学生アスリートのための食事&栄養バランスガイド①【栄養のプロに聞いた】

アスリートの食生活の基本である「バランスのよい食事」。真っ先に思い浮かべるのは「一汁三菜」が揃う定食スタイルだ。しかし、一言に「バランス」といっても、実は整えるバランスはいくつかある。そこで、新年度が始まるこの時期にこそ知っておきたい、食事&栄養のバランス超基礎知識を大特集!

バランスとは何か?

「バランスのよい食事」にはいくつか考え方がありますが、まず意識したいのが下記の3点。その他に「揚げ物、炒め物ばかりにならない」といった味付けや調理法のバランスも考えます。バランスは1食ごとではなく1日の食事をトータルで考えて整えればOK。いきなりすべてのバランスを整えるのは難しいので、できることから始めましょう。

エネルギー量と運動量のバランス

食事による摂取エネルギーと運動による消費エネルギーの収支バランスを考えることは、アスリートの最優先事項。練習のある・なしや、練習量によって摂取エネルギー量を調整します。

5大栄養素のバランス

「炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル」が5大栄養素。それぞれに役割があり、組み合わせることで協力し合い、効果が生まれるのです。

食品のバランス

例えばたんぱく質なら肉、魚、大豆製品から摂るなど、カラダに必要な栄養素を含む食品を偏りなく食べることがグッドバランス。

目的に合わせた食事&栄養を選ぶ

練習やトレーニングの質・量に応じて、食事の内容も考えます。エネルギーや栄養素をバランスよく、過不足なく摂ることで、カラダ作りを進めながら、練習やトレーニングの精度もアップといった効果につながります。

★ラン・持久力トレーニングDAY

エネルギー源である炭水化物が不足するとスタミナ切れを起こし、練習の質が落ちるため、トレーニング効果も低下。貧血が心配される人は、毎日少量でも鉄分を摂るように意識。

炭水化物、たんぱく質、鉄分

★技術練習、リカバリーDAY

練習量や強度が比較的軽くなるため、摂取エネルギー量の調整を。たんぱく質が
豊富な肉や魚類は脂質も多いため、部位や品種など摂り方を工夫して、脂質を控
えめにするのがコツ。

脂質(エネルギー)を抑える

★筋力トレーニングDAY

筋力アップにつなげるため、たんぱく質は毎食均等に摂ることがポイント。動物性と植物性の両方が摂れるとより良いでしょう。また、一緒に炭水化物を摂取することで、筋グリコーゲンも回復率も高まり、より効果的なカラダづくりを実現。

たんぱく質、炭水化物

特に新入生は注意してほしい
学生アスリートのありがちなNG習慣

3食食べていない

カラダづくりに欠かせない食事は、3食を食べることが基本中の基本。疲れたから食べないで寝る、オフの日に遅くまで寝て朝食を抜くなどは絶対NG。1食でも抜くとエネルギー不足に。

運動で消費するエネルギーが多く、食べても追いつかないケースもあるくらい。まずは3食必ず食べる習慣を。

睡眠不足

授業の課題にアルバイト、友人づきあいにSNS……と学生の毎日は部活以外も忙しい。だからといって睡眠時間を削れば、疲労は蓄積し食欲低下にもつながり、コンディションを崩す要因に。

体力があるからと夜更かしが続いていませんか?1日24時間。食事と十分な睡眠時間を優先的に確保した上で、残りの時間をどう使うか管理できると良いでしょう。

オフでリズムを崩しがち

生活リズムを乱さないことは、3食しっかり食べることにつながる。特にオフの日は朝遅くまで寝る、外食や飲み会で遅くまで飲み食いするなど、生活も食事も乱れやすいので注意。

オフで心身ともに休むことは大切ですが、起床&就寝時刻や食事時間など毎日の生活リズムは乱さないように。また、オフを挟んで体重が増減した場は、週単位で帳尻を合わせる手も。

食事にかける時間の使い方を考える

学業に競技にと忙しい学生アスリートは、食生活が乱れやすい傾向にあります。いくら「理想の食事を」といわれても、生活リズムが整わないと実行できません。まずは、一日のスケジュールを踏まえて、食事にかける時間の使い方を考えてみましょう。

授業がマックスで課題もある日

空き時間に作り置きや野菜を切るなどの下ごしらえをしておくと、短時間で食事の準備ができます。


© karin–stock.adobe.com

柴崎真木さん(管理栄養士)柴崎真木さん【管理栄養士】
アトランタ五輪を目指す競泳選手への食事アドバイスをきっかけにスポーツ栄養士へ。現在はジュニアからトップアスリートまで、さまざまなスポーツの栄養サポートに携わる。ロンドンでは競泳、男子柔道の日本代表チームの栄養サポートを担当。

※2023年4月15日発行「アスリート・ビジョン#29」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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