためと、日々の練習を競技力向上に効率よくつなげるために必要なものです。大まかなスケジュールから細かなスケジュールへ段階的に計画を立てていきましょう。

年間トレーニング計画表(NSCA監修)

まずは、トレーニング計画表をダウンロードしよう。

トレーニング計画表の見方・書き方 [各項目の説明]

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年度、大学名、競技部活名などを記入し、監督やコーチ、部全体として共有する。

②月別、週別に区分け。サンプルは日曜スタートだが、計画が立てやすければ月曜スタートなどスケジュールに応じで臨機応変に対応。

③「Week No」はリーグ戦の開幕から逆算し、1週間単位で記入。試合のどこに焦点を当てるか検討し、◎、○、△など、3段階程度に分け、ピークの合わせどころを明確にする。

リーグ戦の対戦相手を始め、強化合宿の予定や練習試合の対戦相手を記入する。

⑤試験や春夏休みなど大学でのスケジュール、競技シーズンなのかオフなのかなど、部としての活動期間を明記。

⑥課題や試合から逆算し、トレーニング面での大きな目標を立てる。 シーズン中の強化は難しいため、維持をメインとし、それ以外は2~6週間程度のブロックで区切るようにする。

ウェイトトレーニングの頻度(週何回、何十分やるのか)を記入。リーグ戦中の維持期1、2は刺激を変えるため、回数やトレーニング種目を変更するといい。

ジャンプトレーニングの強度を記入。段階的に強度をアップ。急に高強度のものを行ったり、高強度のトレーニングを続けると怪我の要因になるので変化をつける。
スピードの目標と頻度(週何回、何十分やるのか)を記入。加速や方向転換、最大スピードのトレーニングを循環させることで様々な能力が向上する。競技によっては求められないものや、課題によって期間やサイクルを調整する。

有酸素運動の目標と頻度(週何回、何十分やるのか)を記入。心肺機能のベースを作ったうえで、休息を取り入れながらのインターバルトレーニング で強度の高いランニングを繰り返す。リーグ戦前はダッシュを何度も繰り返す(リピートスピード)ことで試合に近いトレーニングを実施。

体力測定のモニタリングを行う時期に印をつける。オフやプレシーズン時に実施し、シーズン中の評価に加え、次のシーズンへ向けての見直す機会にする。

トレーニングのボリュームを可視化しよう。トータル的にどこでトレーニングを強化して、どこで落とすのかを可視化することで、怪我のリスクを回避する。

[書き方の手順]

1.トレーニング計画の立て方ですが、まず最初に大会などのゴールを決める。並行して、強化合宿予定やシーズン開始時期、遠征など、スケジュールを書き込んでいく。

2.自分に必要なフィジカルの課題を抽出。筋肉量を上げるのか、下半身を強化するのか、持久力を付けたほうがいいのか、必要な課題を明確に。

3.ゴールまでの間に、課題に対してどのようにアプローチしていけばいいのか、トレーニング内容を考える。

4.前のシーズンを振り返りつつ、試合や大学などのイベントも考量し組んでいく。計画表は修正しながら作り上げていく。

効率的なトレーニング計画!5つのポイント

これまで多くの国内トップチームやアスリートをサポートしてきたストレングス&コンディショニングコーチの吉田さん(NSCAジャパン)にトレーニング計画の立て方のポイントをアドバイスしていただきました。

01 課題を抽出し個々に応じた計画を立てる

目的に応じて反復回数を変える

下の表は、様々なトレーニングの目標と、関連する最大反復回数の範囲を示したものです。例えば、筋肥大を目的とした場合、反復回数は6~12 回がもっとも効果的。この範囲内で上げられる重量を使ってトレーニングを行いましょう。

▲トレーニング目標

また、上の表は、エクササイズの回数を目的や狙いによって変えることを示した、プログラムの具体例です。リーグ戦がある競技は、2カ月くらいコンディションを維持する場合も出てきます。試合があるからといってトレーニングを落とし、その結果、リーグ終盤に力が出せなくなることがないよう、コンディションを維持するためのトレーニングを心がけてください。監督、コーチに相談すれば、より明確に自分の課題に合った取り組みができます。

02 休息時間を設定する

回復にかける時間を目的によって変える

効率のいいトレーニングをするためには、回数だけでなく休息時間を設定することが重要です。例えば、同じスクワットでも筋力アップを目的とした場合は、1セット目と2セット目の間に2 ~5 分くらいしっかり休まないと回復しません。逆に筋持久力のアップを目的とした場合は、30 秒以下の短いタイミングで次のトレーニングに移ることが推奨されます。30 秒だとまだ完全に回復しておらず、呼吸もゼーゼーしているかもしれません。しかし、そこにこだわることが重要で、トレーニングの質が向上すれば、結果も出やすくなります。

03 テクニックを磨く

1㎝の差にこだわる

スクワットをするときは、太ももが床と平行になるまでしゃがむのがポイントです。しかし、このしゃがむ位置が1cm ズレるだけで、効果も全く異なります。陸上競技の短距離走を専門にしている人なら、0.01 秒の差にこだわるでしょう。ゴルフなら、パットが1cm 内か外かで入るか入らないかが決まることがあります。トレーニングも同じ。「1cm 下げよう」「あと1cm 高く」「1cm 前に」など、1cm の差にこだわってください。

04 毎日モニタリングする

数値でトレーニングの成果を可視化する

トレーニングの結果を数値化するなど、必ずモニタリングしましょう。6 カ月もかけてトレーニングしたのに、モニタリングをしていなかったら、そのトレーニングがよかったのか悪かったのか評価ができません。逆に、定期的にモニタリングしておくと、思ったほど効果が出ていなかったときにプログラムを見直すことができます。バレーボールならジャンプの高さ、バスケットボールならシャトルランのタイムを計測してもいい。数値が上がっていると、モチベーションの向上にもつながります。

05 栄養と睡眠でカラダをリカバリーする

トレーニングの効果を最大限に引き出す

カラダづくりにおいて、トレーニング以上に大きな影響を及ぼすのが食事です。いくらトレーニングをしても、栄養が十分摂れなかったら筋肉はつきません。休養も同じ。いつも8 時間寝ている人に比べて、7 時間しか寝ていない人の怪我の発生率が約2倍近く増加するというデータもあります。何より、最高の回復は睡眠です。トレーニングの効果を最大限に引き出すのは、栄養と休養であることを忘れてはいけません。

吉田直人さん
CSCS, NSCA-CPT, NSCAジャパンマスターコーチ。育成年代からプロ選手まであらゆる競技のアスリートを指導。ジャパンラグビートップリーグ Honda HEATヘッドS&Cコーチとして5 年間従事し、2017 年4月から現職。

※2021年1月15日発行「アスリート・ビジョン#20」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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