アイシングを活用して疲労回復・パフォーマンス向上【アイシングのプロに聞いた】[PR]

スポーツ現場におけるアイシングの役割は、ケガの応急処置、リハビリテーション、コンディショニングの大きく3 つあります。中でもコンディショニング観点でのアイシングは、夏場になるにつれて重要性が増してきます。そこで、学生アスリートにとって身近な「氷のう」を使った効果的なアイシング方法を、日本体育大学の石山先生に教えてもらいました。

試合や練習の疲労をやわらげる

筋温の上がりすぎによるパフォーマンス低下を防ぐために、運動中にもアイシングをして体温調節をする意識づけが必要です(下記グラフ参照)。

Conditioning 1:皮膚が露出している首筋

体温や筋温が上がりすぎると、筋肉がオーバーヒートを起こして、本来のパフォーマンスが発揮できなくなってしまう。夏場の練習後や試合後にはクールダウンとして、エネルギー消費を抑える目的でもアイシングを活用すべきだ。小さな氷のうの場合は、太い血管が通って いる脇の下や、太もものつけ根に当て、カラダ全体の体温を下げる使い方が有効だ。

練習中、試合中など皮膚が露出している首筋に当てることも熱中症予防にもなるため、普段の練習中から習慣にしておくと良いだろう。

Conditioning2:アイスバスで一気に冷却

真夏に激しい運動をした後は、特によく冷やす必要がある。そんなときに、全身を一気に冷やせるのがアイスバスだ。今ではプロリーグや実業団のチームだけでなく、大学や高校でも用意しているチームが増えている。

バスの中に大量に水と氷を入れ、足から入るだけで効率的に冷やすことができる。翌日もフレッシュなパフォーマンスが発揮できるよう、疲れを残さず、カラダをメンテナンスする意識を高く持っておこう。

稼働部位を冷やしてパフォーマンスを向上する

Conditioning 3:大きな筋肉がある太もも

ラグビーやバスケットボールといった激しいフィールドスポーツは、ハーフタイムの間に素早く筋温を下げる必要がある。筋温が上がったままだと、車のアイドリングと同じで、燃料を消費し続けてしまうためだ。

カラダの中でも特に大きな筋肉である太ももの筋肉は、どの競技でもよく使う部位になるため、積極的に冷やすことが重要だ。筋温の低下は、数字以上に主観的なリフレッシュ効果がある。意識的にアイシングをしていこう。いずれにしても、筋肉の温度調節を正しく行うことが、パフォーマンスの最大化につながるのだ。

腕や肘を冷やして居所冷却をプラス

Conditioning4:よく使う部位は局所的に冷やす

テニスや野球であれば利き手の肘、肩など、競技中よく使う部位は、局所的にアイシングを行うとよい。氷のうやアイスパック(ビニール袋に氷を入れたもの)をうまく活用して、部位をマッサージする感覚でなでるように冷やす方法も有効だ。練習後や試合後のコンディショニングを丁寧に行うことで、筋肉の損傷を最小限に抑えられる。

石山信男さん
日本体育大学保健医療学部准教授。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)マスター。1992 年バルセロナ五輪陸上競技、1999 年ラグビーW 杯では日本代表チームトレーナーとして帯同。高校バスケットボール部やラグビートップリーグなど、30 年以上にわたり多くのアスリートをサポート。

※2021年7月15日発行「アスリート・ビジョン#22」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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