アスリートが実践したい冬の快眠術【睡眠のプロに聞いた】

次のシーズンに向けたカラダづくり期にあたる冬季。基盤をつくる時期だからこそ、コンディションにまつわる悩みを解消したいところ。冬は気温が低いうえ空気が乾燥しやすく、寒さで眠りが浅くなる人も多いかもしれません。寒い冬でも快眠できる環境づくりとは?少しの工夫でぐっすりと眠り、睡眠の質をアップさせましょう。

寒い冬でもぐっすり眠るための秘訣

真冬に熟睡できない原因は、カラダの熱を外へ逃がさないよう血管が収縮し、深部体温(脳や内臓といった体内の温度)が下がりにくくなるからです。睡眠不足に陥ると、疲れが取れず、集中力や判断力の低下を招き、パフォーマンスに影響を及ぼすことも。また、睡眠は筋肉の合 成やコンディション維持にも関わり、怪我のリスクなども考えると、質の高い睡眠、時間を確保することは大切です。

冬の睡眠環境は部屋の温度が18℃以上、湿度は40~60%、理想的な寝床内の温度は33℃前後が適切とされています。ただ布団の中が寒すぎても暖かすぎても快眠の妨げになるので要注意。朝、寒くて起きられない人は、起床1時間前にエアコンが運転するようタイマーをセットしておくと、布団と部屋の温度差がなくなり快適に目覚めることができます。

就寝1~2時間前に39~41℃ ぬるま湯に15分

お風呂の入り方や時間を工夫するだけでも睡眠は変わります。就寝の1~2時間ほど前に39~41℃のぬるま湯に15分程度浸かると、一度上がった深部体温が急激に下がるタイミングで眠くなり寝つきもよくなります。寝る直前に入るときも、シャワーだけで済ませるのではなく、5分ほど湯船に浸かってカラダの表面温度を上げ、血行を促進しましょう。

Q. 早く寝たいのに寝つけない時はどうすればいいですか?

A.「筋弛緩法」でリラックスし、「カウントダウン法」で眠りを誘う

寝つきが悪い人におすすめのリラクゼーション法が「筋弛緩法」です。手や腕、足、全身の順で部位にグッと8割くらいの力を入れて、その後ストーンと一気に脱力することを繰り返します。力を抜く時間を長めにするのがポイント。カラダと心の緊張がゆるみ眠りにつきやすくなります。

また「カウントダウン法」は100から順に数字を減らしながら数えていくシンプルな方法です。ポイントはゆっくり数えること。余計なことを考える隙がないので、脳の動きがしずまって、いつの間にか眠ってしまいます。

Q. 練習の日はずっと寝ていますが、オフの寝だめは効果ありますか?

A.「社会的時差ぼけ」に注意。睡眠リズムのズレを見直す

普段は朝7時起床だけど、オフの日は朝寝坊をしているということはありませんか? 就寝時刻と起床時刻の中間の「睡眠中央時刻」がズレると、体内時計が 乱れ、日本国内にいながらにして時差ぼけ状態を作りだしてしまいます(社会的時差ぼけ)。起床時間で生活リズムを整えるために、オフの日でも通常の起床時間+1時間以内には起きるようにしてください。

そして、太陽の光を浴び、朝食をとって体内時計をリセットしましょう。それでも眠いようであれば再度寝てもいいので、とにかく1度起きる習慣を。また、よかれと思ってしている寝だめが、かえってカラダに負担をかけています。オフに足りない分を補う場合も、睡眠中央時刻をズラさないことがポイントです。

Q. いつもジャージで寝ていますが、大丈夫ですか?

A. 就寝中は意外と動きが多い!?着衣は生地や縫い目の柔らかいものを

ジャージでも 構いませんが、寝返りをしているうちに首が締まってしまうので、フード付きの着衣は避けるようにしてください。就寝時は意外とダイナミックに動くので、生地や縫い目が柔らかいもの、動きやすいものを選ぶと良いです。冬は特に、冷気が入らないよう、首元や手首がすぼまっているものがおすすめです。

Q. 冬でも掛け布団1枚なのですが大丈夫ですか?

A. 眠りが浅いと感じるなら寝具、着衣などで防寒対策を

寝床内の快適な温湿度は1年中同じです。掛け布団1枚でもぐっすり眠れているのであれば問題ありません。冬の寒さ対策としては、布団の中を湯たんぽや布団乾燥機などを使って温めておくのが効果的。電気毛布の場合は、寝るときにスイッチを切るか「弱」にします。温めすぎると深部体温が下がりにくくなり眠りが浅くなるからです。寝具で保温性を高める工夫をしても寒ければ、腹巻やレッグウォーマーを

三橋美穂さん
快眠セラピスト、睡眠環境プランナー。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書は『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)など多数。

※2024年1月15日発行「アスリート・ビジョン#32」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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