アスリートの食生活の基本である「バランスのよい食事」。真っ先に思い浮かべるのは「一汁三菜」が揃う定食スタイルだ。しかし、一言に「バランス」といっても、実は整えるバランスはいくつかある。そこで、新年度が始まるこの時期にこそ知っておきたい、食事&栄養のバランス超基礎知識を大特集!
勝てるカラダを作るために
食事の選択力を身につけよう![実践編]
バランスのよい食事を実践したくても、時間的、経済的に難しいのが現実。続いての実践編では、主食・主菜・副菜・汁物が揃う「一汁三菜」をいかに効率よく手軽に整えるのかをレクチャーします。
段取りと合わせ技で一汁三菜がお手軽に!
調理時間がなくても、作り置きや冷凍&カット野菜などを活用すれば、意外と簡単に一汁三菜は整います。
野菜はまとめ買い、まとめて調理
冷凍野菜、カット野菜のほか、ほうれん草や小松菜、ブロッコリーなどまとめてゆでておき、少しずつ使うと時短に。便利な冷凍食品はディスカウントストアでまとめ買い。
部活の仲間と共同購入すると節約になります。
スーパーの総菜、インスタントなども活用
時間のない日や自炊が面倒なときは、主菜か副菜のどちらかを惣菜にする選択肢もアリ。汁物はインスタントもうまく使って、冷凍野菜や海藻などの具材をちょい足しすれば簡単です。
具をたぷり入れた「副菜」+「汁物」
汁物は野菜や海藻、豆腐などの具材を入れたり、豚汁にしたりと具沢山にして「副菜+汁物」を合体。こうすれば、あとはご飯を炊き、肉や魚を焼けば一汁三菜の完成です。
●朝
主食と主菜が一体型の「たまごかけ納豆ご飯」が便利。前夜に余った汁物も添えたら和朝食の完成。「ヨーグルト+バナナ+コーンフレーク」にロールパンで洋風の朝食も簡単に揃います。
カラダを目覚めさせ集中力を上げるためにも咀嚼は大切。調理時間を短縮した分、きちんと食べる時間をとって噛む習慣を。
●昼
学食や外食では「不足しがちな野菜をいかにして食べるか」がポイント。副菜はサラダよりも、青菜の和え物やおひたし、煮物を選んで。コンビニでよく見る野菜がたっぷり入ったスープ類も手軽でおすすめ。
●夜
電子レンジを使った「蒸すだけ」「和えるだけ」で完成できる主菜・副菜レシピをレパート
リーに加えておくと効率的。その場合、カット野菜や冷凍野菜が大活躍。またスープや味噌汁にも使えて便利。
朝食に!補食に!「おにぎり活用術」
練習量が多くなると、真っ先に崩れやすいのがエネルギーの収支バランス。多くのアスリートは、食欲低下や朝夕の欠食などでエネルギー不足に陥ります。そこで、ぜひ定番として取り入れてほしいのが「おにぎり」。おにぎりの優れた点は、「高糖質・低脂質」であるうえに、具材によって必要な栄養素を補給できる点です。「朝時間がない」という人はラップで包んで作れば、食器要らずで洗い物の手間も省けます。また、携帯性にも優れているため、補食にも最適です。
練習【前】に食べたいおにぎりの具材
練習前は炭水化物がしっかり摂れて脂質の少ないシンプルな具材。
練習【後】に食べたいおにぎりの具材
練習後はたんぱく質と炭水化物を摂れるものをチョイス。
ほかにもあるよ!補食いろいろ
補食はその名のとおり「食事だけでは足りない栄養素を補う」ための食事。おにぎり以外の補食も紹介。
中華まん
練習前は糖質をしっかり補給できる「あんまん」を選択。三大栄養素である糖質・脂質・たんぱく質が摂れる「肉まん」は練習後がおすすめ。
サンドイッチ
玉子やハムといった具材を選び、糖質・脂質・たんぱく質を補給。ただし脂質が多いので練習後向き。また食べる頻度にも注意しよう。
バナナ
糖質ほか、食物繊維、ミネラル、ビタミンも摂れる。消化が良く携帯性に優れ
ているのも◎。
ヨーグルト
たんぱく質を含み、スポーツ後に失われるカルシウムを補うことができる。 フルーツ入りのヨーグルトやドリンクタイプなど上手に活用しよう。
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学生アスリートのための食事&栄養バランスガイド①【栄養のプロに聞いた】
アトランタ五輪を目指す競泳選手への食事アドバイスをきっかけにスポーツ栄養士へ。現在はジュニアからトップアスリートまで、さまざまなスポーツの栄養サポートに携わる。ロンドンでは競泳、男子柔道の日本代表チームの栄養サポートを担当。
※2023年4月15日発行「アスリート・ビジョン#29」掲載/この記事は取材時点での情報です。