学生アスリートのための Movement Training(ムーブメントトレーニング)「蹴る」【トレーナーに聞いた】

鍛えた筋力は効率よくパフォーマンスにつなげたい。そこで重要となるのが「動作(ムーブメント)」だ。八王子スポーツ整形外科の工藤トレーナーに、スポーツの基本動作を高めるためのトレーニングを紹介してもらう。

今回鍛える動作「蹴る」

「蹴る」動作では軸脚を安定させ、骨盤の回旋運動を適切に行うことが重要だ。踏み込んだときに軸脚や体幹がブレると、蹴り脚の出力が弱まりコントロールも難しくなる。脚を一歩踏み込んだときに下半身と体幹を連動し軸を安定させ、蹴り脚の骨盤をスムーズに回旋させることで、キックのパワーや精度につながる。

1.シンボックス・ゲットアップ

[カラダづくり期/試合期 左右それぞれ10~15回]

これを続けると……

軸脚の股関節や体幹が安定することで、蹴る動作だけでなく他の競技の片足立ちになる動きでのバランス向上にも

やり方

1 両膝を曲げた状態で、左脚を前、右脚を後ろにして座る。骨盤は立てて上半身を真っすぐに。

2 体幹を締めたまま、前に出している左膝を立てて、左側のお尻を使ってカラダを持ち上げる。右脚は使わないのがポイント。

3 左脚を軸にして右側の骨盤を持ち上げるようにして、右脚を前に振り出す。左膝、骨盤、左肩が一本の軸になり、それを中心にクルッと回旋するイメージで行おう。

4 今度は左脚を軸にして逆に回旋し、スタートポジションに戻る。最初から最後まで肩は地面と水平にしておくことと、軸脚側(写真では左脚)のお尻を常に意識して行うことが大切。

アレンジ

蹴る時の腕の動きを入れて上半身の連動性もプラス。手の使い方や体重移動のタイミングを変えることで難易度を調整できる

 

2.トライアングル・シングルホップ

[カラダづくり期/試合期 左回り右回りを左右それぞれ5周ずつ]

これを続けると……

踏み込んだ軸脚と体幹が安定し、蹴り脚のコントロールにつながる。また、切り返しの動作や、着地時のバランス能力の向上が期待できる

やり方

1 体幹を締めて骨盤を安定させて片脚立ちの状態になる。中心の左をスタート地点に。ここから、足で三角形を描くように、2前→3右→4左へと素早くステップを踏む。頭から体幹の位置は三角形の中心から真上に置くことがポイント。頭の位置が変わらないようにする。

ポイント

カラダは斜めになってもいい。カラダが一本の棒になったように体幹と骨盤を安定させて行おう

NG

ステップを踏んだときに上半身が外側に流れると体幹が抜けている証拠。膝や股関節に負担が掛かるので注意して

アレンジ

片足ジャンプの高さや足を着く場所、持続時間を変えることで難易度が調整できる

 トレーナーからのメッセージ

様々な動作を通じて正しいカラダの使い方を知ることは、パフォーマンスアップはもちろんケガの予防にもつながる。4回にわたり紹介したすべてのムーブメントトレーニングにチャレンジしてほしい

過去のムーブメントトレーニングはコチラから
▶▶「跳ぶ」を鍛えるトレーニング
▶▶「走る」を鍛えるトレーニング
▶▶「投げる」を鍛えるトレーニング

工藤 陽介 さん
八王子スポーツ整形外科メディカルフィットネスセンター所属。日本スポーツ協会アスレティックトレーナー。スポーツ傷害やコンディショニングを中心に、幅広い年齢層へパーソナルトレーニングを行う。そのかたわら、大学ラグビー部や高校野球部にトレーナーとして携わっている。

※2025年1月15日発行「アスリート・ビジョン#36」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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