2023年春季2部リーグで優勝を果たし、2016年以来7年ぶりに1部リーグに復帰した城西大学硬式野球部。同年の秋季リーグでは粘りの野球で戦い抜き、1部リーグに残留しました。ベストナインに3名が選出されるなど、個の力も光ります。トレーニングやオープン戦を積み重ね、来季に向け始動している選手やコーチに、今後の目標やトレーニング計画などを聞きました。
土台づくりをモットーに戦えるフィジカルと人間力を鍛える
城西大学硬式野球部
1965年に創部。1966年に首都大学野球連盟に加盟し、1970年春に初の1部昇格を果たす。全日本大学野球選手権大会に1度、明治神宮大会に2度出場し、1部リーグ優勝は通算で3回。2023年度秋季リーグは5位、3名がベストナインに選出された。
負けないフィジカルに技術を上積みする/濵田友哉 コーチ
フィジカル面で負けないというテーマのもと、チーム全体が同じ方向を向いて強化してきました。その成果もあっては春季リーグで圧倒できたと思いますし、1部に上がってもフィジカル負けしていないと手応えがあります。あとはそこに技術の上積みをしていくことがカギになる。一方で大学は社会に出る最後のトレーニングの場でもある。野球を通した活動のなかで、自主、自律を求められていると思います。
濵田友哉 コーチ/大和銀行、NKKなど社会人野球でプレーし、引退後はフィジカルトレーナーに転身。昨季冬のオフシーズンに城西大学硬式野球部のフィジカル、投手コーチに就任した。
チームメイトと一緒に強くなるために
これまでは自分の試合でのパフォーマンスに一喜一憂することが多かったです。今はキャプテンとして、いかに周りを見られるかをテーマに、積極的に声がけをしています。徐々にですが学年間の壁や温度差もなくなり、いい感じになっていると思います。
坂口渉さん 3年生 主将(内野手)/興譲館高校出身。2年生の秋からリーグ戦に出場。秋季リーグでは4番でスタメン出場。高校までは経験がなかったが、大学で初めてキャプテンに就任。
目指すは自分も周囲も納得する成績
自分は声やリーダーシップで引っ張るタイプではないので、がむしゃらさや一生懸命な姿を見せたいと思っています。秋季リーグではベストナインでしたが納得できる成績ではありません。さらに高みを目指して、誰が見てもベストナインだと思える成績を残したいです。
鈴木壮水さん3年生(外野手) / 静岡高校出身。秋季リーグではベストナインに選出。今季オフの冬シーズンは、下半身の筋力強化をテーマに重点的にトレーニングに励んでいる。
チームの目標に向かって
1部残留はもちろん、優勝して目標である明治神宮大会に出場したいと思います。個人的には目標としていた侍ジャパン大学代表候補に選出されましたが、そこに満足せずメンバーに選ばれるよう頑張りたいです。
松川玲央さん 2年生(遊撃手) /関西高校出身。高校時代にはキャプテンも務めた。2023年の秋季リーグではベストナインに選出。走攻守でトップを目指しトレーニングに励む。
チームと選手のためにできることを
主務やマネージャーは自分のことだけではなく、チームや選手のために何ができるかを考え、気づきが求められるのが役割なので、常に意識しながら行動しています。やりがいは人のために動いて喜んでもらえること。選手が喜んでいる姿を見られることが一番うれしいですね。
大山匠さん 3年生 主務/関西高校出身。高校まではプレイヤーとして活躍。大学入学と同時にマネージャーとなり、新年度の主務に。
CLOSE UP/ 栄養
カラダの土台をつくり、戦えるフィジカルを
目標体重を設定し、自分に見合う食事量を摂取する
カラダの土台が出来上がっていないとパフォーマンスに影響が出るからこそ、目標体重の設定は重要で、日ごろから意識的にエネルギーを補給する。部員全員が寮暮らしで、朝夕は寮で、昼は学食や自炊をして弁当を持っていく選手もいる。栄養が不足しているなと感じるときは各々が補給。プロテインやサプリメントなども活用している。補食用のおにぎりを作って持って行き、練習の合間に摂る選手も多いという。「体重が減りやすい時期は意識的に多く食事をするようにしている」(坂口選手)、「カラダの線が細いので食べるようにしていますが、自分の武器である足の速さに影響しないように注意している」(松川選手)と意識は高い。
学食のから揚げ定食。「寮で作ったゆで卵を持参してたんぱく質を補給しています」
野球部寮の夕食はカラダづくりに欠かせない栄養素がバランスよく摂取できる献立だ。
CLOSE UP/ トレーニング
フィールドトレーニングで「動作」を強化
筋トレは自主練で選手各々が課題を持って取り組む
平日は夕方2時間程度、野手はバッティングとノック、投手はピッチング、ランニングなど練習を行う。また、一つ一つの動作を強くするために石村トレーナーが作成したメニューをフィールドで実施。ウエイトトレーニングは「カラダを太くするのはその前段階」(濱田コーチ)と選手に委ねるも、定期的な確認は忘れない。冬季は大切な土台づくりの期間。選手たちは課題を解消すべく、練習場や寮のウエイトトレーニングルームで筋力強化に取り組んでいる。また、選手誰もが気兼ねなくトレーナーに相談でき、コーチやスタッフが気になる選手がいればトレーナーが選手へヒアリング行うなど、双方の情報共有や連携はトレーナーが担っている。フィジカルを重視するチームだけに、万全の体制で日々のトレーニング臨んでいる。
フィジカル強化のためにコンディション管理を徹底
練習メニューの基本は同じですが、ポジションや試合の出場機会、個人の課題などを踏まえてアレンジを加えています。フィジカル強化において、コンディション管理は欠かせません。週2で選手のケアを行い、状態を定点観測して、コーチやスタッフとも情報共有しています。(トレーナー 石村紘一さん)
CLOSE UP/ チームづくり
コミュニケーションの課題も改善
野球教室で地域貢献活動にも積極的に行う
「縦と横のつながりもある、一体感のあるチーム」(鈴木選手)、「“束”になって相手に戦うことが、秋のリーグ戦ではできていたと思う」(松川選手)と選手が話すよう、一つになり一所懸命やりぬくのがチームの強み。新体制となった直後の敗戦ではコミュニケーションの課題が浮き彫りに。「野手と投手では練習も異なり、ポジションごとに固まってしまう傾向もあって、うまく意思疎通ができていなかった」(坂口選手)。コミュニケーションを増やす取り組みでチームの結束をさらに高めている。また、チームは地元の小中学生に向けた野球教室を行い、地域とも交流を深める。「子どもたちが楽しそうに野球をしている姿を見られるのはうれしい。地域貢献も積極的に行っていきたい」(大山主務)
練習は主将と副将の二班に分かれて行う。練習終わりやノック終わりで選手のみのミーティングを実施。
野球教室では、地域の子どもたちと選手、コーチスタッフのみんなで野球を楽しむ。
※2024年1月15日発行「アスリート・ビジョン#32」掲載/この記事は取材時点での情報です。
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