ステイホーム後のトレーニングを計画的に行う4つのポイント

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長かった自粛期間を経て、多くの学生アスリートが活動を再開しました。しかし、いきなり強度の高 いトレーニングをすると、ケガのリスクを高めます。ケガを防止するためには、コンディショニングの面でどういったことに留意すれば良いのでしょうか。ストレングス&コンディショニングコーチの吉田直人さん(NSCA ジャパン)に話を伺いました。

「自分を取り戻すために、今できることを」ポイントは4つ。

どういうパフォーマンスを発揮したいか?

競技に求められる体力を取り戻す
アスリートを対象とした「コンディショニング」は、“ 思い通りに体を動かせるようになる” ことを意味します。つまり、公式戦に向けて戦える状態になっていることが、コンディショニングが「できている」「できていない」の差。スピード、パワー、心肺持久力、柔軟性、バランスなど、まずは自分の競技に求められる体力を取り戻しましょう。
トレーニングの計画を立てる
公式戦の日程が決まったら、そこから逆算してトレーニングの計画を立てます。ただし、急にトレーニングの負荷を上げるなど、無理な計画はケガの元。学生アスリートであれば、体力を取り戻すまでに約5週間は必要です。公式戦までは、少なくとも3 カ月の期間を見込んでおきましょう。
ディトレーニングとは?

運動習慣や継続してきたトレーニングを休止・中断すること。また、それによって、それまでに獲得したパフォーマンスを部分的または全体的に損失することを言います。特にオフ明けのトレーニングは、細心の注意が必要です。NSCA(National Strength and Conditioning Association)のガイドラインによると、再開後のトレーニングは負荷の割合を1 週ごとに50%、70%、80%、90% と徐々に上げていきます。

ケガを予防するトレーニングを行う

段階的に負荷を上げる
ケガの傾向は競技によって様々です。例えば、サッカーで多いのが足首の捻挫。トレーニング再開後に、ボールを使った対人などいきなり強度の高い練習をすることで怪我を引き起こします。はじめは敏捷性を養うアジリティトレーニングなどを取り入れて、バランス感覚を取り戻しましょう。
熱中症に注意する
夏場は熱中症に注意しなければいけません。自粛期間の3~5月に比べて、6月以降は気温が高い上に湿度も高く、練習中のマスク着用が義務付けられることもあります。練習再開から2週間が危険な時期で、特に熱中症は最初の3日間に発症しやすいという報告もあります。

筋肉痛を回復のバロメーターにしよう

最初の1週目は筋肉痛が出ることが予想されます。通常、48 時間で筋肉痛が回復すれば、そのトレーニングは“いい負荷”です。それが72 時間以上抜けないようであれば、その人にとってその負荷は強すぎるかもしれません。トレーニングの再開から2 週目になれば、筋肉痛の回復も早くなります。5 週目になれば、同じ負荷でトレーニングをしても筋肉痛は出ないでしょう。

カラダの変化をモニタリングする

体重や体脂肪率、筋肉量を測る

日々の食事も、トレーニングの重要な要素です。運動量が少なくなれば、当然、消費カロリーが落ちます。摂取カロリーが増えすぎると、体重が増加し、身体組成も大きく崩れます。できるだけバランスの取れた食事を維持し、体重や体脂肪率、筋肉量を定期的に測定しておきます。

自分の成長度合いを知る
モニタリングはトレーニングの内容や結果でも行えます。例えば、1キロ走のタイムを定期的に計測します。1カ月に1 回でも構いません。前回よりタイムが縮まっていれば、スピードがついた証拠。ウェイトトレーニングで使用するバーベルの重量をモニタリングしておけば、どれくらい力がついたかがわかります。

痛めたカラダをリカバリーする

心をケアする
大学生の場合、スポーツのことだけでなく勉強や就職などあらゆる心配事がつきまといます。大会が中止になり、目の前の目標を失ったという人もいるかもしれません。カラダだけでなく、心のケアにも努めましょう。
良質な睡眠を取る
自粛明けはちょっと運動するだけで疲労が大きく蓄積します。トレーニングの後は、痛めたカラダを回復させるリカバリーにも重点を置きましょう。大事なのは、栄養のある食事に加えて質の良い睡眠です。

いかがでしたか? 長かった自粛期間を経たカラダは万全ではありません。「今できること」を考えながら、以前と同じように力を発揮できる状態に戻るまで、時間と工夫をしながらトレーニングを行いましょう。

吉田直人さん
CSCS, NSCA-CPT, NSCAジャパンマスターコーチ。育成年代からプロ選手まであらゆる競技のアスリートを指導。ジャパンラグビートップリーグ Honda HEATヘッドS&Cコーチとして5 年間従事し、2017 年4月より現職。

※2020年7月10日発行「アスリート・ビジョン#18」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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