【特別編】トレーナーに聞いた!効率よく動くためのウォームアップルーティーンVol.2

長い自粛期間を経て、練習を再開した部活動も出てきました。ですが、これほど長い実質的な休暇期間は、競技生活で初めてという人も多いはず。今回は本企画の特別編。どのようにカラダを自粛前の形に戻すのか、また、大会に向けてどのように仕上げていくべきか、八王子スポーツ整形外科の西山先生に伺いました。

自粛後トレーニングのポイント

学生アスリートの今の状態はケガにつながりやすい

自宅でトレーニングを継続していた選手でも、自粛前の運動の質や量とは違い、筋力が落ちたり体重が増えてしまったりする場合があります。すぐに自粛前の練習量に戻してしまうとケガのリスクが高まるため、細心の注意が必要ですポイントを踏まえて段階的にトレーニングを再開していきましょう。

Point1 ガイドラインを活用

部活動再開に関するガイドラインは各自治体などから発表されています。無用なリスクを冒さないよう、指導者も選手も、まずは目を通しておきましょう。

Point2 練習の負荷は0.8~1.3倍で徐々にUP

練習の負荷は、自粛時の0.8〜1.3倍から始めるようにしましょう。負荷は、自覚的な運動強度と運動時間で決め、決して無理をしないように!

Point3 5週間にわたって段階的に実施

再開後、ゆっくりと自粛前の運動負荷に戻していきます。目安は、再開から5週間かけて50%、70%、80%、90%と徐々に上げていく方法。段階の度合いは自分のコンディションを観察して決めましょう。

鍛えるのはどこから

1.下半身

大きい筋肉を中心に動かすのがポイント。下半身では特に大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングスです。

2.上半身

上半身で大きい筋肉は大胸筋や広背筋。押す、引くといった動きを担う筋肉を重点的に鍛えていくとケガのリスクも少なくなります。

3.体幹

競技中の姿勢を安定させる体幹。上半身と下半身で、効率良く力を伝達するために必要な部位です。鍛えれば腰痛などのケガ予防も。

ここから始める!基本の4トレ(体幹)

1フロントブリッジ [30秒/1セット~]

頭からかかとまで一直線にしてキープ。体幹、お尻の筋肉が鍛えられる。

強度を上げたいときは片手を上げるとよい。

2サイドブリッジ [30秒/1セット~]

ひじを肩の真下でキープしたまま、頭から両足までのラインをまっすぐにする。お腹の下側に刺激が加わる。強度を上げたいときは上側の足を上げてみよう。

3ヒップリフト [45秒/1セット~]

仰向けでひざを90度に曲げ、肩からひざまで一直線になる体勢をキープ。

つま先を上げてかかとで支える。お尻、太もも裏、背中が鍛えられる。

4 オーバーヘッドスクワット 15回/3セット

背筋をのばしたまま、カラダをまっすぐ上げ下げする。手は肩幅よりも広げてあげておくことで肩甲骨周りにも刺激が入る。できるだけゆっくり動作をしよう。

トレーニングのポイント

ューブやダンベルでより強化!!

オーバーヘッドスクワットで、タオルの代わりにダンベルを持つなどすると強度が上がります。チューブを使うと、姿勢を保持する体幹がより鍛えられるのでおすすめ。シンプルに回数や時間を増やしてもOKです。

秋シーズン・来シーズンに向けた準備

秋シーズンをひとつの目安にトレーニングを始めた人も多いはず。大会から逆算してトレーニング計画を立てましょう。「再開の目処が立っていない場合は苦手な部位のトレーニングをするなど、時間をかけて「足場の足場」を固めることができる時期にして欲しいですね。」(西山先生)

西山朋さん
八王子スポーツ整形外科メディカルフィットネス部門アスレチックトレーナー。これまで東京ヤクルトスワローズのアスレティックトレーナー、男子ソフトボール日本代表、7人制ラグビー日本代表、オール三菱ライオンズなどのトレーナを歴任。

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※2020年7月10日発行「アスリート・ビジョン#18」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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