2022年、創部14年目でインカレ優勝を果たした金沢学院大学ソフトボール部。卒業後には実業団で活躍する選手も多く、強いチームのDNAが根付きつつあります。ソフトボール部としては大所帯の40名以上の組織をまとめあげるチーム運営の方法や、インカレ優勝を実現させたコンディショニングや栄養管理について、監督・コーチ・選手の皆さんに聞きました。
創部14年目でインカレ初優勝。連覇を目指すチームの現在地
金沢学院大学ソフトボール部
2009年創部。ソフトボール界の名将と呼ばれる多田監督は就任5年目でインカレ初優勝を果たした。北京大会金メダリストでもある藤本コーチと二人三脚で連覇を目指す。
選手が自主的に考え判断する癖を/多田邦宏 監督
前年に優勝できなかった悔しさから、常に「インカレ優勝」を口に出して1年間練習を積んだ結果の初優勝でした。ですが、その喜びは胸にしまい、今は「連覇」を合言葉に次を見ています。理想は選手が自ら考えて判断していく「ノーサインゲーム」で勝つことです。
仲間と困難を乗り越えた
インカレで優勝できた瞬間は「ホッとした」気持ちでした。直前までうまくいかないことが多く苦しい時間が長かったですが、みんなで意見を言い合い改善し続けられたことで結果につながったと思います。
遠藤 澪さん 4年生 (内野手) 前主将/インカレ優勝チームの主将・遊撃手としてチームを牽引し、現在も選手とともに練習を続ける。卒業後は実業団でプレー予定。
連覇を目指し全員で進む
連覇のためには全員が同じ気持ちでソフトボールに向き合う必要があります。そのためにまずは自分が目標に対して揺らがないこと。仲間の力も借りながらチーム力を高めていきたいです。
本村夏穂さん 3年生(外野手) 現主将/左翼手。「気持ちを貫くチーム」を掲げ、連覇に挑むチームを引っ張る主将。
何でも話せる関係性で練習の質が高まる
球速110キロを超えることをまずは目標に、変化球の精度も追求していきたいです。1年生なので授業も多いですが、授業の空き時間に基礎練習や投げ込みをするなど練習時間を確保しています。
山下千世さん 1年生 (投手)/高校卒業後は実業団でプレー。その後、金沢学院短期大学に入学。左腕として新チームの主軸投手となる。
CLOSE UP/ 栄養
学内にはアスリート食堂。下級生は寮食でバランスよく
1、2年生の間は多くの選手が寮に入る。寮では朝晩の2食がバランスよく提供されるため、下級生は自然と栄養管理ができる。学内にはスポーツ栄養士監修のアスリート食堂が設けられており、練習後に利用する選手も多数。それだけでなく、選手たちが自主的に調べながら、食べ順やバランス、重視すべき栄養素などを意識。体力強化の面のみならず、ビタミンなど免疫機能を意識した栄養素を摂る選手も。「練習後にはクエン酸をとって疲労回復に充てる」(山下選手)など、コンディショニングの観点からも高い意識が浸透している。
カロリーや栄養管理を徹底したアスリート食堂の食事。
栄養士が日々のバランスを考える寮でのある日の食事。
CLOSE UP/ トレーニング
年4回のトレーニング講習でインプット。メンタルトレーニングも競技に役立てる
年4回、トレーナーを招いたトレーニング講習を行い、競技力向上に直結するトレーニング方法を教わっている。講習時以外でもトレーナーと選手のトレーニング係は連絡を取りあい、普段の練習メニューに活かす。また、メンタルトレーニング・コンディショニングについても外部指導者を招いたり、藤本コーチの経験談などから知識を得る。「ルーティンをつくることができた」(本村選手)「オンとオフの切り替えを意識することでオンの質がさらに上がった」(遠藤選手)など、多くの選手が実戦に生かしている。
選手は授業の空き時間を利用して自主トレーニングに励む。
多田監督と二人三脚で選手をサポート/コーチ 藤本索子さん
現役時代に日本一を経験したことがなかったので、コーチ2年目でインカレ優勝を果たした瞬間喜びがあふれ、真っ先に選手とハイタッチしていました。選手経験を生かしてアドバイスをしたり、自主練習をノックでサポートしたり、考えつく限りのことをして連覇を目指します。
CLOSE UP/ チームづくり
主体性を持ち各自が役割をこなす。小中学生に「教える」経験も
道具係、トレーニング係、体重係、環境整備係など、部内には細かな役割分担があり、選手たちは主体的に役割をこなす。また、自分たちで考えられるようにすること、心理的安全性が保たれ、上下関係がなく誰もが思っていることを口にできる組織にすることが多田監督の意向だ。「コロナ禍ではチーム内での紅白戦を多く実施したことで、自主的に考え判断する癖をつけることができた」(多田監督)と手ごたえを口にする。また、小中学生向けのソフトボール講習会を実施し、社会への貢献をするとともに学生自身が「教える」という貴重な経験を積む機会としているのも特徴的だ。
選手・スタッフ一丸で日本一を目指す
日本一になりたい気持ちが強く、多くの選手が夕飯後の自主練習をするチームです。部費管理や書類作成など自分の役割をしっかり果たして、日本一のマネージャーになりたいと思います。
吉本充那さん 3年生 主務 /選手として入学後、腰のケガの影響でマネージャー転身、新チームから主務を務める。事務仕事も「成長できる機会」と意気込む。
編集部が注目するチームを紹介!こちらもCheck!!
・vol.44日本女子体育大学 ソングリーディング部
・vol.45武蔵大学 硬式野球部
※2023年1月16日発行「アスリート・ビジョン#28」掲載/この記事は取材時点での情報です。