学生アスリートの睡眠をアップグレード ベストコンディションをつくる快眠習慣【睡眠のプロに聞いた】

睡眠は、アスリートが日々ベストパフォーマンスを発揮するために重要です。とくに脳とカラダのリカバリーには必要不可欠といわれていますが、時間のない学生アスリートは十分な睡眠がとりづらいようです。そこで、よい睡眠を確保するための対処法を睡眠のスペシャリスト三橋美穂さんに教えてもらいました。

睡眠の役割

アスリートにとって睡眠はカラダの回復だけではなく、傷ついた細胞を修復、再生する働きがあります。睡眠不足に陥ると脳機能が低下するという報告もあります。そのため、集中力や記憶力が弱くなり、判断ミスが起こりやすくなります。それが原因でケガにつながることも。また感情をコントロールするメンタルにも影響するので、コンディション管理には十分な睡眠が必要です。

学生アスリートに必要な理想の睡眠時間は7~9時間

最適な睡眠時間には個人差があります。カラダを酷使しているアスリートは、回復させる時間もプラスで必要なので一般の学生よりも少し長めに睡眠をとるとよいでしょう。ただし、長く寝すぎると、だるい、眠いなど日中の体調に影響が出ることがあるため、「ここが自分のベストだな」と見極めることも大切です。まずは8時間をベースに最適な睡眠時間を探してみてください。休みの日や疲労度の高い日にいつもより長く寝る場合も、体内時計のズレや社会的時差ぼけ防止のために、通常の起床時間+1時間以内には起きるようにしましょう。

今の睡眠で大丈夫?睡眠負債のセルフチェック

毎日の睡眠不足が積み重なって、あらゆる不調を引き起こす睡眠負債。自分には関係ないと思っている人でも、実は睡眠負債を抱えているかもしれません。睡眠と日中の症状どれか1つでも当てはまる人は要注意です。

それでも!時間のない学生アスリートへ
よい睡眠を確保するための対処法

やることを増やす「足し算」より、やらないことの「引き算」から

「うまく眠りにつけない」、「深夜に目を覚ましてしまう」、「朝なかなか起きられない」のは日中の行動に原因があることも……。睡眠のためにあれこれ試す、やることを増やすよりも、まずは、睡眠の質を低下させるNG 行動をやらない引き算からはじめてみましょう。

睡眠の質を下げるNG習慣

睡眠を記録して“見える化”

就寝時刻と起床時刻、実際に眠っていた時間、睡眠休養感(睡眠で休養がとれた感覚)を1週間分記入します。右図のチェックシートに記入し、普段の睡眠状態を見える化することで睡眠習慣の見直しに役立てられます。

出典 :厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2024」準拠  睡眠チェックシート

パワーナップと入浴アラームを活用

部活に学業に多忙で十分な睡眠が取れない人は、日中のパワーナップ(積極的な仮眠)で睡眠不足を補ってください。ただし、必要以上に長く深く寝てしまうと夜の睡眠に影響するので、できれば決まった時間に、大学生であれば15分程度を目安にしてみましょう。

また、寝るためのアラームを活用するのもおすすめです。そのタイミングは入浴時。アラームが鳴ったらすべて止め、入浴後に続きを片づけると夜更かしを防ぐことができます。

三橋美穂さん
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書は「オトナ女子の不調と疲れに効く 眠りにいいこと 100」(かんき出版)など多数。

※2025年4月15日発行「アスリート・ビジョン#37」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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