いよいよ試合期突入。これまで積み重ねてきた練習やトレーニングの成果を発揮するときが来ました。試合が重なるこの時期には、いかに疲労を溜めずにコンディションを維持していくかが重要です。磨いてきた技術を存分に発揮するためにも、自分なりのコンディションを会得しておきましょう。今回は試合期の疲労回復のためのセルフケアについて、ストレングス&コンディショニングコーチの吉田さんに聞きました。
Topics!
試合期の疲労回復とセルフケア
試合のためにやること。
最高の状態で臨むための準備をする
実戦が続くため、日々のトレーニング量は計画的に低減します(テーパリング)。レギュラー選手は、体力維持とパフォーマンス向上に励みます。控え選手はいざ試合に出場するときに備え、トレーニングの負荷を上げるなど、選手それぞれ万全の準備が求められます。
疲労回復のためにやること。
自分でできる有効なセルフケアを知る
練習直後にはアイシングすることも重要。アイスバスや交代浴を上手く活用し、疲れを残さないケアが必要です。ただし、炎症がある場合には温浴がNGなケースもあるので注意。また、少しでも肉離れが疑われる部位がある場合、絶対にストレッチをしてはいけません。あまりにも疲労が溜まっているときは、試合日の間の練習を休む勇気も必要です。
違和感に気づくためにやること。
数値で状態を把握する
「カラダのここが痛い、ここが硬い」といった違和感に自分で気づくことが重要です。週1回決まったメニュー(トレーニングでもストレッチでもOK)をこなすことで、自分のカラダの状態をチェックしておくといいでしょう。2週間に1回は体組成計に乗り、数値でカラダの状態も把握しておきましょう。
<重点>すぐに、いつでも、どこでもできる!セルフマッサージ&ストレッチ
骨盤周りの筋肉は固くなりやすい上に、パフォーマンスにも大きく影響します。ここでは、骨盤周りの筋や筋膜のねじれやよじれを解消するセルフマッサージとストレッチを重点的に紹介。人によって効きやすいやり方は異なるので、紹介するメニューを参考にしつつ、自分に合った方法で取り組んでみましょう。パフォーマンスの維持はもちろん、寝つきが良くなったり、睡眠の質を高めたりする効果も期待できます。
ストレッチの前に、セルフマッサージをしよう
1.テニスボールを使ったセルフマッサージ
足裏
土踏まずを上・中・下、内側・真ん中・外側の3×3の9つに分け、それぞれ1センチ前後の細かい範囲で小刻みに動かす。一気に全体的に動かそうとすると刺激が分散されて効果が半減してしまうので注意。
お尻・背中
寝た状態でお尻(背中)の下にテニスボールを置き、足裏と同様、前後に細かく動かしながらボールを移動させていく。お尻は側面、背中は背骨の両脇に沿って行うのがポイント。
2.風呂あがりに最適な骨盤周りのストレッチ
※すべて30秒ずつ行う
内もも
座った状態で骨盤を立て、開脚して前傾することでももの内側を伸ばす。反動はつけず、痛すぎない程度に伸ばす。呼吸しながら行うこと。
もも裏
寝た状態で片足を真上に上げてももの裏側を伸ばす。つま先は足首に対して90度になるように曲げることで伸びやすくなる。逆足の股関節が外に開かないように注意。
前もも
片足のヒザを曲げて上体を後傾することでももの前を伸ばす。できる人は寝た状態まで行ったほうがいいが、ヒザが浮かないように注意する。
お尻
片足をカラダの前側にくるように横向きに曲げ、もう片足は後ろに伸ばした状態で上体を前傾する。お尻の筋肉を伸ばすストレッチ。しっかり体重を乗せること。
股関節前面
縦に開脚し、前ヒザを90度に曲げ、後ろ足はヒザを床につくようにして伸ばす。背筋を伸ばして前傾することで後ろ足の付け根にある腸腰筋を伸ばす。
腰
カラダの前に片足を横向きに曲げ、もう片足は後ろ側に90度に曲げておく。その状態から足とは反対向きに上体をひねることで腰と背中の筋肉を伸ばす。
チームで取り組もう!
200ポイントリカバリープログラム
CSCS、NSCA-CPT、NSCAジャパンマスターコーチ。育成年代からプロ選手まであらゆる競技のアスリートを指導。ジャパンラグビートップリーグのHonda HEAT で5 年間、ヘッドS&Cコーチとして従事。
※2022年10月15日発行「アスリート・ビジョン#27」掲載/この記事は取材時点での情報です。