冷えとパフォーマンスの関係 冬のコンディショニングでパフォーマンスアップ【寒さ対策のプロに聞いた】

本格的なカラダづくりを始める冬。寒冷環境でスポーツを行う時にカラダへの負担を軽減し、高いパフォーマンスを発揮するためのポイントについて、日本代表選手団のトレーナーを務める寒川美奈さんに教えていただきました。

寒さはパフォーマンス低下に直結
筋肉の緊張や神経伝達にも影響

外気温が10度以下になるとパフォーマンスが低下することは研究によりわかっています。寒さでカラダが冷えると筋肉が硬直するだけでなく、神経の伝達速度も遅くなり、思わぬケガにつながることも。さらに、冬は体温維持のためエネルギー消費が通常より多くなり、疲れやすさを感じることも。この時期は、寒さによるカラダへの影響も理解し、対策しながら活動できるとよいでしょう。

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トップアスリートも実践 寒さ対策

ジョギング+ダイナミックストレッチ
冬こそウォーミングアップは念入りに

手足や体幹をリズミカルに大きく動かす。動かしながら伸ばす。
反動を利用して動かささないこと。自分の筋肉で関節を大きく動かす

少しづつ速度を上げながら5~10分ジョギングでウォーミングアップをします。とくに寒い時は20~30分程度ゆっくり走ることもおすすめ。その後、ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)を行うとカラダはより動きやすくなります。肩や股関節を回したり、前後左右に動かしたり、その場で小刻みにジャンプするのも効果的です。

冷えや疲労回復
自宅でもできる温冷交代浴

浴槽に温かいお湯をはり、水風呂の代わりに冷たいシャワーをあびる

温冷交代浴は副交感神経と交感神経を交互に刺激し、自律神経の働きを高め、バランスを整えてくれます。温かいお風呂に3分入ったら水風呂に1分入る。これを3セット繰り返してください。冬場はカラダを温めたいので、必ず最後は温かいお風呂に入ってからあがります。交代浴の後は血液の循環が良くなっているので、筋肉を伸ばすようなストレッチをすると、疲れや筋肉痛の軽減にもつながります。

体温調節&防寒対策
自分に合ったウェアやアイテム選び

帽子やネックウォーマーで頭や首を保温。薄手の服を重ね着して保温効果アップ

頭や首から熱が放出されやすいので帽子やネックウォーマーを着用するのもよいでしょう。寒いと厚手のジャンバーなどを選びがちですが、薄手のものを何枚か重ね着したほうが、保温効果が続き、暑い時には脱ぐこともできるので体温調節がしやすいでしょう。冬場はカラダの末端から冷えるので、手先・足先は携帯カイロなどで温めるのも有効です。

継続ポイント:ストレッチやセルフケアは “ながら” 時間を有効活用

普段から寒さへの対策を心掛けておくことは重要ですが、過度に型にはめすぎてしまうと疲れてしまいます。例えば、スマートフォンで動画サイトを見ている時に“ながら”ストレッチをするなど、日常生活に自分のケア時間を当てはめていくことが継続の秘訣です。日々のカラダの変化やシグナルにも耳を傾けながら、実践してみてください。
寒川美奈さん
北海道大学大学院保健科学研究院教授、博士(理学療法士)。スポーツ傷害の発生予防、コンディショニング、運動によるヘルスプロモーションに関する研究に従事。日本オリンピック委員会医学サポート部門員として代表選手をサポート。

※2025年1月15日発行「アスリート・ビジョン#36」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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