園田学園女子大学・渡辺愛選手 笑顔でチャレンジし続ければ必ずその先に自分が納得できる結果が待っている【陸上競技】

2024日本インカレ800mと1500mで二冠を達成した園田学園女子大学駅伝競走部の渡辺愛選手。レース後も元気ハツラツとインタビューに応える姿が記憶に新しい。そんな彼女はトレーニングや食事をはじめとするコンディショニングも常に新しいことにアンテナを張り巡らせる。いつも笑顔を絶やさず、何事にも前向きに取り組む渡辺選手の強さのヒミツに迫ります。

渡辺愛選手のプロフィール

園田学園女子大学 駅伝競走部 渡辺愛

わたなべ・あい/2002年大阪府生まれ。中学時代に800mで全国大会を経験。大阪高校では400mに取り組む。園田学園女子大学へ。進学後、3年時の日本インカレ(日本学生陸上競技個人選手権大会)800m優勝、4×400mリレーにも出場しチーム初優勝に貢献。4年時には日本選手権800mで3位、日本インカレ800m優勝(自己ベスト更新)、1500mも優勝し二冠を達成。

兄の後ろ姿を追いかけて飛び込んだ陸上の世界

―まずは陸上を始めたきっかけを教えてください。
「800mをやっていた兄の背中を追いかけて始めました。負けず嫌いな性格で、ずっと兄に勝ちたい、という気持ちで練習も頑張ってきました。今思うと、兄はライバルのような存在でしたね」

―陸上を始めてからどんどん力を伸ばし、中学で全国大会を経験されましたね。また、大学3年生では日本インカレ800mで優勝しました。どんなトレーニングに取り組んでこられたのですか?
「股関節がうまく使えるようにお尻周りの筋肉を、姿勢を良くするため に腹筋と背筋は意識的に鍛えてきました。あとは、私は腕を横に振って走るのですが、疲れた時でもしっかり前に進めるように肩周りのトレーニングも行ってきました」

―それで走りが安定して、3年時の優勝につながったのですね。
「でも、たくさんレースをこなすほどの体力はなかったので、日本インカレこそよかったものの、その後の大会では全然思うように走れなくて。それが嫌になり夏のシーズンが終わってから、2週間も練習を休んでしまいました。この時は、もう陸上を辞めてもいいかなとも思ったくらいです」

最高のチームメイトと一緒に迎えた大学ラストの日本インカレ

―そこからどうやってカムバックしたんですか。
「本当に、チームメイトのおかげです。2週間も練習を休んでしまったから、チームの雰囲気にも影響したと思います。でも園田は『あ、お帰り!』、私も『あ、ただいま!』みたいな感じですごく軽くて(笑)。軽いジョッグから始めたんですけど、チームメイトと話しながら走っているとだんだん『やっぱり走るのって楽しいな』と。元々カラダを動かすのは好きですし、何よりチームメイトと一緒に走ることが楽しかった。このチームだから、帰ってこれたんだと思います」

―渡辺選手が4年時の日本インカレで「チームのために走った」とおっしゃっていた理由がよく分かりました。
「連覇を狙っていた4×400mリレーで失格になってしまい、チームの雰囲気もどん底でした。そんなチームを何とか盛り上げたくて800mを走りました。優勝し連覇をすることができましたが、チームのみんなが喜んでくれたことが何よりもうれしかったですね」

しっかりと食べて動くことがコンディショニングのポイント

―コンディショニングで、普段から取り組まれていることはありますか?
「寝ることをいちばん大事にしています。3年時の冬、肉離れを経験してから必ずお風呂につかってマッサージをするようになりました。股関節の動きが悪くなると脚の動きにも影響しやすいので、湯船につかりながら自分でマッサージをします。あと、週2回はトレーナーさんのケアを受けています」

―食事面はいかがでしょうか。
「食べて、動く。これを大切にしています。食事はしっかりと3食摂ることと、水を1日2リットル飲むようにしています。サプリメントは今シーズンから摂り始めました。カラダの疲れを残さないようにクエン酸やアミノ酸を積極的に摂るようにしています。試合の1週間前からは、生ものは食べません。刺身などはもちろん、野菜も蒸したり焼いたりして温野菜にして食べています。あとはたんぱく質やビタミンなどの栄養素が豊富な枝豆をご飯と一緒に炊いて食べたり、寝る4時間前には夕食を終わらせたり……」

―試合前はこれをやる、といったルーティンはありますか?
「ルーティンは作らないようにしているんです。できなかった時に不安になるから。“消化の悪いものは摂らない”とか“夜更かししない”など、最低限の決め事はありますが、それ以外では常に新しいことを取り入れ、試行錯誤している感じですね。新しいことを試すのって、楽しいじゃないですか。試合はとにかく楽しく走りたい。だから、思いっきり楽しめるよう自分なりの準備を心がけています」

失敗を恐れずに何にでもチャレンジすれば
その先に成功が待っている

―最後に同世代のアスリートの皆さんにメッセージをお願いします。
「私もずっとレースでは失敗ばかりしてきました。もっと攻めれば良かったとか、こう走れば良かったとか……。でも、この失敗があったから、日本インカレで成功できたと思います。限りある学生生活なのでやりたいことは我慢せずに、新しいことにもどんどんチャレンジしてほしいですね。もし失敗したとしても、それは絶対に良い経験になると思っています」

―渡辺選手とお話していると、とても元気をもらえます。
「ありがとうございます! 『いつも笑っているね』と、よく言われるんです。辛い時とかしんどい時に、大変だからって暗い顔をしていたらもっと悪い方向に物事が進んでしまいます。だから、笑うんです。笑っていたら、嫌なことがあっても吹き飛んじゃう。試合でスタートラインに立った時も、すごく緊張するけど、笑うようにしています。すると肩の力が抜けてリラックスして試合に臨めます。皆さんも笑って学生生活を存分に楽しんでくださいね!」

※「アスリート・ビジョン#36」掲載/この記事は取材を行った2024年10月時点での情報です 。園田学園女子大学は2025年4月から共学化にともない、「園田学園大学」に校名を変更します。

最新情報をチェックしよう!