日本大学・山本茉由佳選手 今できることをひとつずつ環境に感謝して全力で取り組む【水泳】

日本大学に入学した2018年。パンパシフィック水泳選手権、アジア競技大会、ユース五輪と多くの国際大会を経験した山本茉由佳選手。昨年の日本学生選手権では50m自由形で3位表彰台を獲得。スプリンターとして日本学生スポーツ界を支える山本選手に、大学に入学してから成長したこと、山本選手が大事にしていることについてじっくりお話を伺いました。

プロフィール

日本大学 水泳部 山本茉由佳

2000 年2 月14日、東京生まれ。小学5年生から全国大会に出場し始め、武蔵野高校3 年時には50m、100m自由形で2冠を達成。日本大学に進学した2018年の日本選手権の50m 自由形で2位に入り、初の日本代表の座を獲得。自己ベストは50m 自由形25 秒21、100m 自由形55 秒32。

心理学を学んで胸を張って試合に臨めるようになった

水泳をはじめたきっかけ

―水泳を始めたきっかけを教えてください。
もともとは、シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)がやりたくて、近くの体験教室に行ったんです。そうしたら、4 泳法を泳げないと入会できないと言われて。当時はスイミングクラブにも通っていなかったので泳げなかったんです。それで、どうしてもシンクロがやりたい、ということでスイミングクラブに通い始めたのがきっかけです。

将来を見据えて進路を選択

―高校時代には、インターハイで2 冠も達成し、日本大学に入学されました。その理由を教えてください。
ずっとスポーツ関係の学部を探していたことと、高校まで通っていたスイミングクラブで練習を続けたかったことのふたつが可能な大学を探していました。そうしたときに、2016 年にスポーツ科学部が日本大学にできたと知り、自分が水泳を続けることも、将来のことも含めて理想的な大学だったので、進学を決めました。

―スポーツ科学部に入って良かったところはありますか。
今までは水泳以外のトップアスリートの人たちと話す機会はほとんどありませんでした。でも、大学にはいろんなスポーツの人たちがたくさんいて、いろんな話ができて楽しかったです。授業も自分のためになるものが多くてとても充実しているな、と感じています。

―競技に直接役に立ったな、と思う授業はありましたか。
心理学ですね。私メンタル面が弱くて、試合前とか練習前も不安になることが多いんです。そういうとき、どうしたら良いかを心理学の授業で学んで実践してみました。単純なことなんですけど、腹式呼吸のやり方、寝る前に何を考えるかといった気持ちを落ち着かせる方法だったり、目標の設定の細かいやり方だったり。なんでもっと前から知らなかったんだろうか、ということだらけでした。

―メンタル面は変わりましたか。
大きい試合だと、完全に自信を持って臨めるかというと、まだちょっと緊張して震えることもあるんですけど、以前に比べたらどんと構えて、胸を張って泳げるようになりました。心理学の授業は、本当に今の自分の役に立つことばかりでした。

自分のためにも、チームのためにもネガティブな発言はやめた

大学に入学して成長した部分

―大学に入学してから、ほかに自分が成長したな、と思う点はありますか。
いちばん変わったのは、トレーニングに対する意識です。あとは、ネガティブなことを言ったり、態度や表情に出したりしないようにしています。ふとしたときに、それを自分がやられたらすごくイヤだな、と思ったんです。もしチームの誰かがふてくされた態度を取っていたら、きっと私もイヤな気持ちになってしまう。指導してくれているコーチもイヤな気持ちになる。ネガティブな言葉を口にすることも、周りのチームメイトたちに悪い影響を与えてしまう。だから自分のためにも、一緒に練習しているチームメイトたちのためにも、ネガティブな行動と発言はしないようにしています。

―それは、ストレスになりませんか。
少し感じることはありますが、発散先は水泳しかないので。泳ぎにぶつけています。あとは頑張ったご褒美に、アイスとかお菓子とかを食べることもあります。でも控えめにはしていますよ(笑)。

練習後はすぐに補食でたんぱく質を摂取

山本選手のコンディション作り

―大学で栄養学も学ぶと思います。食事など、コンディション作りで気をつけるようになったことはありますか。
そうですね、当たり前ですけど1 日3 食食べること。野菜はずっと苦手だったんですけど、バランスの良い食事を心がけて摂るようにしています。勉強して作る料理を考える、という授業もあって、そういうのを通じて栄養に対する意識はガラッと変わりました。

―毎日の練習をこなすうえで、栄養面で気をつけていることはありますか。
練習が終わったあと、家に帰るまで結構時間があるので、すぐに補食を摂るようにしています。プロテインやコンビニで売っているサラダチキンを食べてタンパク質を摂るようにしています。

今やるべきことに集中して自己ベスト更新を目指す

今年の目標

―改めて、今年の目標を聞かせてください。
自己ベストは絶対に更新したいと思っています。スプリント力はあると思うので、今は100m の後半にタイムを落とさないようにするためにも、きつい練習も乗り越えていかないとな、と思って泳ぎ込みを頑張っています。

―きつい練習を乗り越える気分転換の方法はありますか。
私、ホラー映画が大好きで。先が見えないドキドキ感が好きなんです。あとは美味しそうなものをスマホで眺めて、すべて乗り越えたあとのご褒美として、それを食べに行くためのリサーチをしています。今、夏が終わったら行きたいと思っているのは、鎌倉にあるほうじ茶の専門店! ほうじ茶のケーキとかパフェとかあるので、ここは、最初にいきたいです(笑)。

一緒に頑張っている学生アスリートにメッセージ

―最後に、一緒に頑張っている学生アスリートにメッセージをお願いします。
なかなか思うように練習ができないことが多いと思います。でも今ある環境に感謝して、自分が今できることに全力で取り組んでほしいな、と思います。私も泳げる環境に感謝して、今できること、目の前のことに全力で取り組んで頑張っています。できないことが多いからこそ、今できることをひとつずつ、全力で取り組むことを大事に頑張りましょう。

※「アスリート・ビジョン#22」掲載/この記事は取材を行った2021年5月時点での情報です

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