学生アスリートにとって、トレーニングの目的やメリットは何か? どうすれば質の高いトレーニング ができるのか? 競技パフォーマンスを上げるために覚えておきたいトレーニングの心得を、ストレングス&コンディショニングコーチの吉田さん(NSCA ジャパン)に聞きました。
競技に臨むためのカラダを準備する
1.なぜトレーニングをするのか?
目的は大きく分けて2つあります。1つは「ケガの予防」。ハードな練習に耐えられるよう、トレーニングによって骨や筋肉、靭帯、腱といった組織を強くします。もう1つが「競技力の向上」。試合で高いパフォーマンスを発揮するために実践的なトレーニングに取り組みます。大事なことは、自分の課題や目標に沿ったトレーニングを行うことです。
パフォーマンス向上はピラミッド型
図のピラミッドの最底辺にある「基礎体力の向上」がしっかりと行われていないと、次の階層も大きくなりません。そうなればピラミッド自体も高くならず、パフォーマンス向上も望めなくなります。土台となる基礎体力をつけて、ピラミッドのバランスをとることが重要になります。
2.トレーニングを可視化する
①計画を立てる
目的に合ったトレーニングをするためには、やるべきことを可視化することが大切です。「月曜日は下半身がメイン」「木曜日はダッシュを多め」と計画を立てておけば、やることが明確になり、空き時間も有効に使えます。「同じトレーニングが続いていないか?」「リカバリーの時間を取れているか?」も考慮しながら、1週間のスケジュールを立ててみましょう。
②動画を撮る
自分のフォームや動きが正しいかどうかは、意外とわかりにくいもの。そんな時は、スマホやタブレットで動画を撮り、見直してみてください。監督やコーチ、機会があれば専門のトレーナーに動画を見てもらうのもいいでしょう。
3.「運動」「食事」「休養」のバランスは1:1:1
トレーニング効果を最大限に引き出すのが「食事」と「休養」です。目安となる「運動」「食事」「休養」のバランスは1:1:1。ハードなトレーニングをしたら、その分、「食事」と「休養」もしっかりとりましょう。筋量を増やすトレーニングをした後は、たんぱく質や炭水化物をいつもより多めに摂ります。体脂肪を落としたければ、トレーニングだけでなく食事も脂質を減らした内容にしなければいけません。また、ケガ予防やリカバリーのために、睡眠時間の確保も必要です。
実際に計画を立ててみよう!
吉田コーチが考案した学生アスリート向けのトレーニング計画表とその記入例を、こちらの記事より入手することができます!
年間トレーニング計画を立てて効率よく鍛えよう
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CSCS、NSCA-CPT、NSCAジャパンマスターコーチ。育成年代からプロ選手まであらゆる競技のアスリートを指導。ジャパンラグビートップリーグのHonda HEAT で5 年間、ヘッドS&C コーチとして従事。
※2022年4月15日発行「アスリート・ビジョン#25」掲載/この記事は取材時点での情報です。