学生アスリート必見の筋トレ講座①前鋸筋にアプローチ【トレーナーに聞いた】

部活動や学業で忙しい日々を過ごしている学生アスリート。「トレーニングの時間が足りない」という悩みを抱えている人も少なくないと思います。限られた時間の中で成果を出すには、鍛えたいパーツにフォーカスを当てて効率よくトレーニングをするのがポイント。ムダなくできるパーツ別のトレーニングを、八王子スポーツ整形外科の工藤トレーナーに教えてもらいます。

今回は「前鋸筋」にアプローチ

肋骨と肩甲骨をつなぐ筋肉で、「投げる」「(バットを)振る」「(空手やボクシングの)パンチする」など腕を前に出す動作に関わる。脇の下に広がっており、その形が鋸(ノコギリ)に似ていることから前鋸筋と呼ばれている。前鋸筋が機能すると肩甲骨の動きが安定するため、肩の痛みの改善やパフォーマンスアップにつなげることができる。

1.プランクプッシュリフト[前鋸筋]6回

やり方

脚を伸ばした状態でうつ伏せになり、肩の真下にひじをついて上半身を起こす。いわゆる「プランク」の姿勢から、自分のカラダが上に押し出されるように肩甲骨を広げる。そのまま肋骨を締めるように背中を丸め、真上に上げていく。さらにひじで床を押して肩甲骨を広げながら斜め後ろにお尻を引いていく。息を吐きながら5秒でカラダを上げ、息を吸いながら5秒で戻す。

ポイント

胸を張って助骨を開こうとすると、腹斜筋に刺激が入らない。肩甲骨を広げ、肋骨を締め、お尻を斜め後ろに引いていくイメージ。お尻を引くことで肩の角度が変わり前鋸筋が伸びるため、より負荷がかかりやすい。胸が張って肩甲骨を広げられないと前鋸筋に刺激が入りづらいので注意しよう。

ひじが開くことで前鋸筋への刺激が減るため、タオルやチューブを手に持って行ってもよい。

2.トランクツイストプッシュアップ[前鋸筋・腹斜筋]10秒×5セット

やり方

腕立て伏せの姿勢を取り、片方の脚を下から交差させる。そのまま肩甲骨を広げ、息を吐きながら10秒キープ。前鋸筋と腹斜筋を意識しながら行う。

ポイント

「プッシュアップ(腕立て伏せ)」の動きを入れることで、肩甲骨に刺激が加わり、腕や胸、肩のトレーニング要素も入ってくる。また床を押し、肩甲骨を広げることで前鋸筋への刺激が増える。体幹を回旋することで腹斜筋にも刺激が入る。「キープ」→「プッシュアップ」→「脚の入れ替え」を連続で行っても効果的。胸郭、肋骨、肩甲骨を連動させながら動かしていく。

脚を交差するときは、太ももだけでなく骨盤の回旋を意識する。また、目線がズレると肩の安定性が失われるので、目線を真下にして頭の位置をまっすぐにする。
工藤 陽介 さん
八王子スポーツ整形外科メディカルフィットネスセンター所属。日本スポーツ協会アスレティックトレーナー。スポーツ傷害やコンディショニングを中心に、幅広い年齢層へパーソナルトレーニングを行う。その傍ら、大学ラグビー部や高校野球部へもトレーナーとして携わっている

※2022年7月15日発行「アスリート・ビジョン#26」掲載/この記事は取材時点での情報です。

最新情報をチェックしよう!