準備で差がつく!ベストコンディションで本番に挑むための食事計画【栄養のプロに聞いた】

試合で望む結果を手にするためには、当日をベストコンディションで迎えることが不可欠。そのカギになるのが「食事」です。カラダづくりを重視していた準備期とは違い、試合の数週間前からは、「動きやすいカラダに仕上げていく」ことが必要になります。試合期ならではのポイントを押えた食事計画でコンディションを整え、本番を全力で戦い抜きましょう!

試合期は「動きやすいカラダ」と「体調管理」を重視!

体組成やコンディションは毎日の食事や生活習慣の積み重ねで決まるため、その場しのぎではうまくいきません。だからこそ、試合当日から逆算して食事内容も考えていくことが重要です。そこで、試合の数週間前・直前・当日、それぞれのタイミングで意識したいポイントや食事メニュー例を紹介します!

数週間前

練習量に合わせたエネルギー量を摂取しながら、体組成のコントロール・維持にも注力。体調不良や風邪を予防する習慣も身につけよう。

POINT:体組成のコントロール・コンディション維持のために食事の量と質を考え、バランスよく食べる

体重コントロールのために、とりあえず食事量を減らすという人も多いですが、やみくもに欠食すると必要な栄養まで不足してしまうためNGです。まずは、高カロリーなお菓子やジュース、揚げ物などの余分な「脂質」から減らしていくのが鉄則。

その上で、もっともエネルギー源になりやすい「炭水化物」はしっかり摂りましょう。炭水化物は高強度の運動時だけでなく、長時間の運動をする際、カラダの中の脂質をエネルギーに変えるためにも使われるため、アスリートにとって欠かせない栄養素です。

食事メニュー例

まだ練習量も多いこの時期は、ご飯・パンなどの主食を中心に炭水化物をきちんと摂り、エネルギー切れのないようにしましょう。体調管理のためにもバランス良く栄養が補える「一汁三菜の定食型の食事」 が理想です。

栄養バランスの良い一汁三菜の定食がおすすめ!
例えば…「照り焼きチキン定食+緑黄色野菜」
栄養MEMO
試合期は特に、色の濃い野菜や果物を積極的に取り入れましょう。緑黄色野菜や果物は抗酸化成分を多く含み、疲労回復やコンディション維持につながります!

手洗い・うがいを習慣に予防のための衛生管理を忘れずに

体調不良で練習できない、あるいは当日欠場……という最悪の事態を防ぐためにも、風邪などの感染症対策や体調管理はいつも以上に注意して行いたい。食事前や帰宅後は必ず手洗い・うがいをするなどの「衛生管理」は普段から徹底しておきましょう。

2・3日前~前日

試合に向けて炭水化物中心の食事へシフト。ストレスや疲労を溜めない工夫も!

POINT:エネルギーをチャージするために「ゆっくり吸収される炭水化物」を増やす

炭水化物を多く含む食品は大きく分けて2種類あり、それぞれカラダに吸収されてエネルギー源になるまでのスピードが違います。特徴を理解して使い分けることで、疲労回復や効率的なエネルギー補給に役立ちます。

目的に合わせて「炭水化物」を使い分け!

食事メニュー例

ご飯や麺類などの主食を多めに、肉や魚などの主菜はやや少なめにしましょう。さらに、副菜にもポテトサラダやかぼちゃの煮物を追加するなど「プラスαの炭水化物」を摂取。そして、デザートにフルーツを選ぶと、炭水化物に加えてビタミン・ミネラルを補給することができます。

炭水化物中心のメニューがおすすめ!
例えば…「ご飯・うどんセット+かぼちゃの煮物」
栄養MEMO
競技中は水分補給をしていても、普段の生活で水分が足りていないことも。アスリートはたくさん汗をかくため、水分もカラダに溜めておくことが重要。飲料だけでなく、汁物やご飯・パンなどの食事からも水分を補給しておきましょう。

睡眠の質を高めて疲労回復
さらに腸内環境を整えて、ストレスに対処

トレーニング量が減っても質や強度は高く、疲れが溜まりやすい試合期。疲労によるケガやパフォーマンス低下を防ぐためにも、睡眠 時間はしっかり確保したい。質の良い睡眠のためにも、特に夕飯は、消化に良く内臓に負担のかからない食事を心がけましょう。試合が近づくにつれ、緊張やプレッシャーで眠れなくなることもあるでしょう。メンタルは腸内環境と関連性が高いと言われているため、腸内を整えるのに役立つ食材を取り入れるのもおすすめです。

試合当日

POINT:試合時間から逆算して食事&補食のスケジュールを立てる

朝食が足りなかった時やもう少し食べておきたい時は、おにぎりやバナナ、お団子など、消化しやすい炭水化物を摂りましょう。固形物が不安な人や、試合直前に摂りたい場合はスポーツドリンクやゼリーを活用しても◎ 水分補給も忘れずに!

甘いものでエネルギー補給すると、すばやく吸収されるため疲労回復に役立ちます。水分も摂れるスポーツドリンクやエネルギーゼリーの他、カステラや大福、グミなども手軽に食べられておすすめです。

継続ポイント:「いつ・何を食べるか」事前にシミュレーションを!

腹痛や下痢などのトラブルを避けるためにも、試合日の朝食や補食は事前にシミュレーションしておきたい。
例えば試合を想定した練習を行う日に、本番のタイムスケジュールに合わせた「起床時間」、「朝食の時間・内容」、「試合前後・試合中の補食」を試してみると良いでしょう。食べるとお腹がゆるくなるものや、緊張している時でも食べやすいものを把握しておくことで、当日も安心してプレーに集中することができます。

NG行動をチェック
試合前は避けたい!食事ポイント

「揚げ物や生もの、刺激物は控える」

試合前は、消化に負担がかかる揚げ物の他、お寿司などの生ものや香辛料のきいた刺激物、生焼けのステーキなどは避けましょう。お腹を壊したり食中毒になるリスクがあります。

「カフェインを摂り過ぎない」

パフォーマンス向上にカフェインは有効ですが、過剰摂取や常飲は睡眠障害やカフェイン中毒のリスクがあるため注意が必要です。普段飲まない飲料やサプリメントも控えておきましょう。


柴崎真木さん(管理栄養士)柴崎真木さん【管理栄養士】
アトランタ五輪を目指す競泳選手への食事アドバイスをきっかけにスポーツ栄養士へ。現在はジュニアからトップアスリートまで、さまざまなスポーツの栄養サポートに携わる。ロンドンでは競泳、男子柔道の日本代表チームの栄養サポートを担当。

※2024年10月11日発行「アスリート・ビジョン#35」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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