心とカラダのコンディショニング術
メンタルコーチングで実現する
目標達成までのアプローチ

競技はもとより日常生活でも高いパフォーマンスを発揮するには、コンディショニングが大切です。気持ちを整えるメンタルコーチングや睡眠をしっかりとるための快眠術など、アスリート必見の心とカラダのコンディショニング術を紹介します。

メンタルコーチングで実現する
目標達成までのアプローチ

競技力を高めてインカレなどの目指す大会で結果を出すために、どうやって進んでいくか。メンタルコーチングでの目標設定・マネジメントの手法を、ナショナルチームや数々のトップアスリートのメンタルコーチを務めてきた一般社団法人フィールド・フロー代表の柘植陽一郎さんに伺いました。

目標達成までのプロセスは、5つの要素に分解して整理すると取り組みやすいでしょう。思考・感情・身体感覚を総動員して目標へ向かうプロセスも味わいながら歩を進めてまいりましょう。

自分が「前のめり」になる「目標」を立てよう

目標は望む未来に自分を引き寄せる強力な磁石です。あなたが到達したい未来のシーンを想像してみてください。2年生の時、3年生の時、4年生の時どうなっていたいですか、目指す大会でどのような体験をしたいですか。

一番あなたが「前のめりになる目標」を考えてください。順位・タイムなどの数値目標やパフォーマンスの詳細を分解した目標、達成してお世話になった人に感謝の報告をするストーリー目標など、自分をやる気にさせる「ワクワク感」のある目標を、チーム目標と並行して考えてみましょう。

目標達成に必要な要素を考えよう

目標達成に必要なことを洗い出し整理します。例えば、インカレの決勝まで進み、こんなパフォーマンスがしたい。そのためには、「心・技・体」、「戦術」、「コミュニケーション」のどんなことが、どのレベルまで必要か考えてみます。

頭の中だけでは整理が難しいので、ノートなどに書き出して「見える化」するのがポイントです。過去から未来へ時間軸で整理したり、目標を中心に入れて、必要なことや関係することを放射状に思考を広げてみるのもオススメです。

フィジカル面でアジリティや持久力はどうか、戦術面での理解度はどうか。各要素を細分化することができます。また、付箋など使って視点を変えて整理する方法もあります。チームの距離感や関係性を見える化し俯瞰することで、新しい発見をすることもありますよ。

 

「現状把握」して「アクション」を具体化する

目標達成に必要なことがピックアップできたら、現時点での自分の点数をつけてみましょう。点数を上げるためにどうすればよいか、週間の練習スケジュールと見比べて、点数を上げるために必要なトレーニングができているか検証してみます。

「個人で何の練習が必要?」「一人でできないなら誰に頼む?」などやるべきことを具体化していきます。自分自身でパフォーマンスを設計することがとても重要です。

「タイムライン」を歩いて「臨場感」を味わう

目標までの設計図が出来上がったら、現在から目標までのタイムラインを実際に歩いてみましょう。自分の部屋で数メートル歩くだけでも、臨場感を持って時間の流れを体感できます。

定期的に行うことで、どのタイミングで、何をどの程度仕上げるか、仕上がり具合の進捗とアクションの改善などに気づけると思います。

これは多くのトップアスリートが実践している方法です。ある選手は現地入りした日から、一日ごとにタイムラインを歩き、試合への準備を確認していました。優勝して凱旋帰国する日の自分をイメージし、その時の自分から今の自分へのメッセージを考えたりしたそうです。

ノートなど平面に書くことは、冷静にプランニングできるメリットがあり、空間を使ってタイムラインを歩くことは臨場感を持って、感情や身体感覚を味わうことができます。状況にあわせて使い分けるようにしてみてください。

 

柘植陽一郎(つげ・よういちろう) さん
スポーツメンタルコーチ、一般社団法人フィールド・フロー代表。専門はメンタル、コミュニケーション、チームビルディング。日本と韓国でスポーツメンタルコーチ養成講座を開講し、卒業生は国内外で活躍している。著書に「最強の選手・チームを育てるスポーツメンタルコーチング」、「成長のための答えは、選手の中にある」(共に洋泉社)

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