神奈川大学水泳部【注目チーム紹介 vol.58】

2020年、2021年の2年連続でインカレ女子総合優勝を果たした神奈川大学水泳部。2020年は創部初の総合優勝。先輩たちの想いを背負いチーム力で成し遂げた勝利だった。いかにして神奈川大学はチーム力を手に入れたのか。その秘密についてヘッドコーチと選手、マネージャーに話を伺った。

インカレで全員が自己ベスト更新へ
当たり前の水準を上げて目指す日本一

神奈川大学水泳部

1930年創部。『競技者である前に人格者であれ』の理念のもと、強化・教育を行う。2020年にインカレ女子総合初優勝を果たし、2021年女子総合二連覇。日本代表選手も多く輩出し続けている。部員はスタッフを含めて総勢47名の少数精鋭。

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水泳を一所懸命に取り組みたい」に応える

水泳を一所懸命に取り組みたい、という選手を大切にする、“育成の神大”を目指して監督と共に取り組んできました。そのために勉強する、挨拶するなどの『当たり前のことを当たり前にやる』ことの徹底や、食事の改善といった根本的な意識改革を行ってきました。最終的にはこのチームの一員で良かったと思ってもらえるような指導を心がけています。

横山貴 ヘッドコーチ/東海大学出身。2009年から神奈川大学水泳部コーチとして指揮を執り、舟橋道成監督と共にチームを学生日本一にまで引き上げた。

広く深くコミュニケーションを大切に

一番大事に取り組んでいるのは、コミュニケーション。選手同士、お互いを深く知ることで、その選手に対する応援の質が変わっていきます。僕自身も部員一人ひとりに目を向けて、的確な声がけをするようにしています。今年は男子がインカレでシード権を獲得できるチームになるための取り組みを残していきたいと思っています。

小林優太さん 4年生(男子主将)自由形長距離/中京大中京高校出身。今年はインカレでの決勝進出を果たし得点を獲得してチームへの貢献が目標。

チーム全員で戦う楽しさ

「一人の結果を全員で出しに行く」ことが特徴と言って良いくらい、仲間の結果を一緒に喜んだり悔しがったり、同じ目標に向かって一緒に頑張れるチームです。高校までは「自分の結果さえ良ければ良い」と思っていたのですが、チームで戦う楽しさや面白さを教えてもらいました。女子は日本一奪還を目標に一丸となり頑張っています。

長谷珠那さん 4年生 (女子主将)平泳ぎ 都立隅田川高校出身。今年はインカレで決勝に進み、チームのガウンをまとってレースに出ることを目標に掲げる。

選手に伴走し目標達成を目指すこと

高校時代の恩師が「人として成長できる」と進めてくださり入学を決めました。裏方は大変ですが、チームが向かうベクトルをひとつにする仕事は、とてもやりがいがあります。選手から「ありがとう」と言ってもらえると「マネージャーをやってて良かったな」と思えます。今年は両主将の目標を叶えるために、主将を柱にひとつになれるチーム作りに取り組んでいきます。

肥田慎之介さん 3年生(マネージャー)/船橋市立船橋高校出身。大学入学と同時にマネージャーに転向。大変ながらも裏方としてチームを支える毎日に充実感を感じている。

CLOSE UP/ 栄養

栄養面での意識レベルを上げることが
選手としてのレベルアップにつながる

トレーニングを充実させるために「全員が練習後30分以内に食事ができるケータリングを準備。女性特有のコンディショニングについて相談できる管理栄養士さんを見つけるなど、食の環境づくりにこだわりました」(横山ヘッドコーチ)と就任後まず選手の食事改革に取り組んだ。「体重が1~2kg変わるだけでパフォーマンスも変わる」(長谷選手)。体重が減りすぎないように、3食と補食で主食のお米をしっかり食べるなどの対応をしている。食の改革による選手個々の栄養面への意識の高まりによって、チームの成績は安定。その結果、女子のインカレ連覇という飛躍につながったのである。

練習後に食べるケータリングサービス。バランスの良い食事が選手たちのカラダづくりにひと役買っている

長谷選手の自炊メニュー。「スープ系は必須。たんぱく質摂取に卵か納豆を食べ、白米の量は体重管理によって変えています」

CLOSE UP/ トレーニング

選手一人ひとりにしっかりと目を向け
トレーニングの質を高める

選手一人ひとりに目を行き渡らせ、育成の質を上げる。それがチームの強化方針のひとつ。「監督が担任の先生、ヘッドコーチの私は副担任。そしてトレーナーや栄養士といった、教科の専門家の先生たちがサポートする。まさに学校のひとつのクラスを受け持つようなイメージです」(横山ヘッドコーチ)。ケガや故障がなくなれば、トレーニングも継続でき、質が上がる。ケアよりも何よりも、まずは丈夫なカラダを作り上げること。トレーナーには「ケアの必要がない選手に育ててほしい」と要望し、カラダを内面から強くする食事とも連動してトレーニングを作り上げている。

「日本一のチームを作るなら、マネージャーも日本一を目指す」という方針のもとでトレーニングを支えるマネージャー陣。「選手が安心して練習できるのも彼らのおかげ。チームの宝です」(横山ヘッドコーチ)

コーチも質の高いトレーニングを構成する大事な役割を担っている。練習中は常に声を掛け、選手たち一人ひとりに目を配る

CLOSE UP/ チームづくり

チームの目標と自分への小さな目標
2つの目標でモチベーションアップ

「チームの目標だけではなく、“やったことのないことをやろう”をテーマに、選手に対する小さな目標も合わせて作っています」(横山ヘッドコーチ)。チームが目指す大きな目標だけでは、達成のために自分が何をすべきなのかが曖昧になりやすい。そこで、達成すべき目標を設定するのだ。選手一人ひとりの小さな成功体験がチームの目標達成につながっている。「それぞれの目標を壁に貼って共有し、達成できたらシールを貼るんです。そうすれば仲間の頑張りが見えるし、目標達成を全員で喜びあうことができます」(小林選手)今年から始めた目標の見える化はチームのモチベーションをさらにアップさせることに成功している。

練習からチームメイトへの声掛けを大切にする小林選手。「毎週必ず行うミーティングもチームをまとめる大事なコミュニケーションの場となっている」とチーム全体に気を配る

「繋」「心」と書かれたメガホンは、長谷選手の「一人の結果を全員で出しに行く」という言葉と合わせて、全員で戦うチームを表している

※2024年7月16日発行「アスリート・ビジョン#34」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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