中央大学バレーボール部(男子部)【注目チーム紹介 vol.61】

2024年シーズンは「四冠」を目標に個々のスキルとチーム力アップを目指してきた中央大学バレーボール部(男子部)。石川祐希選手に続く名プレーヤーを輩出すべく、OB会の支援で毎年イタリアに数名の選手を派遣、毎年夏に企業チームを回って連戦を積む遠征合宿も実施しています。勝ち続けながらも、大きなケガをする選手は少ないという同部に、食事やトレーニング、チームづくりの工夫を聞きました。

粒ぞろいの選手たちが組織として強くなった

中央大学バレーボール部(男子部)

1945年に創部。全国から優秀な選手が集まりしのぎを削る。2024年度東日本インカレでは7年振りの優勝、関東大学バレーボール春季リーグ戦1部では9年振りの優勝を飾る。卒業後はSVリーグに進む選手も多く、近年は石川祐希、関田誠大など日本代表選手も複数輩出。

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選手・学生スタッフ一人ひとりと向き合う

今の4年生は下級生の頃から試合に出る機会が多かったのですが、最高学年になって改めて今までの取り組みの甘さに真摯に向き合い、新体制をスタートさせました。私の役割は、選手が自分たちで考えた目標に対し、楽なほうに流れないように問いかけをしたり、見守ったりすること。そのスタンスは変わらず、そのうえで結果をつかみに行く支援をしたいと思っています。


野沢憲治 監督 /中央大学出身。Vリーグ豊田工機(現ジェイテクト)に入団。引退後は社業に専念し、2023年1月に中央大学バレーボール部(男子部)監督に就任。現役時代はセッター。

勝つためにチームで課題に取り組んだ

今年は自分たちのウィークポイントを徹底的に見直し、下級生の意見も取り入れながら練習をつくってきました。本当に一人ひとりが前向きに勝ちにこだわってやれているので、主将としては技術だけでなく関わり方、立ち振る舞いの部分で恥ずかしくない言動を心がけています。

柿崎晃さん 4年生(主将)/北海道科学大学高校出身。アウトサイドヒッター。関東大学春季リーグ戦と東日本インカレで最優秀選手賞を受賞。2023年にはイタリア・セリエAへ挑戦。

感謝を忘れず自分らしくプレーする

豊田前監督から声をかけられなかったら、高専の専攻科に進んで、今頃はエンジニアになっていたと思うので、今の状況は奇跡的です。自分の強みは強気のトスワーク。ここまで伸ばしてくれた監督やこの環境に感謝しながら、“コートを支配する”存在でありたいと思います。

村上連さん 4年生(副将) 国立松江工業高専出身。セッター。高専として初の春高出場を果たし、本科卒業後に大学進学を選択。東日本インカレでベストセッター賞を受賞するなど司令塔として活躍。

もっと上を目指すためにカラダを鍛える

イタリアに行ったときに、上半身と下半身のバランス良く鍛える重要性を教えられ、今も均等に筋肉をつけることを意識してトレーニングしています。コンディショニングは、リラックスする時間も大事にして、メリハリをつけて生活するようにしています。

山﨑真裕さん 4年生/星城高校出身。ミドルブロッカー。2023年にイタリア・セリエAを経験。卒業後はSVリーグチームに加入が内定している。

大学生活で身につけたコンディショニング

SVリーグの選手に比べ、自分はまだカラダの線が細いので、体重や筋肉量を意識してトレーニングをしています。試合前にはなるべく糖質を多く摂り、疲労感が強い日にはビタミンを摂るなど、自分の状態にあわせた栄養補給で体調を崩しにくくなりました。

山根大幸さん 4年生/前橋商業高校出身。ミドルブロッカー。2023年に関東大学秋季リーグ戦でブロック賞を受賞。卒業後はSVリーグチームに加入が内定している。

新しいアプローチで強いチームに貢献

選手ではなく、スタッフ目線で考えることに最初は苦労しました。ただ、以前と比べて今は使命感や表に立つ意識が強くなり、これまで感じていなかった楽しさも実感しています。人がやりたがらないことを自ら率先してやることで、組織として強くなることに貢献していきたいです。

園村英斗さん 4年生(主務)/日向学院高校出身。視野の広さや人当たりの良さを評価され、3年時から主務に就任。コート外での選手のフォロー、会計、渉外と幅広く役割を果たす。

CLOSE UP/ 栄養

夕食の報告の義務化で意識改革
大きなケガや体調不良の選手がゼロに

選手は全員寮生活だが、食事はすべて自分たちで用意する。昨年までの取り組みの中で、「トレーニング量の割に数値が変わってこない」という課題を感じていた。2年前から各選手に夕飯の写真の送付を義務付け、それに対する栄養士からのコメントをフィードバックしている。「半年ぶりに寮のキッチンで料理を作ったという選手が続出した」と野沢監督が話すように、食事への意識は向上。「試合前は鶏むね肉300gを圧力炊飯器で低温調理して食べる」(村上選手)「試合前日と当日朝は2.5合ずつお米を食べる」(山根選手)「足りない栄養素はサプリメントで補う」(山﨑選手)など、各選手が工夫している。

CLOSE UP/ トレーニング

主観的疲労度を毎日チェック
試合に合わせた週単位のピーキング

試合期のトレーニングは月木の週2回実施。月曜は腹圧のトレーニングや、フルセットまで戦える筋持久力をつけるウエイトトレーニング、木曜は総合練習とファンクショナルトレーニングを行う。加えて、ポジション別に分けたトレーニングを取り入れている。金曜はサーブを中心に軽い調整にとどめ、土日の試合でピークを迎えられるよう工夫。また、毎日練習前に、主観的疲労度をヒアリング。「全体的に疲労度が高かったら練習強度を落としたりケアを中心にしたりする」(安冨学生トレーナー)と、各選手のコンディションの波をつかみ、調整を行う。

選手が万全で戦えるカラダをつくる

今年はポテンシャルのある選手が多いので、カラダの使い方や、腰やひざのケガ予防をしっかりして、いかにベストコンディションで戦えるかが勝負だと思っています。一人ひとりの特性を理解しながら選手がハイパフォーマンスを発揮できるようサポートしています。 (トレーナー 前田竜輔さん

選手をしっかり見てサポートする

トレーナーとしてチームに貢献できることが大きなやりがいです。トレーニングをしていると、終盤に集中力が切れてくる選手もいるので、ケガを防ぐためにも、声かけやフォームのチェックを意識的にしていきたいと思います。

安冨友登さん 4年生(学生トレーナー)/高松工芸高校出身。3年時からトレーナーに転向し、トレーニングメニューの設定、体組成や最高到達点などの計測・管理、疲労度のヒアリングなどを担う。

 

CLOSE UP/ チームづくり

「緊張感×言い合える関係×メリハリ」
チームが一体となり目標に向かう

従来は4年生が練習メニューを決めてチーム全体に伝えることがほとんどだったが、フラットな関係をつくり下級生の意見も積極的に取り入れるのが今年流。理不尽な部内ルールはなくし「緊張感」「言い合える関係」「メリハリ」をスローガンに、チームづくりに取り組んできた。監督は自身の経験をもとに「自分の想いを言葉にし、それをお互いに聞き合って受け入れ合うことは社会人にとって重要」と考え、意見や経験をみんなの前で発表する機会やディスカッションの場をつくっている。真の主体性を身につけ、かつ、いい意味で「学生らしい」のびのびとした雰囲気が強さの源泉だ。

※2025年1月15日発行「アスリート・ビジョン#36」掲載/この記事は取材時点での情報です。

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