
長かった自粛期間を経て、多くの学生アスリートが活動を再開しました。しかし、いきなり強度の高 いトレーニングをすると、ケガのリスクを高めます。ケガを防止するためには、コンディショニングの面でどういったことに留意すれば良いのでしょうか。ストレングス&コンディショニングコーチの吉田直人さん(NSCA ジャパン)に話を伺いました。
「自分を取り戻すために、今できることを」ポイントは4つ。
① どういうパフォーマンスを発揮したいか?
ディトレーニングとは?
運動習慣や継続してきたトレーニングを休止・中断すること。また、それによって、それまでに獲得したパフォーマンスを部分的または全体的に損失することを言います。特にオフ明けのトレーニングは、細心の注意が必要です。NSCA(National Strength and Conditioning Association)のガイドラインによると、再開後のトレーニングは負荷の割合を1 週ごとに50%、70%、80%、90% と徐々に上げていきます。
②ケガを予防するトレーニングを行う
筋肉痛を回復のバロメーターにしよう
最初の1週目は筋肉痛が出ることが予想されます。通常、48 時間で筋肉痛が回復すれば、そのトレーニングは“いい負荷”です。それが72 時間以上抜けないようであれば、その人にとってその負荷は強すぎるかもしれません。トレーニングの再開から2 週目になれば、筋肉痛の回復も早くなります。5 週目になれば、同じ負荷でトレーニングをしても筋肉痛は出ないでしょう。
③カラダの変化をモニタリングする
日々の食事も、トレーニングの重要な要素です。運動量が少なくなれば、当然、消費カロリーが落ちます。摂取カロリーが増えすぎると、体重が増加し、身体組成も大きく崩れます。できるだけバランスの取れた食事を維持し、体重や体脂肪率、筋肉量を定期的に測定しておきます。
④痛めたカラダをリカバリーする
いかがでしたか? 長かった自粛期間を経たカラダは万全ではありません。「今できること」を考えながら、以前と同じように力を発揮できる状態に戻るまで、時間と工夫をしながらトレーニングを行いましょう。

CSCS, NSCA-CPT, NSCAジャパンマスターコーチ。育成年代からプロ選手まであらゆる競技のアスリートを指導。ジャパンラグビートップリーグ Honda HEATヘッドS&Cコーチとして5 年間従事し、2017 年4月より現職。
※2020年7月10日発行「アスリート・ビジョン#18」掲載/この記事は取材時点での情報です。