『効率よく動く』をテーマにウォームアップルーティーンを紹介します。Vol.1は体幹編。力をしっかりと発揮できるカラダとは?そのポイントとなる「姿勢」をセルフチェックする方法と、カラダづくりにも最適なエクササイズメニューを八王子スポーツ整形外科の西山トレーナーに教えてもらいました。
まずはセルフチェック「立ち姿勢」
自然な足幅で力を抜いて立つ。正面からと横から、それぞれのチェックポイントが直線上にあるか どうか、パートナーに見てもらおう。
正面チェックポイント:鼻筋→喉仏→胸の間→へそ→股間→両内くるぶしの間※どちらかの肩が下がっていないかなど、左右対称であるかもチェック。
横チェックポイント:耳たぶ→肩峰(鎖骨の外側にある出っ張った骨)→大転子(太もも横の骨)→膝関節の前(膝の皿の裏)→外くるぶしの前
定期的なチェックで姿勢のバランスを確認・改善
良い姿勢とは、力学的にバランスが取れ、それぞれが持つ力をしっかり発揮できるポジションのこと。さらにスポーツの場面では「構え」の姿勢が重要となる。その原点となるのが「立ち姿勢」。やはり悪い姿勢はケガにつながりやすい。パートナーに見てもらいながら、1~3か月ごとに姿勢を確認し、ケガのリスクを減らしていこう。
効率よく動くためのエクササイズ
1. ストレッチポール [横・上30秒ずつ]
まずはポール上に寝て、足裏全体を床につける。両腕を横に開き30 秒、次に上にあげて30秒維持する。腕の位置を変えることで、ストレッチされる部分が少し変わるので、横と上の両方を行うのがおすすめだ。
目的
重力を利用して、胸郭を広げ、脊柱を伸ばす。肩が前に出てしまう「猫背」や過度に骨盤が前傾する「反り腰」の原因となるような筋肉の硬さを解消する。
2. キャット&ドッグ[10往復]
四つん這いになり、腕と体幹、体幹と大腿、膝関節がそれぞれ90度になるようにポジショニング。始めに猫の伸びのように背中を丸める。へそを引き込むイメージで息を吐きながら行う。次に顔を上に向けて犬のように背中を反る。これをなるべくゆっくりと繰り返す。
背骨や骨盤を大きく動かすことで関節の可動域を広げ、筋肉の活動性を上げる。関節や筋肉が動きやすくなり、無駄な負荷がかかりにくくなる。
3. ソラシックローテーション[左右10回ずつ]
スタート姿勢はキャット&ドッグと同じ。片手を後頭部に置き、腕と顔を外側に開く。頭と体の軸、重心が左右にぶれないように注意。ゆっくり上がるところまで上げて、戻す。正面から見て、頭からお尻までのラインが斜めになるのはNG。
ひねりを入れることで、胸郭の可動域を広げる。体幹の回旋を必要とする競技では胸郭の可動性は非常に重要である。
4. デッドバグ [20回~×3セット]
仰向けに寝て、両手両足を垂直に上げた姿勢をとる。右手と左足、左手と右足の対角の組み合わせで、地面につくぎりぎりのところまで下ろし、元に戻す。これを交互に繰り返す。膝は曲げず、足首は直角に。両手を握っておくと、より力が入りやすい。下腹部に力を入れ、腰を床につけたままにするのがポイントだ。
目的
腹直筋下部を鍛える。それにより、体幹部を安定させ、運動全体のパフォーマンスを高める。
八王子スポーツ整形外科メディカルフィットネス部門アスレティックトレーナー。これまで東京ヤクルトスワローズのアスレティックトレーナー、男子ソフトボール日本代表、7 人制ラグビー日本代表、オール三菱ライオンズなどのトレーナーを歴任。
※2020年4月10日発行「アスリート・ビジョン#17」掲載/この記事は取材時点での情報です。