毎日コツコツ続けたい! 競技力向上のためのストレッチ習慣【ストレッチのプロに聞いた】

ストレッチはいつでもどこでもできる効率的なセルフケア。だからこそ、忙しい学生アスリートは日々取り入れてほしい。そのためにも知っておきたいストレッチの目的や習慣化のポイントなど、数多くのトップアスリートを指導するフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんに解説してもらいました。

Step1 ストレッチの目的を理解しよう!

ストレッチの種類は大きく2種類。運動前のウォーミングアップとして行い、関節可動域を広げて動けるカラダを準備するための動的ストレッチ。運動後にクールダウンで行う静的ストレッチは、反動や弾みをつけずに筋肉をゆっくりと伸ばして行く。同じストレッチでもそれぞれ特徴や効果が異なるので、目的に合ったストレッチを取り入れることが重要だ。

どんなメリットがあるの?

☑ケガ予防
☑トレーニング効率アップ
☑パフォーマンスアップ

筋肉が硬いと関節の可動域も制限され、筋肉やほかの動作でカバーしようとする代償動作が発生する。スポーツによるケガの多くは過剰な代償動作によるものと言われている。柔軟性を高めて正しい動作ができればケガの予防とパフォーマンスアップにつながる。また、柔軟性のある筋肉は回復が早い。トレーニング後の筋肉は、収縮が続いているのでストレッチでしっかりと伸ばそう。リカバリーの時間を短縮できれば、強度の高い練習を安全に増やすこともできる。

Step2 静的ストレッチの基本をおさえよう!

ストレッチは競技でよく使う部位を中心に行う。「表をやったら裏もやる」「硬い部位を入念にやる」など自分のカラダと向き合いながら、バランスを整えることも大切。目安となる時間はだいたい1回20〜30秒。2〜3セット繰り返すことで筋膜の抵抗が下がり、より筋肉が伸長される。筋膜は、筋温が高まった運動後や入浴後に緩むので、そこでストレッチを行うとより筋肉に効きやすくなる。強度は「イタ気持ち良い」くらいの感覚で。「気持ちいい」だけでは脳にサルコメア(筋節)の数を増やす司令が送られず、逆に「痛すぎる」ほど伸ばすのもNG。

柔軟性向上の仕組み
筋肉の長さはサルコメア(筋節)の数が増えると長くなる。筋肉が長くなると関節可動域が広がり、柔軟性が高くなる。正しい方法で毎日行えば、必ず柔軟性は高まる。

Step3 “今日からできる”ストレッチを習慣化しよう!

トレーニングもひとりでは続けにくい。それはストレッチも同じ! ひとりではなく、みんなで一緒に行うことから始めよう。オススメは、トレーニング後のストレッチを練習時間に組み込んでしまうこと。チームで一緒にやるタイミングさえ決めてしまえば、自然と習慣化できるはずだ。

1日5分の新習慣
\学生アスリートに続けてほしい/
腰まわりの静的ストレッチ3選

腰はカラダの要(かなめ)。どんな種目でも必ず使う腰まわりは、しっかりとストレッチをしてケアしておきたい部位だ。腰の動きを良く保つためには、「大臀筋」、「中臀筋」、「梨状筋」を伸ばし、股関節まわりの可動性を高めることがポイントになる。

大臀筋

仰向けになり、脚を組む形を作る。片脚の膝裏を抱え込むようにして、大臀筋(お尻全体)を伸ばす。脚を組んでいる側のお尻が伸びているのを感じ取ろう。足を入れ替えて左右行う。背中を丸めず、腰を床につけて行うのが大事なポイント!

別アングル

背中を丸めず、腰を床につける

中臀筋と腰まわり

仰向けの状態で片脚にタオルを引っかけて、ゆっくり横に倒す。お尻の上側から側面にかけて、腰の下部あたりが伸びるのを感じよう。カラダが捻り過ぎて横に倒れないように、できるだけ背中は床につけておくようにしよう。

梨状筋

片方の脚を抱きかかえるようにして座り、抱いている側の脚の方向に顔を向ける。お尻の中間部分の奥深いところが伸びているのをしっかり感じよう。背筋を伸ばして、骨盤をできるだけ前傾させて行おう。

中野ジェームズ修一さん
(株)スポーツモチベーション 最高技術責任者。フィジカルとメンタルの両面を指導できるトレーナーとして活躍。2014年より青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で多くのアスリートの指導にあたっている。

※2024年4月15日発行「アスリート・ビジョン#33」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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