睡眠をマネジメントして最高の眠りを得る方法とは?

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大学の授業もリモート化され、生活リズムの乱れも起こりやすくなっています。この乱れが睡眠の乱れとなり、さらに健康の乱れにつながる。 この悪循環を断ち切ることができる、良質の睡眠を勝ち取るマネジメント方法をご紹介します。

質の悪い睡眠を取るとどうなるの?

今、コロナ禍にあって慣れないリモート授業にストレスが積み重なったり、アスリートであれば先行きへの不安があったりして、睡眠の“質”が悪くなりやすい傾向にあります。「睡眠はフラジャイル(壊れやすい)」といわれるように、不安や緊張、体温や室温、湿度なども簡単に睡眠の質に影響を与え乱れてしまいます。特にアスリートは、緊張や不安を抱えやすく、寝ても寝足りないと感じる方が多くいるようです。

質の悪い睡眠は、成長ホルモンの分泌が悪く、疲労が溜まり、免疫力の低下を招きます。さらに、集中力が散漫になり、ケガや故障につながってしまいます。脳とカラダのメンテナンスが出来ず、老廃物が溜まり続け、結果、パフォーマンスを向上させるどころか、低下を招いてしまうことにもなりかねません。

大学生となるとスポーツと勉強の両立も大変ですし、睡眠時間を削ってでも友達と遊びたいかもしれません。でも、トップアスリートほど睡眠をマネジメントして、パフォーマンス向上につなげているのです。

すぐに返せない『睡眠負債』
『睡眠負債』とは、日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、カラダにも心にも悪影響を及ぼしてしまう可能性のある状態のこと。睡眠負債がやっかいなのは、寝だめで一括返済、とはいかないところ。毎日の睡眠の質を少しでも高め、コツコツと返済していくしか方法はない。ただ、睡眠負債が返済しきれたとき、きっとカラダも心もスッキリと生まれ変わっていることだろう。

パフォーマンスが向上する良質な睡眠とは?

■最初のノンレム睡眠が最も深い睡眠

睡眠はノンレム睡眠(深い睡眠)とレム睡眠(浅い睡眠)を繰り返すが、就寝後、最初のノンレム睡眠(約9 0分)が最も深い状態になっていることが大切。この最初のノンレム睡眠のときに、成長ホルモンが多く分泌され、カラダや脳の修復が行われる。

■深部体温がしっかり下がって入眠する

深部体温が下がることで人は睡眠に入っていく。カラダの熱は、手足などのカラダの表面から抜けていく。毛細血管が集中している手足がラジエーターのような働きをして、体温を下げてくれて、深い睡眠に誘ってくれるのだ。手足が温かくなるのは、カラダが寝る準備をしている証拠である。

■カラダと脳の掃除をしてくれる

野球場を思い浮かべてほしい。試合中は掃除をしてもまたすぐに汚れてしまうが、試合が終わって人がいなくなったときに掃除をすればキレイになる。つまり、睡眠時には起きているときにはできない、カラダや脳の老廃物の掃除をしてキレイにしてくれているのだ。

睡眠はパフォーマンスに影響する
スタンフォード大学のバスケットボール選手を対象に、1 カ月以上、10 時間以上寝かせた実験がある。彼らに何が起こったかというと、フリースローが今までよりも多く入るようになったり、70m 走が0.5 秒近く速くなったりしたのだ。一流選手を集めていたので、日々のトレーニングによってパフォーマンスが急に向上するとは考えにくい。そのため、十分な睡眠がアスリートのパフォーマンスに影響すると考えられるのだ。

良質な眠りを得るための8つの方法

コロナ禍だからこそ、普段の生活で溜まってしまった睡眠負債を少しずつ返していこう!

深部体温を下げる

深部体温が下がり、皮膚温度との差が縮まることで人は眠りに入る。ラジエーターの役割を果たす手足の熱放出を助けてあげれば入眠の質が上がる。靴下をはいて寝るのは、まさにこの熱放出を妨げるので気をつけよう。

②室温・湿度を適切に保つ

室温が高いと寝にくくなってしまう。夏であれば寝室を26 度前後、冬でもできれば22 度前後に保とう。湿度は50 ~60%程度が理想。

自分に合った寝具を使う

カラダの熱の放出は、寝具も関係する。自分が入眠しやすいパジャマや布団、ベッドなどを選ぶのが大切。熱がこもるような衣類は避けたほうが良い。

カフェインをとらない

脳を活性化させるカフェインは、摂取するとカラダから抜けるのに4時間かかる。そのため、就寝直前にカフェインを取ると寝付きが悪くなって質も悪くなってしまうのだ。

脳を覚醒させるスマホを見ない

光は覚醒のスイッチ。ベッドでスマホを使っていると覚醒スイッチを入れてしまい、いつまでも脳とカラダが寝る準備ができず、睡眠の質の低下を招く。

 寝る直前はお風呂につからない

リラックスできる入浴も、深部体温が下がるまでに約90 分かかってしまう。寝るまでに90 分取れないときは、シャワーで済ませたほうが睡眠の質は上がる。

リラックスできる環境を作る

緊張は睡眠の妨げになってしまう。不安なことをできるだけ考えずにすむために、好きな音楽を聴いたり香りをかいだりして、自分なりのリラックスできる環境を整えてみよう。

就寝時間をできるだけ規則正しくする

就寝時間と起床時間はできるだけ同じにすることが、質を高める第一歩。難しければ、できるだけ就寝時間を同じにすることで、質を維持することができる。

実は間違っていた!?睡眠の常識・非常識

シンデレラタイム(22時)がある?
22時に寝ないと成長ホルモンが出ない、というのは間違っています。もちろん早いに越したことはありませんが、いつ寝ても、大切なのは最初の約90分のノンレム睡眠の質です。
ノンレム睡眠とレム睡眠は90分サイクル?

だいたい90分サイクル、というだけであって、人によって違います。たとえば10分違うだけでも、就寝から起床までの時間を考えると大きくズレてしまいます。

休日に多く寝れば睡眠不足は解消できる?

休みの日に多く寝たからといって、睡眠不足は解消できません。大切なのは、量ではなくて質。睡眠不足は、毎日の睡眠の質を上げてコツコツ返すしかないのです。

株式会社ブレインスリープ代表取締役。米国スタンフォード大学医学部精神科教授。世界最高の睡眠研究機関と呼ばれている、スタンフォード睡眠・生体リズム研究所所長、医師、医学博士。「睡眠の謎を解き明かして社会に還元する」を命題に、多くのアスリートから支持されているエアウィーヴの研究開発にも携わる。1995 年生まれ大阪府出身。著書に『スタンフォード式 最高の睡眠』、『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』がある。

※2020年10月10日発行「アスリート・ビジョン#19」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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