ポテンシャルを引き出す パフォーマンスアップのためのトレーニング ①体幹の可動性を高める

どんなスポーツをやるにしても、パフォーマンスやポテンシャルを引き出すために必要なカラダの動きがあります。効率的にカラダを鍛えられるトレーニングを帝京平成大学の西山朋さんに紹介してもらいます。

第1回 体幹の可動性を高めるトレーニング

今回、紹介するのは体幹の可動性を高めていくメニューです。カラダの中心となる背骨(胸郭を中心に)を伸ばし、まわりの体幹筋も刺激していきます。

練習前に取り入れて可動性を高めておくと、ケガの予防やパフォーマンス向上につながっていくことが期待できます。

1. MENU01
ランバーロック キャットアンドドッグ
[回数目安:15~20回]

膝立ちで座って両手を両膝の少し前に着きます。お尻を踵の上に乗せるような姿勢がスタートポジション(足はつま先を立てても正座足でもOK)。

おへそを見るように息を吐きながらお腹を凹ませて猫のように背中を目一杯丸めて、今度は顔を上げて犬のように背中を反ります。

ポイント
通常のキャットアンドドッグは四つ這いになって腰椎も骨盤も動かしますが、このランバーロック キャットアンドドッグは胸郭の動きを高めることを意識しているため、腰椎を固定します。ランバーロックとは腰椎を固定するという意味で、お尻を下げることで腰椎を動かさないようにすることがポイントです。この運動は胸郭を縦に開く効果があります。

NG
お尻が上がる

お尻が上がると骨盤、胸椎の動きが分散してしまうため、踵とお尻が離れないように注意!

MENU02
チェストオープナー
[回数目安:左右10~15回]

横向きに寝て上側の膝(写真は左膝)を曲げて床に着けるようにします。床から膝が離れないように下側の手(写真は右手)で抑えて固定。下半身の動きを止めるようにします。上の手(写真は左手)は肩から水平に出します。これがスタートポジション。

上側の手(写真は左手)を大きな円を描くように動かしながら体を回旋。このとき、指先を目で追うと大きな円を描きやすくなります。また、動かす手はできる限り床に近い位置を通すようにして、肩の斜め後ろ辺りまで動かしたら同じような軌道で戻します。

ポイント
MENU01のランバーロック キャットアンドドッグが胸郭を縦に開く効果があり、チェストオープナーは胸郭を横に開く効果があります。土台の可動域を広げることで肩甲骨や腕など、他の部位も正常に働きやすくなります。

NG
足が浮いてしまう・動かす手が床から離れる

上側の足が床から離れてしまうと、胸郭を開く効果が薄れてしまいます。また、動かす上側の手が床から遠いところで動いていると、大きな円を描けず、可動域が大きくなりません。

MENU03
ウインドミル
[回数目安:10~15回]

足を前後に大きく開き、前の足(写真は左足)は膝の真下に足首がくるようにします。両手はちょうど肩幅くらいの広さで着いたところがスタートポジション。背中は丸めず、頭から後ろ脚までのラインが真っすぐになるのが理想です。

前に出した足(写真は左足)と反対側の手(写真は右手)の2点でバランスを取り、もう一方の手は体をねじるように回旋させながら真上に上げていきます。前足の筋力でバランスを取りつつ、体幹の軸をしっかり作って回旋させます。

ポイント
MENU02のチェストオープナーよりも股関節など広く複合的にストレッチすることができ、軸となる頭から脚までの体幹が鍛えられます

レベルアップ!
支持基底面を減らして負荷を高める

支える手を立てた足と同じ側(写真は左手)にします。こうすることによって支持基底面(床と接地する物体を安定させる面)が狭い不安定な状態を作り、筋力への負荷を高めます。

トレーニング前の準備で体幹と胸郭の可動域を伸ばして、正常に動く状態をつくっておきましょう。

西山 朋 さん
帝京平成大学健康医療スポーツ学部助教。これまで東京ヤクルトスワローズのアスレティックトレーナー、男子ソフトボール日本代表、7 人制ラグビー日本代表、オール三菱ライオンズなどのトレーナーを歴任。

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