前号に引き続き、八王子スポーツ整形外科のアスレティックトレーナー西山朋さんに話を伺い、ある程度のスペースと椅子があれば、カラダを効率的に鍛えられるフィジカルトレーニングを紹介します。自分の体重を利用しつつ、わずかな空き時間でもできるメニューです。
【2019年7月10日発行「アスリート・ビジョン #14」掲載】
西山 朋(にしやま とも)さん
八王子スポーツ整形外科メディカルフィットネス部門アスレティックトレーナー。これまで東京ヤクルトスワローズのアスレティックトレーナー、男子ソフトボール日本代表、7 人制ラグビー日本代表、オール三菱ライオンズなどのトレーナーを歴任。
自重を利用しつつ正しい形で鍛えよう
しっかりとカラダを鍛えている学生アスリートには、基礎編のメニューでは物足りなさを感じたかもしれない。今回は前回のメニューを踏まえた応用編で、よりダイナミックな動きを伴い、強度も上げている。また自重で鍛えることが最も難しい、背中に効果的なトレーニングも盛り込んだ。どれも正しい形で行わないとケガにつながるため、姿勢を意識して鍛えて欲しい。
1. バックブリッジ [30秒/3セット以上]
仰向けになり、足を腰幅に開いて、腕でカラダを支える。このとき手をつく位置は肩の真下にする。このメニューで鍛えたい腿裏、臀部、腰、背中が一直線になるように意識しよう。
Variation
より負荷をかけたい人は、片足を上げよう。全身が鍛えられるが、上げた足の腿前、軸足の腿裏により負荷がかかる。
2. プッシュアップ[15回~/3セット以上]
前回のフロントブリッジの応用編。これも横から見たときに、頭からかかとまでが一直線になっていることが重要。そしてできるだけ深くまで上半身を落とすこと。日本語では「腕立て」と呼ばれるが、胸(大胸筋、三角筋、上腕三頭筋)を鍛えるつもりでやろう。
Variation
椅子の上に足を乗せることで、より自分の体重が利用でき、負荷がかかる。腕を90 度以下まで曲げて、胸の筋肉を鍛えよう。
3. コブラ[15回~/3セット以上]
バックブリッジに続き、背面を鍛えるトレーニング。うつ伏せになって、手をお尻のポケットに入れるイメージで置き、ここから広背筋で上半身を引き上げる。このときに脇を締めて、肩甲骨をしっかり寄せるイメージで行う。肩甲骨周りと脊柱起立筋、広背筋が鍛えられる。上体を上げすぎてしまうと腰を痛めるので注意。
【Point】鍛えるのが難しい背中の筋肉
背中の筋肉は鍛えるのが難しく、そのためにおろそかになりがち。カラダの前面と同様にバランスよく鍛えることが大切。鉄棒があれば、斜め懸垂などの引く動作で鍛えるのも効果的だ。
4. ブルガリアンスクワット [左右15回/3セット以上]
両手を腰に当てて、片足を椅子の上に乗せた状態でスタート。カラダを支えている軸足の膝を90 度近くまで曲げる。膝を痛めないように、常につま先は前にある状態。少しずつ椅子に乗せる足の面積を減らし、最終的には椅子なしでできることが理想だ。
Caution
膝を曲げるとき、足先の方向にまっすぐに降ろそう。内側や外側に曲げると負傷につながるので要注意だ。
※2019年7月10日発行「アスリート・ビジョン#14」掲載/この記事は取材時点での情報です。