鍛えた筋力は効率よくパフォーマンスにつなげたい。そこで重要となるのが「動作(ムーブメント)」だ。八王子スポーツ整形外科の工藤トレーナーに、スポーツの基本動作を高めるためのトレーニングを紹介してもらう。
今回鍛える動作「投げる」
股関節の内外旋の動きと胸椎、胸郭の回旋を連動させるのが「投げる」動作の基本。体幹を中心とした筋肉を使って連動性を高め、下半身の力を上半身に伝えられることで「投げる」動作を効率良く鍛えられる。腕や手の動きはあくまでスキル。そのベースとなるカラダ(胴体部分)の使い方をマスターすることで肩や肘への負担も軽減でき、故障やケガ予防にもつながるのだ。
1.ハーフニーリング・ソラシックローテーション
[カラダづくり期/試合期 左右それぞれ5~6往復]
下半身と上半身の分離運動ができ胸郭の柔軟性、下半身の安定性が得られる
やり方
1 壁と平行に右膝を前にした片膝立ちになる。両手を頭の後ろに回して上半身を捻り、壁のほうにカラダを向ける。
2 下半身と骨盤は固定して、左肘を壁につけたままで大きく半円を描くように上半身を右に捻る。胸郭を目いっぱい開きながら上半身を捻るのがコツ。
3 最後は胸郭を閉じながら左肘をできる限り下のほうに持っていく。ここからゆっくりスタートポジションに戻す。呼吸は止めないように。
ポイント
骨盤を壁につけた状態を維持して行うと、胸郭の動きを強調できる
2.ハーフニーリング・プッシュ&プル
[カラダづくり期/試合期 左右それぞれ10往復]
骨盤と上半身の連動に加えて胸椎、肩甲骨を大きく使って腕を動かす感覚を得ることができる
やり方
1 左膝が前の片膝立ちになる。顔は正面を向いたまま、上半身と共に右の骨盤が外(右)を向くように開く。左腕は真っすぐ前、右腕を後ろに引く。腕と脚が同じ方向を向く。
2 息を吐きながら、上半身と共に右の骨盤を左の太ももに向かって回旋させていく。左腕を引いて右腕を前へ出す。肩甲骨を押す&引くようにして、胸椎から上半身を捻る。
ポイント
左脚の内転筋に刺激が入ると、効果的に股関節も使えている証拠だ
3.ローテーショナルドロップエアプレーン
[カラダづくり期 メディシンボール等で負担を上げて、左右それぞれ10回]
[試合期 自重で左右それぞれ10回]
投げる動作時に胸郭の回旋と捻りを力強く行えるようになる
やり方
1 片脚立ちから、右足を横に上げて骨盤を開く(外旋)。軸脚側の左腕は真っすぐ前、右腕の肘を曲げて後ろに引く。
2 開いた骨盤を素早く一気に閉じるように股関節を内旋させながら、上半身も連動させて前に倒す。胸郭を回旋させながら、腕の動きも合わせていく。
Point/ 股関節と胸郭を回旋させるときは、股関節が先、胸郭は後の順番で回旋させる。右足は頭の延長線上になるよう後方へ伸ばす
3 左腕を肩甲骨から後ろに引くようにして、右腕は真下に突き出す。1から3までは素早く、一気に行おう。
Point/ #33春で紹介したドロップスクワット同様、一瞬足が小さく浮き、足裏全体で床を押すようにする
鍛えた筋力を効率よくパフォーマンスにつなげるムーブメント(動作)トレーニング
第1回/跳ぶを鍛えるトレーニング ・ドロップスクワット ・アンクルホップ
八王子スポーツ整形外科メディカルフィットネスセンター所属。日本スポーツ協会アスレティックトレーナー。スポーツ傷害やコンディショニングを中心に、幅広い年齢層へパーソナルトレーニングを行う。そのかたわら、大学ラグビー部や高校野球部にトレーナーとして携わっている。
※2024年10月11日発行「アスリート・ビジョン#35」掲載/この記事は取材時点での情報です。