玉川大学陸上競技部女子駅伝チーム【注目チーム紹介 vol.59】

全日本大学女子駅伝8位以上の「シード権獲得」を目標に掲げる玉川大学陸上競技部女子駅伝チーム。「苦しくなってからどう頑張れるか」チームを率いる山下誠監督が選手に求めるのは自主性だ。目標達成に向けた取り組みを、選手と監督、スタッフ陣に話を聞いた。

「強く、楽しく、美しく」主体性を軸に全員で走り抜く

玉川大学陸上競技部女子駅伝チーム

1998年に創部。1999年全日本大学女子駅伝対校選手権大会に初出場し、2023年までに21回出場。去年はシード権まであと一歩に迫る9位となり、今年はシード権獲得を見据える。

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選手が自主的にお互いを高め合える環境を整える

学業と競技を両立させ、最高の成績を目指すことを大切にすることは玉川大学全体の特徴です。チームのモットーは「強く、楽しく、美しく」。競技者として強くなることはもちろんですが、真剣に取り組むからこそ感じられる楽しさや、内面からにじみ出る人としての美しさも身につけてほしいと願っています。


山下誠 監督 /筑波大学出身。高校時代にインターハイ、全国高校駅伝に出場。大学時代は箱根駅伝にも3回出場。創部時からチームを率いる。

学年間でコミュニケーションできる場を大切に

最近の練習では、余力を残さずに力を出し切る習慣がチーム全体についてきました。主将として、みんなが思っていることを発言し合える空間をつくり、信頼関係や向上心を高めています。個人としてもチームとしても、ベストな形で試合を迎えられるよう準備したいです。

藤村優李さん 4年生(主将)/流通経済大学付属柏高校出身。小学4年で陸上を始める。大学1年冬に一時休養するも、復帰後に努力し昨年のレースではエース区間を任される。

励まし合う仲間の存在がモチベーションにも

チームに所属するからこそのやりがいや楽しさがあります。特に昨年の全日本駅伝は出場する喜びを感じながら走ることができました。家族をはじめ周りでサポートしてくださる方、チームのみんなに感謝の気持ちを忘れず、シード権獲得に向けて頑張っていきます。

隅田美羽さん 2年生 安田女子高校出身。高校までは部に所属せずに長距離走に親しむ。トレーニングやケアなどを率先して行い、周囲を巻き込む力も発揮。

一人ひとりに合わせた声かけやサポートを大切に

最初は練習でタイムを計るだけでも一苦労でしたが、少しずつ選手のことを考えて動けるようになってきました。一人ひとりが自分にできることを率先してできるのがこのチーム。私は事務的な手続きや選手の体調管理など、チームが強くなるためのサポートをしていけたらと思います。

上杉美波さん 2年生(主務)/神奈川県立逗子高校出身。陸上未経験ながら全国を目指すチームの雰囲気に惹かれ入部。主将と連携を取りつつ、練習サポートと事務方の両面から気を配る。

CLOSE UP/ 栄養

練習後のゴールデンタイムを逃さない
大学が提供する管理栄養士監修の食事

授業のある期間は学内の食堂で夕食が提供され、練習後のゴールデンタイムに速やかに栄養補給ができる体制をつくっている。カラダづくりと疲労回復を考慮したこの取り組みによってケガが減るだけでなく、「夕食を提供していただくことで、夜の時間をカラダのケアや勉強に充てられる」(藤村選手)と、学業と競技の両立を目指すことにも役立っているという。「“長距離は痩せていれば走れる”といわれた時代とは異なり今はより体組成を意識した食事内容が必要となる」(管理栄養士の勝又さん)。そのため、たんぱく質だけでなく、学生に不足しがちなビタミンやミネラルなどバランスよく摂取できるメニューを意識している。

チームのコンディションを把握し、食事を調整する管理栄養士の勝又さん。栄養講習会や日々の指導で知識を伝え、各自がそれぞれ理想の体組成の数値を目指せるようにサポートする。(管理栄養士/勝又美紀さん)

試合期の夕食。豆腐ハンバーグ、筑前煮、アサリと野菜のゴマ酢和え、りんごなど、筋力アップと体重管理を考えた高たんぱく&低脂質のメニュー。

夏季練習時期の夕食。生姜焼きや肉じゃが、厚揚げとほうれん草のお浸し、パイナップルなど、体力づくりを意識したメニュー。

CLOSE UP/ トレーニング

体組成を計測し、数字でカラダの状態を把握
課題に合わせたトレーニングで補強する

女子駅伝チームの練習は月水金の授業後と土曜日で、その他に朝練習が週4回。朝は30分程度、授業後も60~90分程度と短時間集中型で行っている。選手は自分の課題に合わせて、全体練習の時間外でそれぞれ補強トレーニングを実施している。毎週の体組成計測や、2ヶ月に1度のトレーナーによる講習会などから得た知識をもとにコンディショニングにも意識を向ける。長期休暇期間には合宿を積極的に行い、通常時よりも負荷の高い練習をこなす。「チームの課題は苦しくなってからいかに頑張れるか。自分の力を出し切れるチームになるよう、持久力はもちろん、日頃から心を強くする意識を持てるようにしたい」(山下監督)。

全体練習は短期集中型。メリハリをつけたトレーニングをこなす。

トレーナーによる講習会。駅伝に必要なトレーニング知識を身につける。

夏合宿の様子。負荷の高い練習で心身を追い込んだ。

CLOSE UP/ チームづくり

メンバーそれぞれが主体性を発揮
「強く、楽しく、美しく」を体現する

チームの運営方針は「主体性」。「自分自身で『やる』と決めることで、より競技が楽しくなる。こちらから助言はするが、そのような場面を数多く作っていきたい」(山下監督)。トレーナーや栄養士など、専門家の力を借りながら、選手は自分で考える力も身につける。現在、選手間で空き時間に行っている補強トレーニングは、隅田選手を中心に選手主体で始めたもの。主将と主務以外に係などは設けていないが、選手の間に主体性が浸透したことで必要な役割をそれぞれがこなし、競技への意識も向上。監督、主将ともに「競走を楽しめるチームになってきた」と手ごたえを感じている。

授業の空きがある選手たちが自主的に集まり、励まし合いながら補強トレーニングを行う。

現状を数字で把握することで自分の課題を見つけていく。

 

※2024年10月11日発行「アスリート・ビジョン#35」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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