本番でこれまでの成果を100% 発揮するためには、何よりも食事が大事です。大会直前までラストスパートに入るこの時期は、食事内容やタイミングを考えながら、最高のパフォーマンスが発揮できるカラダにシフトを!
→栄養のプロに聞いた 試合前後のアスリート飯とは【1】
→栄養のプロに聞いた 試合前後のアスリート飯とは【3】
スポーツ栄養アドバイザー 石川 三知さん
八王子スポーツ整形外科栄養管理部門ディレクター。「Office LAC‐U」代表。2004年度JOC(日本オリンピック委員会)専任強化スタッフ(医科学)、2009〜2014 年度JOC 強化スタッフ(医科学)。
山梨学院大学スポーツ科学部非常勤講師。中央大学保健体育研究所客員研究員。
1~2週間前:低脂質&腸内環境を整える食事でプレッシャーに備える!
トレーニングで傷ついた筋肉を、しっかり修復させる時期。トレーニングで脂肪燃焼させるのは難しいため、低脂質の食事にするのがベスト。プレッシャーでカラダがストレスを受けると、腸内環境も悪化しがち。乳酸菌やビフィズス菌を含む食材や食物繊維で腸内環境を整えると、免疫力もアップします。さらに集中力をアップさせるためには、ビタミンB 群、カルシウム、マグネシウムを意識してとること。またプレッシャーがかかるとストレスでビタミンC とカルシウムもダウンするので、こちらも忘れずに。
アスリートのベストチョイス
乳酸菌がとれるキムチを炒め物に加える!豚キムチ炒め
発酵食品のキムチとビタミンB 群の多い豚肉。炒めると、ボリューミーなアスリート飯に
緊張で失われるビタミンCもいっしょに フルーツヨーグルト+はちみつ
腸内環境を整える発酵食品のヨーグルトに果物加えると、ビタミンもチャージ。
はちみつは糖分もとれるので◎。
トッピングでミネラルをチャージ 納豆+トッピング
納豆はトッピングにひと工夫。青のりやすりゴマを入れると、ミネラルもグーンとアップ!
低脂肪の食事にチェンジ。ビタミン・ミネラルを多めに摂取
本番直前は、想定外のことばかりが起こります。また宿泊先のホテルや旅館の食事も、食べ慣れたものとは限りません。そんなピンと張り詰めた心を和らげるのが、食事です。温かいものを食べるだけでも、きっとリラックスするはずです。時にはカーリング女子日本代表の「もぐもぐタイム」のように、チームメンバーと会話をしながら食事を楽しむのもいい。チームの雰囲気づくりを、食事で高めてみませんか。
試合前日:試合前後こそ、炭水化物(糖質)は超重要!
炭水化物とは、糖質+ 食物繊維のこと。カラダを動かすためには、エネルギー源として使われる炭水化物が必要です。例えば炭水化物はカラダに入るとブドウ糖になり、さらにグリコーゲンという物質になって筋肉や肝臓にストック、それが運動時にはエネルギー源になり……といったように食べ物がカラダで消化吸収され、エネルギーになるまでには、意外と時間がかかります。つまり試合直前にごはんをドカ食いしても、カラダにエネルギーが即チャージされるわけではないのです。
試合当日:朝食は、低脂質なタンパク質をセレクト朝定食で動きやすいカラダに
試合中にエネルギー切れにならないためにも、当日の朝食は試合の3時間前ぐらいにすませるのが◎。定食屋さんの朝食メニューのように、ごはんとおかずを組み合わせたものがおすすめです。
焼き魚、卵、納豆のような低脂質のタンパク質を主菜に選び、ごはんなどの炭水化物をしっかり食べれば、朝からエネルギーチャージもOK! 体温を上げることで、動きやすいカラダに整えます。
絶対避けたいアスリートのNGアクション!
カツ丼
前日にゲン担ぎのカツ丼を食らうのはNG。油で胃もたれするような食べ物はオフシーズンに。
刺身
生物は食中毒になる可能性もあるため、刺身1切れでも避けるのがベター。生カキ、寿司、生卵など、火が通っていないものは、できるだけ避けましょう。
食事抜きで試合に行く
空腹は絶対ダメ。緊張して食欲がない時でも、とにかく口に入れる。コンビニのおにぎり1個が多ければ、小さくするとか、バナナを半分にカットするなど。スティックプロテインなどを利用してもいい。
水分のとりすぎ
水分ばかり飲むと、体を冷やす。朝食に果物やスープや味噌汁などのスープを取り入れる。食べ物から自然に水分とれるように 。
「よく噛んで食べる」最高のパフォーマンスのキモは咀嚼にアリ!
試合前の緊張感やプレッシャーで、ビタミンC やミネラル分が消耗されるため、体調を崩すケースがあります。そこで試合期間中は、とくに食べ物をゆっくりよくかんで食べることで、消化のいい状態をキープし、緊張感を和らげます。
※2018年10月5日発行「アスリート・ビジョン#11」掲載